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灰金色の王妃
王宮にアイリが戻ってからしばらく後、ファビアーノはかつて王妃が暮らしていた三つの宮を取り壊し、新たに天藍の宮を造らせた。
そこには、アイリとファビアーノの為の部屋、そして、子供たちの為の部屋がある。国王一家が、一緒に暮らすための宮である。
今まで、国王だけ瑪瑙の宮で暮らしていた事に、ファビアーノが常々疑問に思っていた事から始まり、結果として、より一層の絆が深まったようである。
それゆえにか、アイリはこの三年後に、双子の女児を出産した。
国王一家は仲睦まじく、国民たちの理想の家族像とされ、家族の肖像画が何枚も残っている。
やがて、ファビアーノはマティアスに位を譲ると、アイリと共に離宮に暮らした。
たまに子供たちが訪れるくらいで、ほぼ二人だけの、穏やかな生活だった。
月日は流れ、ファビアーノが先に亡くなってからも、アイリの愛は消えなかった。
ようやく自分の時が来たと知った時、これでようやくまた会える、と微笑んでいたほど。
三番目の王妃として輿入れした彼女が、これ以上無いほど幸せな一生を過ごした話は、今でも彼の国で語り継がれている――。