4,闇はすべてを包み込む
神官さん(笑)の説法は終わるというかグタグタのうちに解散となる。彼は神への信仰を説かない、彼は如何生きていけばいいか説き、現実問題の些細な解決策を説く。
世界は神の手を離れ人の手によって営まれている、彼はそれを知っているから神々の話をしても神々に頼ることを説かない。人は【勇者魔王戦争】のあとで自分で立つことを選んだのである。選んだのは一人の小さな子であるのだが・・・・・・・・・・・・
彼は未だ異端である。彼は「神々よ救いたまえ。」と言わない。「神々よ照覧あれ!」と自らを鼓舞するのである。彼の信奉者も苦難を超える様を無様でも照覧あれと誇り歩みを進め倒れる時も前のめりなのである。
彼にしてみれば異世界出身で神々に対する信仰心が皆無であるのに加えその痴態を見ているので意地でも頼りたがらない。例外は極光の女神とその眷属神と冥界の神々他数柱である。頼る位ながらば殴っていうことを聞かせるなんて言うのは色々間違っている。
彼の出身世界が神々を慰撫して善性を引き出そうとか理不尽きかせるならば神ですら殴るという文化があるからかもしれない。色々残念な文化圏である。この場合この世界の神々が残念・・・・・・・・・・・・げふんげふん。
彼は【聖徒】の神殿で話すことはまずない。話したら寄付金が激減である、信仰は自らのうちにあり祈りではなく行動にて神々に示せなんて説いたら【神殿協会】経営危機である。それをやったら世界の敵扱いで命がいくつあっても足りない。【神殿協会】自体も当時人心の安堵と【人族連合】設立に尽力したり、力なき民の安息所及び最後の盾として活動していた歴史があるのだから一定の価値を認めているのである。実際に現在も大半の孤児院や貧窮院といった救護施設を経営しているのが彼らであるのだし、寄付金の一部は【療養神殿】や【工芸神殿】を通じて技術やなんやかんやの発展のために使われているのである。決して神官や神職達の私利私欲のための組織ではない。寄付金で多少飲み食いしても大半の者は清廉と言わないまでも多数の奉仕者であるのである。彼等は信仰と技能で世界を支えているのである。
「神官殿!私言いましたよねぇ!料理の話だけではなくて神々の偉大さを伝える・・・・・・・・・・・・」
「ああっ!神々が偉大だって?力あるだけの・・・・・・・・」
「未だ神々にすがらないと立ち上がることができない子供等がいるのですよ、それに対して神はいないと希望をつぶすような・・・・・・・・・・・」
「神はいないといっていないよ、神は使えないと・・・・・・」
「つかうな!」
「俺が敬意を示すのは極光神様と冥界の神々だ。・・・・・(大人の事情につき削除)の神ときたら一人立ち上がる子供の菓子を奪い生活の糧を未だ思い出しても腹が立つ!」
菓子を奪われた子は鬼籍に入っているけど成功して妻子が【白の都】で店を営んでいる。【神々ですらつまみ食い】等という店名を掲げて現地の各神殿御贔屓である。子供はいつしか俺も神がつまみ食いしたくなるような菓子を作ると息巻いているのは孫弟子にあたる子が意地を示しているのは勇者(笑)も歓迎して有形無形の助力をしている。孫弟子にあたる子は孤児院に菓子の差し入れをして父の苦労を偲んでいる。彼もまた涙を知る者、孤児院の連中は父親の付き合いで知り合っていて弟妹分だと思って身銭を切る好漢である。後に神官(笑)の薫陶を得て「やらない善よりやる偽善」といったら「はいはい、ツンデレツンデレ」と後の世からは『ツンデレなお菓子屋さん』と評価されてしまうのは彼の人徳か笑い話か・・・・・・・・・・・
「おにーちゃんなにやっているの?」
「気にしなくていいよ。工芸神のは神々への賛歌がないことに腹を立てて、神官さんははぐらかしているだけだから。」
「いつものやり取りですわね。【信仰派】と【照覧派】の言い争いですからね。どちらも正しくてどちらも間違っていることをお互いわかっているじゃれあいですわ。」
「女騎士さん、ほっといていいの?」
「問題ないですわ。神々に相対する態度の違いであっても根底には神々への敬意が・・・・・・・・・・・・」
「それ、おにーちゃんほとんどないけど・・・・・・・」
「よく神官しているもんだね。」
「あれでも死霊っ子だの孤児っ子だのの擁護者として一定の評価得ているから切るに切れないのね。切っても彼自身で出来る範囲で救済活動を行おうとするしその出来る範囲というのがそこらの貴族と同じ程度はやりかねない・・・・・・・・・・・寄附金的にはもっと行けるから争うよりもそこは棚上げして共闘するほうが・・・・・・・・・っていうか、神官さん切ったら敵が増えすぎるというのが・・・・・・・・・」
「おにーちゃん何やっているの?その老醜まみれた外見とあいまって悪役にしか見えないんだけど。」
「お嬢さん、彼は現代における世界の悪役百選で堂々の殿堂入りしているのですよ。彼自身何も悪い事しているわけじゃないのですから余計に立ち悪いですね。まさか、『戦争は経済活動だ、人の命は金で換算しろ!』なんて本気で言って兵士一人の育成費用やら遺族への保障費用を公表するなんて暴挙、各国の好戦派が胃薬必至で火消しに回っているのは笑えない話でしょう。しかも国家機密とか言わないで自分で子供育てた結果だといってこれでも一般的な兵士にならないでしょうとかいって軍閥貴族の英才教育以上に仕込んだのを用意したんですよ。経験さえつめば即将軍クラスの軍略もできる人材を一兵卒に投入する意味って・・・・・・・・・・・・詳しく言っていたよ、愛国教育と共に具体的利益にならなければ侵略する意味がないとか・・・・・・・・・・・・・・・俺もそれで実家の軍閥貴族が落ち目になって・・・・・・・・・・・・・・神官さんそれに対する救済策用意しているのが厭らしくて・・・・・・・・・・・文官とか軍閥でも戦略研究とか防衛策を研究したり、他国と共に自国も繁栄する経済侵略試案とか研究させるのはどうなのだろうと思うんだが・・・・・・・・・・・・」
「うん、なんかごめん・・・・・・・・・・・・・・・・・おにーちゃん戦争嫌いだから・・・・・・・・・・・・まだましなほうだと・・・・・・・・・・・・・・本気になったら各国の重鎮やら王侯貴族を集めて習慣性のある毒物で従えたりととか・・・・・・・・・・・・・・・・・・経済を握って逆らえないようにしたりとか逆らったら世界中を恐慌状態にしたりとか・・・・・・・・・・・・蒼い太陽とか研究していたから・・・・・・・・・・・・・」
「まだましなのはわかったけど何で彼を呼び出したんだ?」
「私が聞いた話だと『世界を統べて聖王の元で・・・・・・・・・・』という人材を【勇者】として求めたらしいけど・・・・・・・・・・・【神殺し】で【突っ込み属性】で【おかん】がよばれたのはどう考えても予想外らしくて・・・・・・・・・・・・・・・なんかごめん。」
「なんであやまるんだい?」
途中で話しに混じってきた神職に答える死霊っ子(元)内情を知っていて再び生まれてくるときのために世界を地均しして置いてやると言う彼の発言を聞いている身としては居た堪れない。さらに追い討ちをかけるように
「神官さんはすごいんだよ。ちょっと前に戦争しようと意見が挙がった国があったんだけど、好戦派に対してさまざまな戦で犠牲になった死霊とか参加した死霊を『戦争に対する資料』として彼等の経験を一日四交代でじっくり聞かせていたんだ。数万の死霊の話だから未だに聞かされ続けているんじゃないかな?【冥界神殿】の弔い手の凄腕が呼ばれたんだけど数万の死霊を無理やり冥界送りするのに比べたら話を聞けばちゃんと向かってくれるという事で話を聞いておけと無視されたんだ。貴族連中が精神崩壊寸前で【勇者召喚】を試みたんだけど、呼ばれた勇者が神官さんに意気投合してその国の重役に治まっている。その国はいい国になったよ、民草がちゃんと肥えて喜べる暮らしができるよい国に・・・・・・・・・・・・・俺を含めて貴族連中がないているのは笑い話にしておいて、俸給は確かに上がったさ・・・・・・・・・・・・・何で亡命希望をと移住希望を断られるんだよ!国が回っているのに俺の人生が回らないじゃないか!」
「なんか、ごめん・・・・・・・・・・・・・・・うまくいった貴族とか死後【冥界】の官吏として採用されそうな・・・・・・・・・・・・・・気がしないでもないんだな・・・・・・・・・・・・」
「ちくしょうーーーーー!俺に人生の自由はないのかぁぁぁぁぁぁぁ!」
勇者(笑)の【おかん属性】は馬鹿な喧嘩をする前にお灸をすえたらしい・・・・・・・・・・・・・・ちなみにそれを支持しているのが【西方平原国】、【狭間】、【魔王領】である。【霜降】は手腕と人材をよこせといっているし、【酒国】や【綿羊国】は何当たり前のことをと静観している。危険視している国がないわけではない。今ではその国も落ち着いて当時の王侯の後継者が治めている。
最も異界からの神官さん(笑)が存命な今下手をこくと国どころか世界が滅亡しかねない、
死者達は自らの悔恨を繰り返させんと百も千も繰り返し騙り逝く。失敗談を騙るは千金の価値がある、活かさずに一銅の価値もなく潰える者の如何に多きか・・・・・・・・・・・・
ああ、序に言っておくけど俺の自由がといった御仁は雑多なので普通に自由に転生できる。むしろ姐さんとか女騎士さんとか死霊っ子(元)とかの勇者(笑)関連の人材は・・・・・・・・私がいうまでもないな。
「ちょっと!また苦労するのはやめてほしいんだけど!」
死霊っ子(元)は抗議した。