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新しい日常

マリッカの喪が明けると、アイリは第一王妃となり、それと同時に王子と王女の養育係となった。様々な異論もあったが、――特にマリッカの実家から――マリッカの遺志とあっては、無視するわけにもいかなかったのだ。


きちんと後の事も考えて書面で遺してくれた事に、アイリもファビアーノも感謝したものだ。遺書が無ければ、国王のみの判断とされる所だった。国王といえども、長年仕えてくれているアハティアラ家に対し、それで反感を買うのは得策では無かったのだから。王宮の地下墓所で眠るマリッカも、目一杯感謝してちょうだいね、と笑っている事だろう。


そんなファビアーノは、養育しやすいようにと、アイリを真珠の宮へ移した。荷物などすべて移すのは大変だろうと、珊瑚の宮もそのままにしてある為、たまに行ったり来たりしている。


真珠の宮の侍女たちはそのままアイリに仕える事を望み、珊瑚の宮の侍女たちと合わせると、結構な人数になった。子育てなどもちろんした事の無いアイリにとって、それは大きな手助けだ。


マティアスもエヴェリーナも、何度も真珠の宮でアイリと顔を合わせている。母親であるマリッカがアイリに優しいのを見ていたのだから、懐くのに時間はかからなかった。だからか、アイリが真珠の宮で暮らす事になっても、二人はすんなりと受け入れたのだった。


二人とも、母親がもう居ないことは漠然と理解しているようだ。時折泣きながら目を覚ます事もあるけれど、アイリを慕ってくれている。それが嬉しくて、マリッカ様の為にも、親代わりとしてしっかりしなくては、とアイリは頑張っていた。


ただし、それを受け入れていないのが一人。もちろん、第二王妃オネルヴァである。オネルヴァは、自分を差し置いて第一王妃となったアイリに、敵愾心を抱いているようだ。


式典などで、決してアイリと口を利かないのがその証拠。マリッカに対していた時と違ってそれを隠そうともしないのは、アイリが年下だからかもしれない。


だがファビアーノはそれを、気にする事はない、との一言で片づけてしまった。ファビアーノにとってオネルヴァはもはや、それくらいの存在になっているのだ。


アイリに直接言った事はないが、名前を出すと嫌な顔をするのだから、聞かなくても分かった。幸い、儀式などでしか顔を会わせないため、直接的な諍いは今のところなく、アイリも安堵している。


王宮はいつものように、何の事件も起きる事なく、ひっそりとしていた。


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