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2/17

空想?いや、現実

色々と書いていたら少し長くなりました。今後はもう少し一話あたりが短くなりそうです。

「ん……今何時だ。……5時、か。ちゃんと起きれて良かった。間に合いそうだな。」


 最速で朝の支度を済ませつつ、改めて状況を確認する。


 昨日は本当に驚いた。まさかかの有名なダンジョンが現実のものになるとはな。まぁなんにせよ、僕にとってはこの上なくありがたい知らせだ。僕の望む人生への道が開かれたことは間違いない。そしてその道の第一歩をこれから踏み出しに行くのだ。


「はてさて何が待っているのやら。楽しみで仕方がないな。」



 そうして全ての準備を整えた僕は玄関扉の前に立ち深く息を吸ってゆっくりとはき出す。


「準備は出来た。向かうか、遊戯の城(ダンジョン)に。」


 溢れる程の期待と好奇心を胸に、僕は扉を開いた。



「お、時間ぴったりだな。」


 集合場所には既に翼が立って待っていた。


「翼は流石だね。しっかり時間前じゃん。」

「俺は普段からこの時間だからな。創は結構大変だったんじゃねぇか?いつもはまだ布団にいるだろ。」

「正直ちょっと眠い。けどそれに勝る好奇心があるから問題は無い。」

「だろうな。そんな顔してる。」

「ま、そういう訳だから早速行くとしますか。」

「だな。」


 僕たちは最寄りのダンジョンの捜索を開始した。



「確か学校近くの森の中だよね?」

「ああ、間違いない。でも入口しか表に出てないらしいから見つけるのはなかなか厳しいかもな。」


 そうなのだ。ニュースによると、確認された全てのダンジョンは入口しか表に出ていないらしく、その入口は洞窟のようなタイプか転移ゲートのタイプに分かれていると書かれていた。そのサイズはせいぜい大人数人が通れる程のようで、この広い森の中から見つけ出すのはなかなか骨が折れそうだ。


「正式に入れるようになってからなら簡単なんだけどね。それじゃあ遅いから。もしかしたら危険視されて立ち入り禁止とかにされるかも知れないし。」

「かもしれねぇな。今のところ問題は起きてないけどダンジョンなんて物騒なモノ放置する方がおかしいもんな。」

「現に僕たちみたいに入ろうとする人がいるからね。」

「……だな。」


 まぁそんな話は置いといて、まずは見つけないと話にならないからな。なんとしてでも見つけなくては。


 そうして件の森に入って探索すること二時間、それは唐突にやってきた。


「こっちにある気がする。」

「まじで?」

「うん。間違いなく近くなってきてる。」

「俺は何も感じないぞ。」

「僕の感覚がそう言ってる。こっちに行けば面白いものに出会えるって。」

「いつものセンサーか。創のそれ当たるからなぁ。」


 そう、これは僕の特殊能力的なものだ。普段から面白さを求め続けているせいか、近くにそういうものがあるとなんとなく惹き寄せられるのだ。その現象が今まさに起きている。


「もうすぐだ。」

「やっとか。日頃から運動してるとはいえ、この足場の悪さで二時間はきつかったわ。」

「それに見合う対価はきっとある。」

「創が言うなら間違いないな。さぁて何が見れるか。」


 それから歩くこと数分、僕たちの目の前には小型の洞窟があった。奥には下へ続く階段が見えている。


「やっと見つけた。」

「これがダンジョンか。」

「行こう。」

「おう!」


 僕たちは一切の躊躇なくその洞窟へと足を踏み入れ、その先にある階段を降りて行った。そして階段を降りきった瞬間、頭の中に声が響いた。


[ステータスを獲得しました]


「お!こんな感じなんだ。」

「まじでステータス貰えちまった。」

「ははっ、ははははははっ!本当にステータスが手に入った。楽しくなってきたなぁ!」

「嬉しそうで何より。取り敢えず一旦安全なとこでステータス確認してみようぜ。」

「そうだね。」


 僕たちは階段を上りダンジョンの外に出てステータスを開く。


「多分普通にやったら開くよね?……ステータス。」

「ステータス。」


 二人でそう唱えると、目の前に半透明の画面が浮かび上がった。


「これがステータス!翼は僕の見えてる?」

「いいや。俺のは?」

「見えてないね。ってことは意図的に見せなければ個人情報は守れる仕組みなのか。」

「みたいだな。取り敢えずまずは各自で自分のを確認するか。」

「で、終わったらお互い見せ合うってことで。」

「おう。」


 そうしてそれぞれ自分のステータスと向き合う。


 僕のステータスは、



名前 遊城 創

Lv 1

職業 【遊戯開拓者(ゲームクリエイター)

HP 20

MP 15

AT 15

MA 10

DF 15

MD 15

職業(ジョブ)スキル 『作成』『実装』

通常(ノーマル)スキル

魔法 

称号 《初級探索者》



 まぁ最初はこんなもんだよね。それにしても職業は普段の僕そのものだな。やっぱり生き方影響あるんだ。


「翼はどうだった?」

「ん、ああ。じゃあそろそろ見せ合うか。」

「うん。」


 そしてお互いのステータスを開示した。


 翼のステータスはどんな感じかな。



名前 桐生 翼

Lv 1

職業 【疾風決闘者(スピードプレイヤー)

HP 30

MP 10

AT 20

MA 10

DF 20

MD 10

職業(ジョブ)スキル 『縮地』『剛脚』

通常(ノーマル)スキル

魔法 

称号 《初級探索者》



「こう来たか。確かに翼足速いもんね。」

「創こそそのまんまだな。」

「多分そういうシステムなんだよ。その人の個性に合わせる感じの。」

「まぁそうだろうな。で、このステータスでこれから戦ってく感じか。どうする?早速行ってみるか……ってその顔は行く気満々じゃねぇか。」

「どうやら返事は不要のようだな。では行くぞ。」

「完全にスイッチ入ってんな。よっしゃ行くか!」


 僕たちは再びダンジョンへと入って行った。



 来たる第一階層、そこにはやはりファンタジーが広がっていた。


「これってスライムだよね。」

「スライムだな。」

「取り敢えず倒してみよう。」

「そう、だな。」


 僕の方は直接攻撃に繋がるスキルが無いので翼から先にやってみることになった。スキルを発動した翼がスライムに近付いて思い切り蹴り飛ばす。


 パァン!


 どうやら予想以上に威力が高いようで、スライムは簡単に弾け飛んだ。


「おお!すっげえなこれ。いくらスライムといえどもここまで綺麗にいくか。」

「ステータスがあるかないかだけで相当変わるんだね。」

「ああ、それとこれは……レベルアップだ。」

「早速か。ステータスに変化は?」


 ここが結構大事だ。ここの変動次第でこれからの成長がある程度予想出来る。さてどうかな?


「ん~と、ステータス値がまんま加算されてるな。」

「それは計算が楽でいいな。他は?」

「特に無いな。」

「了解。じゃあ僕もやってみるかな。スキルの有無で威力がどれだけ変わるかの検証にもなるし。」


 そうして僕は翼と全く同じ動きでスライムを蹴ってみた。


 パシャッ


 倒せはしたようだが明らかに威力が弱い。やはりスキルの有無は相当重要な要素らしいな。


「取り敢えずこれで僕も……」


[レベルアップしました]


 来た。取り敢えずまずはステータスの確認だ。



名前 遊城 創

Lv 2

職業 【遊戯開拓者(ゲームクリエイター)

HP 40

MP 30

AT 30

MA 20

DF 30

MD 30

職業(ジョブ)スキル 『作成』『実装』

通常(ノーマル)スキル

魔法 

称号 《初級探索者》



 翼に聞いた通りだ。取り敢えず区切りになりそうなレベルまではこの上昇幅を基準に考えていこう。


「どうだ?」

「問題無くレベルアップしたよ。ステータスの変化も単純加算だった。」

「そうか。じゃあある程度分かったことだし、どんどん狩ってこうぜ。」

「だね。」


 それからは安全の為に第一階層に限定してひたすらにスライムを倒していった。



「そろそろレベル上がんなくなってきたな。これ以上は他のも倒さないといけない感じか?」


 翼が軽く息を吐いてそう言った。スライム相手ではあるが、かなりの数を倒していることでその額には僅かに汗が滲んでいる。


「そうなるかな。僕の方も同じ感じだからそろそろ倒すモンスターを変えた方が良いと思う。」

「このまま次行くか?」

「いや、今日は一旦ここまでにしておこう。万全な状態じゃないともしもがあるからね。」

「確かに。今日はもう疲れたし帰るか。」

「うん、また今度しっかり身体調えて来よう。」


 そうしてダンジョンの探索を止めて階段を上り外に出ると、空が幽かに赤みを帯び始めていた。どうやら予想以上に長くダンジョンに篭っていたみたいだ。


「この様子だと森を出る頃には暗くなってそうだね。」

「止めといて正解だったな。」

「うん。取り敢えず早く森を出ようか。」

「だな。」


 僕たちは行きに付けた目印をもとに足早に森を抜けた。



 校門前に着いた僕たちは一息ついて今日の成果を振り返る。


「今日一日スライムだけしか倒してないけど思ったよりかはレベル上がったな。」

「そうだね。何かスキルとか増えた?」

「ん〜と風魔法が使えるようになったな。」

「じゃあその確認も含めて見てみよう。」

「おう。」

「「ステータス」」



名前 遊城 創

Lv 9

職業 【遊戯開拓者(ゲームクリエイター)

HP 180

MP 135

AT 135

MA 90

DF 135

MD 135

職業(ジョブ)スキル 『作成』『実装』

通常(ノーマル)スキル

魔法 

称号 《初級探索者》



名前 桐生 翼

Lv 10

職業 【疾風決闘者(スピードプレイヤー)

HP 300

MP 100

AT 200

MA 100

DF 200

MD 100

職業(ジョブ)スキル 『縮地』『剛脚』

通常(ノーマル)スキル

魔法 風魔法Lv1

称号 《初級探索者》



「確かに翼のとこに風魔法追加されてるね。僕の方はまだだからレベル十で追加って感じか。」

「そうみたいだな。にしても俺が魔法か。人生何があるかわかんねぇな。」

「本当にね。」

「まぁ今日はもう夜になるし実際に使うのは次ってことにして、帰るか。」

「そうだね。取り敢えず帰ってステータス内容を詳しく整理するかな。僕はまだスキル内容が不明なままだから。」


 そう、今回はスライムを倒すだけだったからスキルを使う必要が無かった。名前的にも攻撃系って感じじゃなかったし、帰ってから見ることにしたんだよね。さて、何が出来るのか。楽しみだな。


「詳しいこと分かったら教えろよ。じゃあまた月曜学校でな。」

「うん、また。」


 僕たちは校門前で別れそれぞれの帰路についた。


「いや〜今日は楽しかったなぁ。ダンジョン攻略系のゲームはやったことあるけど実際に身体動かすと何倍も気持ちいい。それに加えてスキルに魔法まで使えると。これはもう普通のゲームじゃ満足出来なくなりそうだな。あ〜早くスキル確認したい。よし、ダッシュで帰るか。」


 そう言う頃には既に身体は動いていた。僕の全身が好奇心を抑えられなくなっているみたいだ。その衝動に従って僕は全速力で家まで帰った。



 家について、すぐさま風呂と食事その他を済ませて自室に篭もる。


「よし、早速スキルを確認しよう!」


 満を持してステータス画面を開いた僕は、スキル詳細を確認した。



『作成』

 武器やキャラクター等を作成し、記録する。記録容量や作成権限はレベル上昇により解放される。


『実装』

 『作成』で作り記録したものを具現化する。具現化したものは使用、使役が可能。また、一度具現化したものは常時収納、再召喚が可能。



 ゲーム制作と同じように作成したものを現実に実装するのか。予想以上に性能高いぞこのスキル!取り敢えず今はどこまで出来るのか不明だけど間違いなく強い。使うのが楽しみになるな。


「どうしよう。明日もダンジョン行こうかな。早く使ってみたいし…………」


 数秒の思考の後、行くことに決めた。まぁここまで面白そうなことを前にして我慢出来る訳が無いよね。


「よし、そうと決まればもう寝てしまおう。」


 そうして僕はベッドに入り目を閉じる。


 今日は色々と認識が変わったな。ずっと空想の産物でしかなかったダンジョンが、紛れもない現実であると分かった。スキルや魔法だって現実になった。これから先、僕が恋焦がれた空想はどんどん現実になっていくだろう。本当に楽しみだな。


 どうかこれが僕のただの空想でありませんように、そう切に願いつつ僕は意識をゆっくりと闇に沈めていった。

面白い、続きが読みたいと思った方は星やブックマークをつけていただけると嬉しいです。感想等もお待ちしています。

ハイファンタジーの方にも連載中の作品がありますので、よろしければそちらの方も見ていただければ幸いです。

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― 新着の感想 ―
[一言] 「創造」を持っているということは、「創造」のレベルが上がると、将来、自分のスキルや魔法を生み出すことさえできるということです。
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