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探索者専門学校

少し短めです。

あと一部スキルの表記変更があります。

 ダンジョン発生から半年と少しが経過し、僕たちは高校二年に上がった。そしてその間にはダンジョンに関する様々な情報が公表され、その中になかなか面白いものが含まれていた。それが何かというと、


「探索者専門学校か。本格的にダンジョンが日常の一部になってきたな。」


 そう、探索者を専門に育てる学校の設立だ。近頃探索者が一般的な職業としての地位を確立しつつある中でその必要性が指摘されるようになった。この学校は学生のうちからダンジョンについて学び、実戦を交えながら即戦力を育成しようというもので、一応誰でも入れる学校となっている。この誰でもには大人も含まれており、学生とはまた別のキャンパスで講義が行われるそうだ。


 まぁ学生と大人じゃ必要な教育が違うからな。学生は普通の学校と同じように一般教養を教えたり、学生らしい青春を過ごさせたりすることも大切な要素であるのに対し、大人はすぐに稼ぎに繋がる無駄のない教育のほうが喜ばれる。基本的に無職やフリーターといった安定した収入源の無い人達が通うことを考えれば当然だろう。


「創はどうするんだ?」


 情報に目を通しながら色々考えていると後ろから翼に声をかけられた。


「どうするって、これに入るかってことだよね。」

「そうだな。創こういうの好きだろ?」

「正直興味はある。でもまだ入るかは分からない。」

「意外だな。てっきりもう決めてるもんかと。」


 内容に関しては特にダメな所は無いんだけど、転校っていうのがなぁ。


「一から友達作り直すのは全然いいけど今いる友達とあんま話せなくなるのは嫌なんだよなぁ。まぁLINKとか放課後とかあるから全く出来ないって訳じゃないけどちょっとね。」

「確かに。俺も休み時間とかに今のメンバーでつるめないのは嫌だわ。皆揃って転校出来りゃいいけど親の許可貰うの厳しいだろうしな。現時点で放課後ダンジョン行けてるのだけでもだいぶ奇跡だし。」


 う〜ん、やっぱりこの状況では判断しかねるな。


「よし、一旦集まって他の皆にも聞いてみるか。」

「だな。まずはそこからだ。」




 放課後、帰る準備をし終えていつものように悠達に話しかける。


「皆探索者専門学校どうする?」

「丁度俺らもその話しようと思ってたんだよ。」

「創なら絶対興味持つと思ったしな。」


 話が早くて助かる。


「正直僕は結構行きたい。高校までの勉強には特に困ってないし、一日中ダンジョンのことだけ考えててもいいとか天国だからね。」

「だと思ったよ。実際創は勉強かなり出来るもんな。この前のテストの成績ほぼトップだろ?それならもうこんなとこで普通の勉強やってないでダンジョンのこと勉強したほうがいいわ。」

「それに多分誰よりもダンジョン入ってるしな。俺レベル六十超えてる奴他に知らねぇもん。」

「もうダンジョン狂いだよな。」


 あはは……褒め言葉として受け取っておこう。


「それで、皆はどう?」

「そうだな。俺もそこそこダンジョンに慣れてきてはいるけど、一日中ダンジョンってのは流石に親の許可降りないだろうな。それにお前ほど学力に余裕無いし、普通の道を進む選択肢もそうそう捨てられない。」

「俺も同じ感じ。」

「俺も。」

「俺もだな。」


 概ね予想通りだな。


「翼も同じ感じ?」

「俺はこいつらよりかは可能性高いかな。うちは自由度高めでダンジョン入るのもすんなり許可貰えたし。それと俺が頭使うより身体使う方が向いてるのは親も分かってる。あとは最低限の一般常識が身についてればなんも言われないと思うぞ?」

「そっか。」


 翼も同じ学校来るって考えると気持ち傾くな。僕は行こうと思えばまず間違いなく行ける状況だから、僕が決断したら行くことは確定だ。どうするか……


「よし、今は保留。まだ開校まで時間あるしそれまでに決めればいいよね。」

「そうだな。今急いで決めなくても問題無い。」

「それより今日もダンジョン行こうぜ。」

「頼りにしてるぜ、先輩。」

「俺達の安全はお前らに懸かってる。」

「今日も引っ張ってってくれよな。」


 取り敢えず今は素直に皆とダンジョン楽しむか!




「ふぅ、今日も充実した一日だった。悠達が強くなってある程度手を離れたっていうのもあるけど、楽出来てるのはこれのおかげだよな。」


 風呂上がりの火照った身体を冷ましつつ、上機嫌にステータス画面を開く。



名前 遊城 創

Lv 66

職業 【遊戯開拓者(ゲームクリエイター)

HP 1640

MP 1230

AT 1230

MA 820

DF 1230

MD 1230

職業(ジョブ)スキル 『作成』『実装』

通常(ノーマル)スキル 『隠密』『精密射撃』『空歩』『廻閃』

      『殺威』

魔法 土魔法Lv6

称号 《中級探索者》《単独撃破者(ソロプレイヤー)》《魔物虐殺者モンスタージェノサイダー


『作成』

[ジャンルを選択してください]

・ホラー脱出

〘関連スキル:『謎空間収納(アイテムボックス)』〙

・デスゲーム

〘関連スキル:『死合会場(キリングルーム)』〙



 新たに獲得したスキルの中で、回転を乗せた攻撃の威力上昇をする『廻閃』や急所への命中補正と威力上昇をしてくれる『殺威』も活躍してくれているが、一番凄いのはこの『死合会場(キリングルーム)』だ。このスキルの効果を簡単に説明すると、


・スキルを発動すると一定範囲のフィールドが作られる

・フィールド内にいる発動者よりレベルの低いモンスターは発動者へ攻撃せず、モンスター同士で互いに攻撃し合う

・最後の一体になるまでフィールドは存在し、一度入ったモンスターはフィールド外に出られない

・モンスターによって倒されたモンスターの経験値は発動者が獲得する


「生殺与奪の権利は全て発動者が持つって、正しくデスゲームのゲームマスターらしい極悪なスキルだよなぁ。」


 ここまで都合のいいスキルも珍しい。モンスターを安全に倒せるだけでなく経験値もしっかり入ってレベルアップも出来るとか、今まで真面目に戦ってきたのが馬鹿らしくなってくるよ。とはいえ最後一体は残るし自分より強いモンスターには使えない。そこはちゃんと今まで通りに倒す必要があるから自分で戦う楽しさも残ってる。全部まとめると、周回が楽になったってことだね。万歳!


「明日はソロの予定だしこのスキル使いつつレベル七十目指すとして……はぁ、どうするかなぁ……」


 ステータス画面を消してベッドに横たわり、虚空を見つめる。そうして思い浮かべるのは、探索者専門学校と悠達のこと。


 やっぱ皆でワイワイするの楽しいんだよな。なんていうか学生って感じでさ。学校変えたらあぁいうのもあんまり出来なくなるのかな。多分放課後は会おうと思ったら会えるんだけど、別の学校ってなるとどうしても噛み合わないとこも出てきそうだし。それに学祭とか体育祭とか、修学旅行も、全部一緒に楽しめなくなるんだな。


 今日の放課後遊んだのとか、普段の学校での生活を思い返して深いため息をつく。


 思ってたより皆のこと好きなんだな。いや、そんなこと前から分かってたよ。ただ当たり前になり過ぎて深く噛みしめる機会が無かっただけだ。今回転校を考えて、もう一度その大きさを知ることが出来た。皆のこと、もっと大切にしないとな。


「う〜ん、やっぱ行くのやめようかな。でもこれからのこととか自分の性格考えたら行かないのもなんか違うし………あ〜〜もうやめた!」


 こういうのはどうしたって悩み続けるんだ。今考えても答えは出ない。それなら今日は大人しく寝よう。寝て起きて学校行って、それで皆と何度でも話し合おう。こういう時こそ頼れる仲間を頼らないとな。


 布団を被り、頭に広げた一切を消して目を瞑る。しんと静かになった部屋に、変わらぬリズムを刻む時計の音だけが寂しく響いた。それを聞いているうちに、いつの間にか僕は意識を手放していた。

面白い、続きが読みたいと思った方はブックマーク・評価・感想などをつけていただければ幸いです。

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