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34.マリエルに忍び寄る手

 皇帝一家との謁見の後は、晩餐をともにすることになった。


 カルクシュタイン王国の料理とは違う異国の味に舌鼓を打っていると、斜め向かいに座っているリーンハルト殿下が不思議そうに私を見ている。


 少しがっつきすぎただろうか?


「マリエル義姉様は兄上のどこが気に入って婚約されたのですか?」


 義姉様? リーンハルト殿下。少し気が早いのでは?


 ベルンのどこが気に入ってか?


 気がついたら婚約者になっていましたとは言えないな。さて、どう答えたものか?


「弟の僕が言うのも何ですが、兄上は見栄えがいいですし、賢いですけれど、性格に難があります」


 普通は家族を持ち上げるものだと思うが、正直だな。この弟。


「弟がすまないな、マリエ。聞き流してくれ。こいつはバカなんだ」


「ベルンハルト殿下は私にとって、安心できる存在ですね」


 第一印象は最悪で俺様系男子だが、ベルンはわりとつきあいがいい。


 何せルリアやルナが懐いているのだ。もふもふが懐く人間に悪い人はいない……と思う。


「安心するのですか? 兄上と一緒にいて。へえ」


 何やら感心されている。


 リーンハルト殿下はにこりと微笑む。


「ちょっと変わっているけれど、良い相手を見つけたね。兄上。マリエル義姉様、どうか兄上を虹のたもとまでよろしくお願いします」

「虹のたもと」の使い方が間違っている。それは亡くなったペットが飼い主を待っている場所だ。

「リーンハルト。それを言うなら末永くよろしくだ」

「えっ! 虹は栄光って感じではないですか?」


 リーンハルト殿下は天才肌かベルンのいうようにバカかどちらかだな。紙一重というから……。


◇◇◇


 今日はクリュタリオン帝国に到着早々、皇帝一家と謁見をしたり、晩餐をご一緒したりといろいろあって疲れた。


 主に気疲れだろう。


 疲れたが眠れないので、ルリアたちを連れて皇太子宮の庭園を散歩することにした。


 もふもふたちの散歩に関しては、ベルンの許可を得ている。


 今日は満月なので夜といえども明るい。


 芸術的な彫刻が施された噴水に月が浮かんでいる。


「青みがかった月ね。ブルームーンかしら? きれいね」


 噴水を覗きこむと、青みがかった月と被さってふいに少女の姿が映し出された。


 私はばっと顔を上げると同時にルリアたちが急に唸りだす。


「きゅっ!」

「ふー!」

「ぐるるるるる……」


 少女は優美な笑みを浮かべる。


「こんばんは。ローゼンストーン公女様。良い夜ですね」


 まさか!?


 幼い姿だが、面影がある。


 金茶色の髪に紫の瞳。


「エリアーナ?」

ついにエリアーナが登場?

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