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23.竜の里に行こう

 ベルンが正規ルートでクリュタリオン帝国へ帰ってから、しばらくが経った。


「ルリア、ルナ、シルヴァー、今日はいい天気ね。お昼ご飯はガゼボで食べましょうか?」


「きゅい!」「みゃあ」「クウン」とそれぞれ返事が返ってくる。


 ちなみにブランは夜行性なので、部屋で眠っているのだ。


「ふふ。ではソフィアに頼みに行きましょう」


 いつものようにルリアたちと庭園で散歩をしていると――。


 突然、白い鱗に覆われた青銀のたてがみをしたドラゴンが降り立った。


 私が呆然としていると、ドラゴンから声が発せられる。


「マリエル、迎えに来ましたよ」


 ドラゴンから発せられた声は聞き覚えのあるものだった。


「もしかして、レイリさん?」

「はい。そうですよ」


 レイリさんのエンシェントエレメンタルドラゴンの姿は初めて見たが、きれいだ。


 ラシードよりは一回り小さな体躯。と言ってもドラゴンだからかなり大きいが……。


「迎えに来たとはどういうことですか?」

「これから竜の里に行くのです。さあ、わたくしに乗ってください」


 竜の里ってエンシェントエレメンタルドラゴンの故郷の?


 どうしてそういう話になったのだろうか?


 訳が分からず混乱していると、レイリさんにぱくっと咥えられ、ぽいと背に乗せられる。


「ひえっ!」


 咄嗟のことに間抜けな悲鳴が出てしまった。


「ルリアは自分で飛んできなさいね。母は本気を出すので付いてこられないかもしれませんが、場所は分かりますね?」

「きゅい!」


 レイリさんの問いかけにルリアは元気に返事をする。「任せておけ」と言っているようだ。


 しかし、レイリさんの本気とは?


 ばさりと翼を広げると、レイリさんは急上昇する。


「しっかり捕まっていてくださいね。マリエル」

「ちょ! ちょっと待ってください! 竜の里に行くのであれば用意をしないと!」


 出かけることを屋敷の者に伝えなければいけない。あとは手土産の用意とか……。


「後で伝言を届けさせますので大丈夫です。では行きますよ」


 いきなり浮遊感に襲われる。飛行機の離陸時やジェットコースターに乗った時に襲われる浮遊感の比ではない。


 空気抵抗が物凄い! 息がひゅっと止まる。


「ひゃあああああ!!!!! レイリさん! 息がっ! できまっせーーーーーん!!!!!」


 必死にレイリさんのたてがみを掴んで叫ぶ。今にも振り落とされそうだ。


「ああ。失礼しました。結界を張りますね」


 周りの空気が変わった。空気抵抗がなくなり、地上にいる時のように息ができる。


 私は深呼吸をして息を整えた。


 振り返るとルリアの小さな姿が見える。一生懸命羽ばたいて、かろうじてレイリさんに追いついてきているようだ。


「ルリア! 大丈夫ぅぅぅぅぅ?」

「きゅいーーーーー!!!!!」


 ルリアは小さな手を振っている。どうやら大丈夫そうだ。


 そういえば、ルナとシルヴァーを置いてきてしまった。あの子たちは賢いから、自分で部屋に戻れるとは思うけれど……。


 伝言を届けてくれると言っていたが、あまり遅くならないうちに帰らないといけない。


 そういえば、竜の里ってどこにあるんだろう?


 ラシードやレイリさんが気軽に我が家に遊びにくるくらいだから、そんなに遠くないのかもしれない。


「レイリさん、竜の里はどこにあるのですか?」

「人間たちが世界の果てと呼ぶところです」


 世界の果て!? 


 それは、私たちが住む大陸の海峡を渡り、さらに東の大陸を超えると見えてくるという巨大な山のことだ。


 見たことはないが東の大陸の伝承によると、地上からでは頂上を見ることができず、山に登った者は二度と帰ってこれないという。


 およそ人類が踏破できるものではなく、人間の領域ではないと言われている。


 そんな場所に竜の里があるのだという。


「めちゃくちゃ遠いではないですか!?」

「わたくしたちエンシェントエレメンタルドラゴンであれば、一瞬です。大丈夫ですよ。帰りも送りますから」


 そういう問題ではない!

竜の里はどんなところなのだろうか?

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