第2話 トビラの向こう側
トビラの向こう側はどこかの街につながっていた。
振り返ると、そこにはトビラはなく街の外に続く道しか無かった。
「とりあえず情報収集からだな」
情報が欲しい時はやっぱり図書館だよな!
とりあえずどこにあるか聞いてみようか。
「すいません、図書館ってどこにありますか?」
道行く1人の女性に聞いてみた。
「そこの角を曲がったところだお」
女性は丁寧に指を差して教えてくれた。
それにしても……だおってなに?だおって?
まあいいや、とりあえず礼を……
「っていないし……」
辺りを見回しても女の人の姿は無かった。
「帰っちゃったのか?とりあえず図書館行くか」
そして言われた通り、角を曲がって図書館に到着した。
中に入り、受付の人にお金を渡し入場する。
そこには大きな本棚が並んでいた。
「さて、調べますか!」
ーー数十分後、俺は図書館から出た。
どうやらこの世界には火、水、風、土属性の4つの魔法が存在していて、一定の人のみが使えるユニーク魔法という物もあるらしい。
にしても、入場料10シルド(日本円で1000円)って高くない?
ちなみにここ、アルフェリア皇国では毎年、皇星祭という武闘大会が開催されていて、今年も開催されようとしていた。
「エントリーってどこでやってるんだろ?」
そして俺は今、それに出場しようとしていた。
エントリーするための受付を探していると辺りが騒がしい事に気付いた。
「おいテメェ、俺の肩にぶつかって来るとは、いい度胸だな……あ?」
「すいません、本当にすいません!」
多分あのおっさんがそこで謝ってる女性にわざとぶつかったんだろう。
俺は考えるより先に声を出していた。
「ねぇおじさん、ぶつかったくらいでそんなに怒るなよ、な?」
ここはフレンドリーにいこう、フレンドリーに。
「誰だテメェ?俺に喧嘩売ってんの?」
「いやいや、別に俺は問題を起こさないようn グフッ!」
言い終わる前に殴られたよ。
痛い、すごく痛いよ!
こいつ、やってくれたな……もう怒ったぞ。
俺は父さんに貰った刀を鞘から引き抜き、構える。
「もう許さない」
「チッ、調子に乗んなよ⁉︎」
うわ〜、こいつ普通に殴りかかってきたよ。
「疾風迅雷!」
体の周りに突風が巻き起こる。
「積みだ、おっさん」
一瞬で後ろに回り込み、刀身を男の背中に突きつける。
「い、いったいなにが……?」
威嚇するように睨みつける俺氏、かっこいい!
「た、頼む!い、命だけは!」
「俺だってそこまではしないよ、でも次こんなことしてるの見つけたらその時は……【殺すよ】?
「は、はい!すいませんでした!」
男は走って逃げて行ってしまった。
すると周りから「あいつ何者なんだ?」とか「すごいな、あの人」という声が聞こえてきた。
いやぁ、それほどでも……あるけど。
っと、大問題になる前に立ち去ろう。
「待て!」
なにこのイケボ⁉︎
声の聞こえた方には青い髪が特徴的なイケメン騎士が立っていた。
「えっと俺に何か用ですか?」
「姫様がお前に会いたいそうだ」
は?いやちょっと待てよ、なんで俺が姫さんに呼ばれんの?
意味わからん、俺なんかしたの?あっ、今したわ。
断ったら面倒くさそうだし、ついて行くか……
「分かりました……」
「こっちだ、ついて来てくれ」
こうして俺は皇国の姫様に会う事になったのだった。