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異世界に飛ばされた俺が師匠に拾われて最強の内丹術使いになりました  作者: 楊文理
第一章ーー伏竜鳳雛の目覚めーー
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ーー伏竜鳳雛の目覚めーーその③

これまでのあらすじ

第2王女捜査をサボっていた太一だったが、魔導師局から派遣されたマドンナ・ヘイグ中尉に無理矢理仕事をされられてしまった。

グダグダ話しをしながら情報収集していると、盗賊団と軍の上層部が癒着している事とアジトの場所を知る。

そこで本部にアジトの場所を届け出て捜索してもらおうとしたが、捜索隊が壊滅したため、自身で探しに行かなければならなくなった。

果たして無事に姫を見つける事が出来るか?

 日が昇りきった昼時に、2人の男女が平原の道を歩いて行っていた。

 男は余裕の表情で軽快な動きで歩いていたが、女はその後ろを一生懸命に追いかけていた。


「おーい!タイチさん待って下さいよぉ〜」


 太一の歩く速さが早い為、どんどん引き離されて行く女が泣き言を上げたが、太一は聞く耳を持たずに。


「マドンナ…お前が勝手についてくるって言ったのに何で待つ必要があるんだ、早く来い」


「歩くの早過ぎですよ、私だって軍人ですけどそんなに早く歩く人初めて見ましたよ」


「まあ山歩きが多かったし、平地ならこんぐらいのスピードで歩けるからな」


「別にそんな事聞いていませんよ、それより何で朝早くに出たんですか?このスピードなら昼からでもすぐに着きますよ」


 なんとか追いついたマドンナが、疑問に思っていた事を太一に対してぶつけてみると、男は面倒くさがりながら一言だけ言った。


「面倒くさいから…」


「はあ!?姫様の救出ですよ、やれば栄誉が授けられるんですよ!」


「いやぁ…そんな物興味ないし…」


「えーーーー!」


 グダグダと話しをしながら、道なりに草原を進んで行くと、アジトへと通ずる森の入口へと辿り着いた。


「この森の奥に、アジトがあるんですね。早く行きましょうよ!」


「いや、少し待て」


 焦るマドンナを静止して。太一は地面に手をつけ、氣を流し始めていた。

 それを見て謎に思ったマドンナは、太一に質問していた。


「何してるんです?」


「罠を調べているのさ。おぉー、成る程こんな感じに仕掛けられてたのか…こりゃ引っかかるわな」


 太一が何かがわかった様に呟くと、森の入り口に入って行った。それに続いてマドンナも後ろに並んでついて行った。


 森の中は昼なのに薄暗く、人を拒絶する様な雰囲気を醸し出していた。道中には軍人の死体も落ちていて、正に魔の領域の様だった。

 太一が罠を剣で破壊しながら道なりに歩き、15分後にアジトの入り口へと辿り着いた。


「ここがアジトの入り口ですかぁ…まるで洞窟の入り口ですね」


 アジトの入り口は岩山をくり抜いたような見た目で、正に盗賊団のアジトの様な感じだった。しかし太一はその入り口から入ろうとせずに、隣の岩を叩き始めていた。


「何してるんですか!道草食ってないで早く入りましょうよ!」


「その入り口は罠だ」


 太一はそう言って、途中で拾った枝を入り口投げ込んだ。その瞬間。


 ーーバギィィィィィ!メキメキメキ!


「うわぁ!」


 枝が洞窟の中の床や壁から生えてきた槍に貫かれてバラバラになるのを見て、マドンナは腰を抜かしてひっくり返った。


「なっ、言っただろ罠だって。本当の入り口はこの壁だ!」


 太一が洞窟の壁を思いっきり殴り壊すと。


 ーードガァァァァァァァァァン!


「あっ!これは!」


 そこにはポッカリと空いた穴が、奥へと続く道へと繋がっていた。そちらは穴が小さい代わりに、地下へと繋がっている階段があり、明らかにそちらが本当の入り口なのは一目瞭然だった。


「凄いですね!何でこちらに階段があったのがわかったんですか?」


 マドンナが興奮しながら太一へと抱きつくと、太一は身体の感触を感じて、恥ずかしそうに。


「そりゃ……あの…俺の術的な奴だよ…さぁ行くぞ、離れた離れた!」


「あっ……」


 身体に引っ付いているマドンナをひっぺがして、太一は階段を下り始めたのを、マドンナが後ろから急いでついて行った。





 ーーアジトの中ーー


「オイオイ、俺達は何の為にこの倉庫を守っているんだ」


「文句言うなよ、これも大切な仕事だぞ」


「いや…ここの入り口は普通の人間にはわからないんだ、守る事自体間違ってるだろ」


「確かにそうだけどさ…」


 2人の男盗賊の下っ端が倉庫の警備を任されていたが、モチベーションが下がり注意力が散漫としていた。

 その時、何か物音が辺り一面に響いた。


 ーーカチャ…………!


「ん…?」


「おい、何だ今の音は。俺が確かめに行くから、お前はそこにいろ」


「あぁ…わかった」


 片方の男が不審に思ったのか、音源まで歩いていったが。五分経っても一向に帰ってくる気配が無かった。


「オイオイ、サボりかよ…全くしゃーねーな」


 残された男は、先程歩いていった男がサボっていると思って、自身もサボる為に持ち場を離れて音源の所まで歩きに行ったが。


「サボるなよ、兄ちゃん」


「なにィィィ!」


 歩いている途中に背後から男の声が聞こえたので、抜刀して背後に斬りかかろうとしたが。一瞬の間に頭に激しい衝撃が走りそのまま昏倒してしまった。


「これで15人目かな?」


「相変わらず気配消すの上手いですねー」


「そりゃ氣関係は専門だからな…出来なきゃ流石にやばいよ」


「では、奥に進みましょー!」


「おいおい、先は長いから急ぐなよ」


 太一とマドンナは盗賊を一人一人倒しながら進んでいた。気配を消しての隠密行動は、太一の特権分野の為サクサクと倒して行く事が可能だったので、手際よく無力化を進める事が出来た。


 そしてアジトの中を半分ほど進んだ所で、前方に多数の盗賊が待ち構えていた。


「今まで手こずらせやがって……流石に30人もいればお前も倒せないだろう!」


 盗賊達が太一達の方を向いて嘲笑っていたが、太一は余裕の表情で笑い始めて言った。


「30だと?お前らぐらいならあと二桁上げても倒せるぞ。さあどうした?御託を並べる前にかかってきな、今更臆病者の様に、死ぬのが惜しいなんぞ言わないよなぁ?」


 小馬鹿にしたような表情で、煽りを織り交ぜながら言うと。盗賊達は怒り狂いながら太一に突撃してきた。


「お前が死ねやァァァァァァ!」


 まず1人の盗賊が持っているサーベルで、思いっきり突いてきたので。近くにいたマドンナを優しく壁際に突き飛ばして、柳葉刀を抜刀して受け流した。


「おいおい、馬鹿じゃ無いんだから。そんな単調な突きは効かないぜ」


 刀を通して氣を流し込んで、人体を破裂させて殺した。

 その光景を見て物怖じをした盗賊達が後ずさりすると、奥から巨大な両刃剣を持った巨漢の顎髭を生やした男が歩いてきた。

 男は太一の方を見ると、嬉しそうに笑いながら話しかけてきた。


「ほぉ……そこそこやる様だな兄ちゃん。特級魔導師か」


「アンタは誰かな?」


 太一の素っ気ない返答に、男は残念そうな表情になりながらも、自己紹介をし始めた。


「俺の名前はジェイクだ、ここの副隊長をしている。アンタの質問に答えたぜ、さあ兄ちゃんの名前は何かね?」


「俺の名前はタイチ中佐だ」


「成る程、ここまで入ってきたのはアンタが初めてだタイチ。しかし俺がお前を殺すからここで終わりだな」


 ジェイクは両刃剣を片手で構えてながら、思いっきり声を上げて力を込めた。


「ウォォォォォォォォォ!!!!」


 声の音圧だけで洞窟が振動して、辺りにいた盗賊とマドンナが吹き飛ばされたり腰を抜かしたりしたが、太一だけは楽しみを抑えきれない様に笑っていた。


「タイチ中佐!大丈夫何ですか?相手はかなり強そうですよ」


 顔を真っ青にしながら太一に向かって心配事を言っていたが、本人はそんな事を全く気にしてなく。


「やっとで俺も力を出す事が出来る!さぁ盗賊の強者よ。お前は泛駕之馬と同じ類の人間か、それともただの弱者か、さてどっちかな!」


「ぬかせェ!」


 剣を片手に双方地面を思っ切り蹴り飛ばしながら突撃し、臨戦態勢へと移った。こうして物部太一、生涯最初の一騎打ちを開始した。



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