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異世界に飛ばされた俺が師匠に拾われて最強の内丹術使いになりました  作者: 楊文理
第一章ーー伏竜鳳雛の目覚めーー
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ーー伏竜鳳雛の目覚めーーその②

これまでのあらすじ

アルヘーンに辿り着いた太一は、お上りさんの様にぶらぶらしていると。

走ってきた女の子とぶつかってしまい、怪我をさせてしまう、その怪我を治してあげると、女の子は太一の目的地まで案内してくれると言い、そこまで案内してくれた。

案内している途中に名前を聞き、太一が鼻を伸ばしているとあっという間に目的地に到着した。

目的地の魔導師局で特級魔導師の手続きを済ませて、昼食をたべようとしていると。

第2王女が拐われたという事件が起きて、都市中が大騒ぎになっていることが発覚した。その似顔絵を見て太一は思わず腰を抜かした。

その似顔絵は先程案内してくれた女の子、シャーロットとそっくりだったからである

「はぁ……俺も探しに行かないといけないのか…」


「やる気を出してください中佐殿、もし盗賊団を一網打尽にすれば階級も上がりますよ!」


「いやぁ…そうだけどさぁ…」


 嫌々連れて行かれた太一は、功にがっついている部下を諌めながら情報収集を行っていた。


 ーー今から3時間前ーー


 ーー第2王女、シャーロット・サルヴァドーリ誘拐


 今まで前例の無い国を揺るがすとんでもない事件に、軍隊の士官以上は強制的徴収され、探しあげて救出した者は二階級の特進と、特別給与が出るという任務を言い渡された。


 当然、士官達は今回の昇進のチャンスに浮き足立ち、我先にとアルヘーンの都市で部下を引き連れ聞き込みを始めたが。1人の男だけはその任務をすっぽかしてカフェで堕落していた。


「軍人さん、行かなくて大丈夫何ですか?このままじゃ功を取られますよ?」


「いえいえ…僕は別に地位を上げるとか興味がありませんから」


「はぁ、そうですか。しかしよく食べますねぇ…これで6枚目のパンですよ」


「ははっ、これでも地元で僕は健啖家で知られてますから」


 パンと紅茶を沢山飲み食いしながら、右往左往している他の士官を眺めていると。


「すみません、タイチ・モノノベ中佐でしょうか?」


 後ろから女の子の声がしたので振り返ってみると、そこには軍服を着用した女の子が敬礼をして立っていた。


「あぁ…そうだが、君は僕に何か用があるかな?」


 太一は困惑した表情で返答すると、女の子の笑顔になって。


「すみません、申し遅れました!私はマドンナ・ヘイグ中尉と申します。魔導師局から直々に配属を承ってここに来ました。以後お見知り置きを」


「マジか、それで何で俺に対して配属されて来たの?」


「それは、局長が中佐を任務に駆り出せという命令を出したからです」


「はぁ………って嘘だろォォォォ!」


「コレが書類です、任務終了まで宜しくお願いします」


 その報告を聞くと、太一は椅子とともにひっくり返ってしまった。

 こうして太一は無理矢理任務に駆り出される事になってしまったのである。


 ーーそして今に至る


「もうやめにしない?別に他の奴が見つけるでしょ?」


「だーめーでーす!仕事はきちんとするって特級魔導師の契約内容にも書いてあるんですから、しないと剥奪ですよ!」


 マドンナの容姿は小動物のような見た目で愛らしい感じだったが。きちんと身体は出るとこが出ていて、性格は意外と真面目な部分があり、仕事をサボろうとすると引きずってでも働かそうとしてきた。


 ゴタゴタしながら道を歩いていると。太一が何かを感じ取ったのか、道角の街灯の裏に隠れた。


「何ですか、急にーームグゥ!」


「いいから黙ってな、あそこで話をしてるぜ」


 太一がそう言って指を指した方向に、2人の男が密談しているのが見えた。


「あっ、あれは!ウチの軍人と…誰?」


「アイツは盗賊団の奴だな。成る程、カラクリがわかったぞ」


 その2人は密談を終えた後に、互いに何かを渡し合っていた。

 それを見たマドンナが声を上げた。


「あれは……お金だ!」


「予想通り、やっぱり出来レースだったのか。何しろ第2王女のお忍びの外出なんて日程がわかる奴が殆どいるわけがない、それを知っている上層部の誰かが、盗賊団に情報を流し捕まえさせて、その後救出したように見せかけて返してもらい特別報酬をがっぽりせしめるって計画を立てたのか…成る程、やる事が小悪党過ぎるな」


「解説は大丈夫ですから!あの2人は捕まえなくて良いんですか、情報を聞き出せますよ!」


 太一が刑事ドラマの様に解説を垂れてるうちに、2人は立ち去ってしまったので。マドンナが追いかける様に急かしたが、太一は動かずに。


「追いかける必要は無い、もう場所がわかるように氣を引っ付けてある」


「氣を引っ付ける?」


 マドンナが意味もわからずに首を傾げていたので、太一は頭を叩きながら説明した。


「俺の使う内丹術には、《神通眼》って術がある。本来は過去未来現在全てを見通せる眼だが、俺は未熟だから自身の氣を少しでも触れていた物の現在しか見るとこが出来ない。だからあの2人に氣を引っ付けておいたから、もう逃す事は無い」


「はぁ…………凄いですね!それじゃあもう姫様を探しに行けるじゃ無いですか!」


 話を聞いて喜んでいたマドンナを尻目にして、太一は内心笑っていた。


(本当は少し過去未来も見れるから、ぶっちゃけすぐに解決は出来るんだよなぁ…)


 しかし太一には、少しネックな事情があった。


(問題は、果たしてその上層部の内通者がわからないと、解決出来ても再度同じ事が起きてどうしようも無いのが現状なんだよなぁ…過去を見てもそこまではわからないから、直接盗賊団の頭から聞き出すしか無いか…)


 この先どの様に動くかを方針として固めた太一は、マドンナと一緒に一度本部へと戻って、色々と都合の悪い情報を隠して報告した。

 すると、本部にいた1人の魔導師が兵士を連れて行き、解決してみせると言い始めた。


「私の私兵と魔法ならすぐにでも姫様をお連れして帰ってこれる!」


 胡散臭い金髪魔導師がそう公言していたので、マドンナにどの様な人物かと聞くと。


「ウィリアム・レギンス氏ですね。そこそこ規模の大きな貴族で、中佐と同じ一級魔導師を持っているくらいの実力もあります。しかし…」


 マドンナの言葉が急に詰まったので、太一が問いただしてみると。渋々口を開き始めて。


「慢心をし過ぎるのと、火力制御が苦手過ぎて被害を出し過ぎるのが弱点ですね。まあ火力だけならこの国でも最上位の人間なので大丈夫でしょう」


 この先の顛末がわかってしまう様な弱点を聞かされて、太一は思わず目を覆ってしまった。


 その後、意気揚々と部下の私兵と一緒に盗賊団のアジトへと行ったウィリアムだったが、その3時間後に半数の人間がいなくなっていて、本人はボロボロになって帰ってきた。


「わ…私は最善を尽くしたが、生憎幸運に見放されてしまっていたのだ…もしよければ、新人の君にも頑張って欲しい」


 着ているローブを穴だけにし、全身が泥と血で塗れているウィリアムに期待の目で頼まれてしまったので、太一はマドンナと一緒に、盗賊団のアジトへと向かわなければならない状況へと追い込まれてしまった。


 ーー次の日の早朝ーー


 日が出るか出ないかという時間に、都市の巨大な門の前に2人の人影があった。

 2人組らしき男女は同じ目的で集まっているのに、それぞれ言っていることが正反対だった。


「遂に盗賊団のアジトに向かうんですか!任務達成の為に、お互い頑張りましょう」


「はぁ………何でこんな事になるんだろう…めんどくさ」


「そんな辛気臭い顔しないで下さい、これから頑張るんですよ!」


「はぁ…わかったよ、それじゃ行くか」


「はい!わかりました」


 1人のやる気がまるで無い男と。それと対照的で、元気いっぱいの1人の女の子のコンビが朝焼けの向こう側へと消えて行った。


 今から向かうは悪逆非道な盗賊が潜む魔の領域。果たして、乱暴狼藉を働く盗賊を倒し、姫を救出する事は出来るのか……

ブックマークやポイントなどの評価を糧に頑張って行くので応援宜しくお願いします。

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