表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
96/103

目覚めの時

その手紙はそこで途切れていた。


ここに書かれている通りに、涙が落ちたのだろう、文字が滲んでいる。


ゴミに捨てられていないという事は、このまま出すつもりだったのか。それとも、捨てるに捨てられず、置いたままにしていただけなのか。ファビアーノには分からない。


ファビアーノは手紙を手にしたまま、目元を手のひらで覆った。その口から零れるのは、謝罪の言葉である。


「すまない、アイリ……。どうして、すぐに信じてやれなかったのか」


一瞬でも疑ってしまった自分が許せない。もっと早く、会いに来るべきだった……。


しばらくして、自分を責め、泣いているようにも見えるその背後で、寝室の扉がゆっくり開かれた。


「ミーナ、水をくれない……」


寝起きの少し掠れた声が、途中で途切れる。振り返ったファビアーノの目には、何度も瞬きをするアイリが映った。


アイリは目を見開いて、立ち尽くしている。


驚いた時のその顔に、寝起きのせいで跳ねているその髪にさえ、愛しさが込み上げた。


二人はそのまま、長い間見つめ合う。先に口を開いたのは、アイリだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ