出逢って最初の日曜日 前編
前回の話と同日の来魅視点です。長くなったので二つに分けて投稿します。
私、友崎来魅は今週から市役所に新設されたダンジョン課の受付嬢として働いている。そして今日はその週の最後の日、日曜日だ。
「んっ………はぁ、もう、朝………」
いつものように少しだるさの残る身体にぐっと力を込めて起こすと、ベッドから立ち上がり自室のドアを開ける。それから壁に凭れ掛かりつつゆっくりと階段を降りて一階のリビングへと向かい、そのドアを開けて家族に声をかける。
「おはよう、ママ。」
「おはよう来魅、まだ眠たそうね。でも今日も仕事なんでしょう?早く顔洗って目ぇ覚ましてきなさい。」
「うん……」
これまたいつものように母に促されて洗面台へと歩いて行き、蛇口を捻って流れた冷水を掬って顔を埋める。
「………はぁ、冷たい……。でもしっかり目は覚めたかな。明日は一旦休みだし、今日も頑張らないと。」
そうしてリビングへと戻ると、母はキッチンに立って朝食の用意をしているところだった。
「ママ、今日の朝ご飯何?」
「う〜ん、端的に言えば典型的な和食?大根の味噌汁と焼鮭とほうれん草のおひたしと、後は玉子焼きね。」
「いいね、やっぱり朝ご飯は和食だよ。それが一番元気出る。」
「そうよね。やっぱり朝はこうでなくちゃ。」
パン派の人もいるけど、私は絶対的なごはん派だ。基本的には三食全部お米が食べたい。あと、味噌汁もずっとあっていいと思っている。反応から分かるように母の好みも同じなので、今日のように朝食は大体和食になる。偶にトーストとかにもなるけど、それは兄が実家に帰ってきている時か父が頼んだ時だけだ。
ちなみに今日は兄が家にいないのと、昨日遅くまで仕事をしていて父が起きてくるのは昼近くになることから問答無用で和食になっている。こういう日は二人揃って機嫌が良い。と言ってもほぼ毎日のことなので、基本的に私たちはいつも機嫌が良いんだけど。
それからテーブルについて、母が用意してくれた朝食を食べながら今日の仕事について確認する。
今日は日曜だから素材の買取のみでいいんだよね。昨日の感じだとまだそんなに沢山持って来る人はいないから基本的には待機時間って感じかな。楽は楽なんだけど、素材のことまだよく分かってないから価格の計算は少し大変なんだよなぁ。でもこれから先持ち込まれる素材の量も増えていくんだし、早く覚えて慣れていかないと。
「あとは特に確認しておくことは無い、かな?………うん、大丈夫そう。ママ、味噌汁おかわりもらってもいい?」
「相変わらず食べるのが早いわね。いいわよ、しっかり食べて行きなさい。」
仕事内容を記録したスマホから目線を外し、空になったお椀を母に手渡すと、母は苦笑しながら追加の味噌汁を持って来る。それから自分の食事を再開しつつ、ふとこんなことを聞いてきた。
「ねぇ来魅、誰かいい人見つけた?」
「んぐっ、こほこほっ………急にどうしたの?」
いきなりそんなこと言うなんて、びっくりして喉詰まらせるところだった。
「いえね、受付の仕事してたら誰か良さそうな人に出会ったりしてないかなって。最初の週だからまだそういうことが無いかもしれないけど、今後はあるかもしれないじゃない?だから定期的に聞いておこうと思って。それになんとなくだけど仕事に向かう時緊張とは違う感じにそわそわしてるから、もしかしたら早速気になる探索者さんでも見つけたのかと思ったのよ。」
す、鋭い。確かに気になる人はいるけど、そんなにそわそわしてただろうか?そんなつもりは無かったんだけど、幼い頃から見てると分かるものなのかな。なんにせよばれているとは。
「いるにはいるけど、まだライセンス発行の時に一回会って少し話しただけだよ。年下なんだけど私より大人びてて、でも何処か哀しげでちょっと心配になる感じの人。だから次来た時にもう少し話してみたいなって思ってて。」
創くん、今日は来るかな………
「そうなのね。あなたの仕事は探索者さんたちを支えることでもあるからね、しっかり見ていてあげなさい。」
「うん。」
あの子はしっかりしているように見えてもまだ高校一年生なんだから、きっと誰かの助けは必要な筈だ。そうなった時に少しでも助けになれるようにちゃんと見ておこう。特にその心の奥を。
「ふぅ、ごちそうさま。」
「はい、お粗末様。」
その後間もなくして食事を終えた私は食器を片付け、仕事に向かう為の準備に取り掛かった。歯磨きと着替えをし、それから髪を整え軽く化粧をする。後は荷物の確認を済ませて時計を確認する。
「七時四十分か、そろそろ行かないと。」
「お弁当用意出来てるわよ。ほら、持ってきなさい。」
「ありがとう。よし、これで完璧だね。」
お弁当を鞄に入れ、玄関へと向かい靴を履く。
「それじゃあ行ってきます。」
「はい、行ってらっしゃい。」
笑顔の母に見送られて家を発ち、徒歩で市役所へと向かう。その途中で、家の近い結津姫と合流して他愛の無い話をしながら歩き続け、八時頃には市役所に到着した。
「着いたわね。今日も買取作業だけどそろそろ来るかしらね、愛しの創くんは。」
「もぉ、からかわないでよ。結津姫だって毎日翼くんが来るの待ってるんでしょ?」
「勿論!でも翼くんは他の子たちと一緒に何回か来てるから。あの中で来てないの創くんだけじゃない。そろそろ恋しいんじゃないの?」
「まあ来ないかなぁとは思ってるけど……」
会いたいっていう気持ちもあるけど、それ以上に彼のことが心配だ。ちゃんと無事に帰ってるかもそうだし、瞳の奥に見えた昏いもののことも気になるし。私がしてあげられることは無いのかな。
「翼くんに聞いた感じだと創くんは自分のレベル上げに行っているみたいよ。平日はあの子たちのレベル上げに付き合うみたいだけど、流石に土日までは自由を奪えないって。翼くんは軽く皆で楽しめればいいかなって感じだけど、創くんは結構本気で攻略してるみたいなのよ。あの中でも一番強いみたいだし。」
「そうなんだ。というか結津姫はもうそんなに話せるようになってるんだね。私なんてライセンス発行の時に話したところで止まってるのに。」
昔から結津姫は凄いなぁ。私じゃそんな短期間で距離詰められないよ。
「私は狙った男には積極的に攻める質なの。来魅も本気なら次会った時に頑張って色々話してみなさい。私たちがあの子たちと接触出来るのは受付する時だけなんだから機会を無駄にしないようにね。」
「う、うん。頑張ってみる。」
「今日は来るといいわね。さ、仕事着に着替えてスタンバイしときましょ。」
そうして結津姫に促されて更衣室で準備を済ませた。
午前九時、開庁時間と共に私たちの仕事が開始された。今日は家で確認した通り買取のみの仕事なので、素材の持ち込みが無ければずっと待機だ。昨日も午前中は殆ど待機だけだったから、忙しくなるのは午後からかな。
と思っていたところに珍しく早い時間からの訪問者が現れた。
「今日は早いわね。このまま午前はゆっくりしてられるかと思ってたんだけど。」
「そうだね。でも仕事はしっかりやらないと。」
「どっちが行く?」
どっちが対応してもいいけど昨日は結津姫に結構任せてた気がするし、今日は私メインの方がいいかな。
「私が行くよ。」
「ん、お願い。私は奥で待ってるから何かあったら呼びに来て。」
「分かった。」
一人目の訪問者は前髪が長くあまり身だしなみに気を使っていない感じで、良くない言い方ではあるが冴えない感じの男性だった。
「すいません、魔石の買取をしてもらいたいんすけど。」
「分かりました。ライセンスはお持ちですか?」
「あ、はい。えっとこれで。」
「ありがとうございます。………はい、確認できました。それでは魔石をこのトレーの上に置いて下さい。」
「あ、はい。」
置かれた魔石は小石程度のものとビー玉くらいのもので、昨日までに何度も見てきた一階層と二階層のモンスターからのドロップ品だった。数もそれぞれ二十個程と少ないのですぐに計算出来そうだ。
「重さは百五グラムと………三百三十グラム。とすると合計で………七百六十五円。」
一階層は一円、二階層は二円だから間違いは無いよね。
「査定が終了しました。合計で七百六十五円になります。こちら、ご確認下さい。」
硬化を小さなトレーに載せてカウンターに置く。
「あんまりいかないんすね。もう少し稼げるかと思ってました。」
「そうですね。ですが階層が下がって行くと魔石のサイズも大きくなりますのでその分価格も高くなります。この先より下層を探索することになれば多少ですが金額は増えると思われますよ。」
「そうっすか。じゃあもう少し下にも行ってみます。」
「下層は危険度も高くなりますので気を付けて行ってらして下さい。」
「分かりました。」
そうして男性を見送ってから、ゆっくりと息を吐く。そして丁度良く奥から出て来た結津姫に話し掛けた。
「ふぅ、取り敢えず今日の初仕事は上手く出来たかな。やっぱり初対面の人と話すのは苦手だよ。結津姫は凄いね。」
「言い寄られたのを断り続けてたら自然と出来るようになってたわ。要は慣れよ。来魅も結構言い寄られたりしてるんじゃないの?」
「私は結津姫程無いよ。あっても偶に呼び出されて告白されたりとかだし。」
学生時代は年に何回かあったなぁ、結局誰とも付き合わなかったけど。
「私もそんな風に扱われたいわ。いつも告白って感じじゃなくてなんとなく付き合えみたいな感じが殆どだから。やっぱり軽いと思われてるのかしらね。」
「私より真剣に考えて恋愛してるのにね。」
結津姫は結構ぐいぐい行くタイプではあるけれど、単純な一目惚れじゃなくてしっかり本質を見極めた上での行動だから軽さなんて微塵も無い。寧ろ重たいと言って良い程だ。なのにそれを理解しようとしない男性ばかり言い寄ってくるから結津姫は未だに自分からの告白以外で付き合ったことが無い。まあ告白して付き合っても結津姫のことを受け止めきれなくて別れてしまうんだけど。
「本当にね。顔で判断するのは仕方無いけど、せめて中身も見た上で決めろってね。その点翼くんはそういう感じが無くていいのよね。ちゃんと向き合って理解しようとしてくれるし。」
「そっか。上手く好きになってもらえるといいね。」
「ええ、絶対翼くんの方から好きって言わせてみせるわ。でも来魅も他人事みたいに言ってないで頑張るのよ。私から見てもあの子は今までの男とは違う感じがするからこれを逃したらきっと後悔するわ。」
「結津姫がそこまで言うのは珍しいね。分かったよ、自信は無いけどやれるだけやってみる。」
「ええ、応援してるわ。」
こうして話しているうちに午前の仕事時間は過ぎ去って行った。
昼の休憩を挟んで迎えた後半の仕事は時間になって間もなく始まった。
「これ、買取して欲しいんだけど。」
午後一人目の訪問者は午前とは打って変わっていかにも軽そうという感じの個人的にあまり好きではないタイプの男性だった。
「ライセンスはお持ちですか?」
「ライセンス?えっと、ああこれか。はい。」
「ありがとうございます。………確認出来ました。お返ししますね。それでは素材をこのトレーの上に載せていただけますか?」
「オッケー。ん〜とこれだな。どう、これ三階層の魔石だぜ。こいつを落としたモンスター倒すの結構大変だったんだよ。」
そう言って置かれた魔石は確かに昨日まででも殆ど見ていないサイズの魔石だった。しかもある程度量がある。もしかすると思っているより戦える人なのかもしれない。
「三階層ですか。私はまだダンジョンに入るのも恐いのに、お強いんですね。」
「まあね。で、いくらぐらいになるの?」
「すぐに査定します。」
手早く魔石を量りに移し重さを量ると、結果は四百三十グラム。となると価格は千二百九十円か。
電卓で改めて間違いが無いか確認した後、専用の金庫から丁度の額をトレーに載せてカウンターに置き男性の側へと押し出す。
「合計で千二百九十円になります。」
「ありゃ、あんま高くないんだな。」
「そうなんです。危険度を考えるともっと高くてもおかしくはない筈なんですけどね。ですが調査班の方々によると四階層からは魔石の重さも大きく増すようなので、しっかりと稼ぐのであれば四階層に進むことも一つの手だと思われます。当然三階層よりも危険ですが。」
「そ〜なんだ。じゃあ四階層行けるよう頑張ってみっかな。」
「くれぐれもお気を付けて。」
そうしていつものように見送りを済ませ結津姫のところに戻ろう、と思っていたんだけれど、男性はまだ帰る様子もなく話を続けた。
「それで話変わるんだけどさ、このあと一緒にゴハンでもどぉ?」
最初に話し掛けられた時点で嫌な予感はしていた。だがいざ誘われてみるとどうやって断るべきか、経験の少ない私には分からなかった。なので取り敢えず自分の出来る限りで断る態度を示すことにし、男性へと言葉を返す。
「すみません、この後もまだ数時間業務が残っていますので……」
よく見る定型文のような言葉で効果はあまり見込めないけれど、まずは遠回しに断ることからやってみた。
「じゃあ終わる時間にまた来るからさ。市役所だし五時くらいだよね。それからならいいでしょ?」
しかしやはり効果は無いようで、男性は諦めてくれない。それなら次はまた別の言い方で、
「ですが……」
「いいじゃん、ほら俺おねえさんのこと気に入ったんだよ。今日だけでいいからさぁ。」
と断ろうとしたのだが、その瞬間に男性がさらに距離を詰めようと言葉を重ねて来た。
不意を突かれ思わず黙ってしまったけれど、この流れはまずい。こちらに話をさせる気すらないのか、はたまたそうすることで押し切ろうという魂胆なのか分からないが、どちらにせよこのままだと私は狙い通り誘いを受けることになってしまうだろう。しかし場数を踏んでいない私の断り文句のレパートリーなど一瞬で尽きてしまう為、こう流れを切られてしまうと為す術もない。
やはり慣れない私ではこのタイプの男性の相手は出来ないんだろうか、そう半ば諦めかけていた所に後ろから声が掛かる。
「お客様、市役所内でのそういったことは御遠慮下さい。それと、彼女には業務時間後に別の方と会う予定がありますので。」
結津姫だ。私が男性に絡まれているのを察知した彼女が代わりに相手をしに来てくれたのだ。こうなってしまえば恐らく相手も諦めてくれるだろう。
そう安心していたんだけれど、
「それって女のコ?それだったらその子も一緒でいいからさ。ね?」
「突然他の方を連れていけばその方に御迷惑が掛かりますので。」
「ちゃんと説明すれば問題無いじゃん。なあいいでしょ、ゴハン行こ〜よ。」
この人には全く諦める気配が無かった。これ以上強く言えば穏便に済ませられなくなるし、やっぱり私が折れるしかないのだろうか。
「はぁ、ここまでしつこいならいいわよね。」
「え?」
暗い気持ちで俯いていた私は結津姫が突然口調を変えたことではっと顔を上げた。その瞬間、彼女の猛攻は始まった。
「何度も言ってるけどこの子には他に予定があるの!だから諦めなさい。さっきからずっとしつこいわよ!」
「しつこいってちょっと誘ってるだけじゃん。別に減るもんじゃないし一回くらいいいでしょ?」
「はぁ、直接言わないと分からないみたいだから言うけど、この子こんだけ可愛いんだから彼氏の一人くらいいるに決まってるでしょ!そんなことも考えられないの?他人の女に手ぇ出そうとしてんじゃないわよ!」
うわぁ、結構きつい言い方だ。お客さん相手に使う口調ではないけれど、これだけ言えば流石に諦めてくれる筈。
「いや、でもちょっと遊ぶくらいなら……」
え、まだ粘るの?流石にしつこすぎじゃ……
ギロッ!
わっ、結津姫の目つきが鋭くなった。これ私から見ても恐いかも。
「だから迷惑だって言ってんでしょ!そろそろ分かりなさい!ほら、もう買取は終わったんだから帰る!ここはそういうことをするお店じゃないんだからね!?」
「わ、わかったよ……」
「今度やったら通報するから!」
あ、逃げていった。流石にここまで怒られたらあの人も諦めるか。
男性が見えなくなったのを確認してほっと息を吐き、それから自分の為に男性の相手をしてくれた親友に感謝の気持ちを伝える。
「……はぁ。ありがとう結津姫、助かったよ。」
対して彼女はなんでもないことのように優しい笑顔を返す。
「大事な親友だもの、助けるのは当然よ。ああいう手合は何回も追い払ってきてるから慣れてるしね。」
「やっぱり結津姫は凄いなぁ。格好良くて惚れちゃいそう。」
彼女の頼もしい言葉に気が軽くなった私はそう冗談めかした称賛を送った。すると彼女は急に妖しい微笑を浮かべて私の顎をすっと持ち上げ、じっと瞳を見つめてこんなことを言った。
「あら、そんなこと言うの?いいわよ、私来魅みたいな可愛い子なら大歓迎だから。今日の夜でも家で可愛がってあげようかしら。」
「ふぇ?ゆ、結津姫……え、え?」
突然のことに訳が分からなくなった私がただただされるがままになっていると、
「………ふっ、来魅慌て過ぎよ。冗談に決まってるでしょ。確かに来魅は自分の子供みたいに可愛くて大事だけど、今の私は恋する乙女なんだから。翼くんに私を好きにさせるまでは他の子のことなんて考えるつもり無いわ。」
彼女は柔和な笑みへと表情を変え、そう口にした。その顔で私は混乱から抜け出し、再び安堵の息を吐く。
「そうだよね、良かったぁ。………あれ、それって翼くんと付き合った後ならあるってこと?」
「ふふっ、どうかしらね?来魅の想像に任せるわ。」
「またそうやってからかうんだから。私は結津姫のおもちゃじゃないんだからね?」
こうして親友の優しさに助けられながら、和やかに午後の時間は過ぎて行った。
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色々とお願いばかりですが、読者の皆様がこの話を読んで少しでも楽しさを感じていただけることが私としては何よりもの幸せです。楽しいこと、それを第一に今後とも作品と筆者共々よろしくお願いします。




