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25.願いの洞窟

本日の更新は短いです。すみません。

 竜の里に眠っているという良質な天然石。それは険しい渓谷の底にあるという。


「無理っ! 無理無理! こんな深くて暗い谷に下りるなんて絶対無理!」

「俺がそばについている。安心しろ」

「安心できません!」


 ベルンが手をぎゅっと握ってくれるが、暗闇の中で私はパニック状態だ。生きた心地がしない。


「お前らだけでは心配だから俺がこうしてついてきてやってるんだ。感謝しろ」


 ベルンと私はラシードに乗って渓谷の底まで行く最中だ。暗闇の中の妙な浮遊感。まるで某アトラクションのジェットコースターのようだ。


 ラシードの話では、渓谷の底には天然石が眠っている洞窟があり、そこは『願いの洞窟』と呼ばれている。


 何でも足を踏み入れた者の願いが叶う天然石の下に導いてくれるというのだ。


 ホラーにしか聞こえないが、ここはエンシェントエレメンタルドラゴンが棲んでいる不思議な場所だ。何があってもおかしくはない。


 それにしても――。


「どうして私まで行かないといけないの!?」


 そもそも天然石を欲しがっているのはベルンだ。


「どうせならマリエの願いが叶う物が良いからな。そうなると一緒に来てもらわなければ意味がない」


 いや。適当に選んでくれればいいから。


「洞窟は明るいからな。安心しろ」


 気楽そうなラシードの声は妙に腹が立つ。


「安心できませーーーーーん!!!!!」


 私の絶叫が渓谷に響く。


◇◇◇


『願いの洞窟』はラシードの言うとおり明るかった。おかげでパニック状態から私は解放されたのだ。


「わあ! きれい!」


 赤。青。緑。 


 様々な色の天然石がそれぞれを主張するように輝きを放って、とてもきれいだ。


「先ほどまで悲鳴をあげていたのに、げんきんなやつだな」


 ラシードは呆れているが、一寸先は闇状態の場所で悲鳴をあげない子供はいないだろう。


「ところでなぜラシード様までついてくるのですか?」

「俺がいないと帰りが困るだろう」


 ……確かに。この渓谷は深い。とても子供がよじ登れるものではない。


「前から聞いてみたかったのだが、マリエは何か願い事があるのか?」


 ベルンが首を傾げる。


「それは……」


 ある。第三次クレイナ戦役を止めてほしい。それが今一番の願い事だ。


 そう思った途端に視界がぐらりと揺れる。


「何!?」


 ぐるりと回転したような気持ち悪さに襲われて私は思わずうずくまる。


 しばらくして揺れた視界が元に戻ったかと思うと、ベルンとラシードの姿が消えていた。


「ベルン! ラシード!」


 辺りを見渡すが彼らの姿はどこにもない。


 一体、何が起こったのだろう?

マリエルの身に何が起こったのか!?

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