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18.マリエルとベルンハルトの婚約式

 通常、国同士で結ばれた婚約は代理人を立てて婚約式を執り行うものだ。


 そのため、本人同士は結婚式当日に初顔合わせということも少なくない。


 ところが今回は本人たちがいるということで、急ではあるがこのままカルクシュタイン王宮で婚約式が執り行われることになった。


 クリュタリオン帝国での婚約式は、後日あらためて執り行うとのことだ。


 婚約式を執り行うため、王宮へと向かう馬車の中でベルンハルト皇太子にルナのことを話す。


「皇太子殿下。いただいた子猫は騶吾という瑞獣だそうです。仁徳のある君主が現れた際に姿を見せるらしいです。良かったですね」

「騶吾? 東の大陸に現れるという瑞獣か? あの子猫が?」

「ルナを返せと言われても返しませんが」

「マリエルに贈ったものだ。返せとは言わないが……しかし」


 皇帝陛下か? 皇太子殿下か? どちらかは分からないが、瑞獣が姿を見せたということはクリュタリオン帝国は栄えるということだ。


「なぜあの子猫が騶吾だと分かったのだ?」

「ラシード様がそう教えてくれました」

「ああ。ラシードが言うのであれば確かだろうな」


 エンシェントエレメンタルドラゴンの目は『竜の瞳(ドラゴンズ・アイ)』と呼ばれ、生物の能力を見ることができる特殊な能力があるそうだ。


 RPGなんかで出るステイタスのようなものが見えるのだろうか? 何それ? ずるい。私もそんな能力が欲しい。


『鑑定』とか『ステイタスオープン』とか日本語で詠唱したら、見られるのだろうか? 今度試してみよう。



 王宮内にある礼拝堂で王族と重臣が見守る中、私とベルンハルト皇太子との婚約式が執り行われる。


 急ごしらえの婚約式は簡略ではあるが、滞りなく進行されてつつがなく終わった。


 婚約を祝う晩餐の席はまだ幼い子供ということもあり、王族と大公家、ベルンハルト皇太子のみの内輪だけの食事会となったのだ。


 先ほどからエドアルト王子が妙にベルンハルト皇太子に絡んでいる気がする。


 一見、仲良く会話をしているように見えるが、エドアルト王子の笑顔が不自然だ。


「ところで、ベルンハルト皇太子はチェスは得意ですか?」

「得意とはいえないが、嗜み程度にはできる」

「後で対戦をしてみませんか?」

「構わない」


 ベルンハルト皇太子は淡々とエドアルト王子の相手をしている。


 そして――。


 子供たちだけになった時に事件は起きた。


「ベルンハルト皇太子! マリエルを賭けて勝負だ!」


 はあ!?



 エドアルト王子がベルンハルト皇太子に指を突き付けて、チェスの対戦を挑んでいる。


 少し失礼だとは思うが、大国の皇太子と王子同士だ。それは、まあ、構わないだろう。


 問題はこれが賭けで、私が対象だということだ!


「ほお? マリエルを賭けて勝負とは?」


 ベルンハルト皇太子の片眉が跳ね上がる。


「マリエルは僕が婚約者にと望んでいたんだ。それなのにクリュタリオンが横からかっさらった!」


 エドアルト! お前もか!?

エドアルトくん、ご乱心!?

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