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3,美味なるは正義

菓子作る神官こと勇者(笑)の語りは意外と受けている。特に旅している連中から「あるある」「わかる」と共感されている。


この話については彼女自身から許可をもらっている、契約金額はおいしい食事と一度旅への随伴。便乗して数カ国ほどの王侯貴族がいたのは笑い話である。うん、笑い話としておこう。その際に将軍だの補給部隊の長だの財務系の官僚が彼の話を聞くと行軍中における損耗は栄養不足と疫痢が大半なのだという話をしてその対応策を話したら参考意見として採用される。

あくまで参考なのは実行したときの費用が倍とまでは行かないけど数割り増しくらいに膨れ上がるからである。これは自国内の資産で敵国内だとさらに倍率ドドン!おかげで小競り合い以上のぶつかり合いはなくなったわけで・・・・・・・・


それは兎も角、勇者(笑)は海の上での悲惨な話をする。

「あれはひどかった、本当にひどかった。海に浮かぶ肥溜めの中に麗しい女性がいたのだよ、奴隷船でさえもう少し配慮するものでありましょう。商品を損なうなんてしないものですから・・・・・・・・・・・・」

「神官さーん、それはどこの奴隷船?」

「そりゃ【西方平原国】準拠にきまっているだろ、かの国は兵隊さんが太ってしまいやせさせるにはどうしたらと相談に来るくらいなんだから。」

「あそこはうまいものが多いからな、こじきが太って転がっているってのは本当かい?」

「それは知らないがな。まぁ、あまりの不潔さと飯の不味さにご令嬢が病にかかってしまって侍女さんが私達の食事を請おうとするんだ。王侯貴族でも準備されていない食事はできないからね、お願いしたのが海の荒くれでその当時同道していた死霊っ子が運んでいた食事を海にご馳走してくれやがったんだ!」

「うわぁ・・・・・・・・・・・」


勇者(笑)を前にその暴挙を行った蛮勇に声を上げたのは子供の声、勇者(笑)に世話になっている住み込みっ子の一人か?・・・・・・・・・・・・・・・どんな風に思われているのかが容易に推測される。


「あの時は海が赤く染まったんだっけ・・・・・・・・・」

「そんな時もあったねぇ・・・・・・」

とその当時のことを思い出した女性二人がいたり(ちなみに赤いスープです。)

その話を聞いて周りがドン引きしたりしているのはどうでもいい話、戦いなんかやったことがないと思われる見た目丸っこいおっちゃんが見た目よりも物騒という認識されている。


「そういえば船に穴を開けてたよねぇ・・・・・・・・・・・・」

「補修が終わったあたりで再び穴を開けていくところがえげつなかったねぇ・・・・・・・・・・・」

「あれっ!一気に二十ほど穴を開けたんじゃなかったっけ?」

記憶の差異もある。

顔色を青くしている旅人がいるが船に乗ったことがない町の衆にはあまりぴんと来ないみたいである。そんな旅人を不審な目で見ると

「船というのは逃げ場がないんだ。沈められたら冷たい海に投げ出されて一巻の終わりだ。一度船が沈みそうなことを経験して陸の商人になったんだがあの神官様怖い!」

なんか触れてはいけない過去に触れてしまったみたいだ。


「あの時は私も若かった。ついカッとなってやってしまったよ。異世界人特有のSEKKYOU(物理)のおかげで【極北内海】を旅するとき船員さんたちにびくびくされてしまって大変なんだ。怯えられてしまいながらの旅というのはとても気分よくないから人に注意するときは気をつけようね。というのは置いといて旅路において食べ物というのは重要で気力体力の維持、体の抵抗力の増減に深く関わっています。この辺については町暮らしの方でも一緒ですよ。好き嫌いばかりしているのは体によくありません。具体的に何が足りなくなりそうかというとわかりやすくいえば体を維持する食べ物を分類すると肉と麺麭と野菜が挙げられます。大体食べ物で不足しがちというのは野菜が挙げられていて長い船旅をする船乗り連中の【船病(壊血病)】は野菜類の不足が原因となってますし、手っ取り早いのが生野菜・・・・・・・・・・・・・・」

と、何が不足しがちなのかわかりやすく説明している。

「・・・・・・・・と言う事で不足しがちな野菜を手軽に補給できる野菜入りクッキーが我が『創菓学会』にて・・・・・・・・・・・・・・ぐgきゃ!」

どかばりばり!


いきなり勇者(笑)の上に雷が落ちて・・・・・・・・・・


危険なネタはやめろ!(by節制神)

菓子創造・・・・・・・・・・うわぁぁぁぁぁ!(by文芸神)


「うぎゃー!頭が七つに割れるくらいに痛い!」

意外と余裕がある、しかし危険なネタである。

「それ以前に説法で自分ところの商品の宣伝するのはどうなんだ?」

聴衆の商人さんその突っ込み的確です。ちなみにその店名で菓子職人学校の名誉理事になろうとしたら同郷の異世界人連中から命は大事にという突込みがあったのは笑い話。

そんな彼の菓子店の通称『神官さんの菓子教室』、正式名称は彼が気分で代えてしまうので役所の登記書類くらいでしか使われない。

「面倒だから『神官さんの菓子教室』で無断登記している。」

小役人!あんたそれ犯罪!それ以前に地の文に混じるなんてことをしてはいけないって親に教わっていなかったんかい!

「親?育ての親は神官さんと姐さんと・・・・・・・・・女騎士さんは・・・・・・・育てられた記憶が無いやどっちかというとこっちが面倒見ている記憶しか・・・・・・・・・・・」

それならば仕方ないというか奴等はちゃんと教育してないのか!

「それ以前に師父である神官さん危険なネタを時折混ぜるから時折確認しないとこっちまで飛び火しそうで・・・・・・・・・・・・・・前なんか・・・・・・」

小役人(勇者(笑)の養子)の愚痴は色々笑えなかった。


勇者(笑)が神の一撃(ツッコミ)を受けて倒れ伏したのを機に説法はなし崩し的に終わりとなる。神々を讃える事を一切言わなかったのだが良いのだろうか?


人々が集まったということで小役人がついでで悪いのだがと行政的なお知らせをする。高札みたいな物もあるのだが文盲の住人もありこういう場を利用して知らせておいたほうが楽なのである。彼も勇者(笑)の薫陶を受けているのか簡潔な説明で連絡する。町の小役人としては縁故人脈(コネ)が十分すぎるほどあり読み書き算盤が勿体無いくらいに修めてある。その気があれば王城の下級文官で即戦力となれるのに街を愛しそこに住まう人々と交わるのを好んで・・・・・・・・・・・・・・・・・というのは建前で出世した兄弟姉妹分の状況を見るに生活できているのだから十分だなと自己防衛をしているのである。街の代官から仕事を押し付けられているけど鼻歌交じりにこなしてしまうため領主からは次期代官は彼かなと狙われているのはどうでも良い話。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・とりあえず役場からの連絡事項は以上です。皆さんからは何かありますか?祝い事とか・・・・・・・・・」

「そういえば朝方『神官さんの菓子教室』のほうから女の子の叫びがあがってたけど大丈夫なんかい?」

「その件については治安騎士の方から報告が来ている。そこにいる少女が『菓子作る神官』に会いにきたのだが語られている姿と実物が違いすぎるので思わず、詐欺だ!と叫んでしまったのだ。事件性は無いので安心するが良い。」

「そんなに神官さん実物との差があるんかい?」

「私は拾われてきたときより多少肥えてきたこと以外は老化現象だと思っているが・・・・・・・・・・・・」

「だよなぁ・・・・・・・・」「当たり前の姿だと思ってたが・・・・・・・・・・・」「その辺は姐さん知っているんだろ?」「女騎士さんも・・・・・・・・・・・・新婚当時から見てどうなんだい?」

街の衆が勇者(笑)の昔の姿をちょっと興味あるみたいである。

「年取って禿げたのは仕方ないね、ちゃんと整えているし。昔は綺麗な黒髪だったね、髪の毛のつや加減とか女のあたしでも嫉妬してしまう程度だったね。」

「太ってしまったというのは否定できませんね。あの人はもともと中肉よりも細身といったほうが納得できるような体型でしたし。そういえば、『菓子と死霊の物語』の扉絵、多少美化していますけど当事の姿を現していますわ。」

「ああ、年月って残酷なんだねぇ・・・・・・・・・・・・・」

「そうだな、若くて綺麗だったかーちゃんも今や・・・・・・・・・・・・・げふっ!」

「あんたも・・・・・・・・・」

「やめろ、みるな!みるんじゃねぇ!俺の頭頂部を見て・・・・・・・・・・・・・いわないでくれぇ!」

若干名の男性にダメージが入っているようだが勘弁してやってください。


「みな私が気絶しているからって好き勝手言っているな。」

苦笑しながら体を起こす勇者(笑)、神の一撃を食らった割には丈夫である。異世界人補正だろうか?どっちかと言うとギャグ補正?


メタ発言はやめるように(by節制神)


「おにーちゃんこんなに違っちゃうのって詐欺だよ詐欺!あのときのかっこいいおにーちゃん返してよ!」

死霊っ子(元)は姿かたちが変わってもやさしいおにーちゃんであるのは理解しているのだが、この姿には不満があるようだ。ちょっと思案して勇者(笑)はボフンと煙を上げてそれで身を眩ませる。

煙が晴れたときには死霊っ子(元)が旅立ったときより少々年を食っているが痩せて髪の毛もある状態の勇者(笑)が現れる。

「おにーちゃんかっこいい!そうよ!その姿でいないと!」

と死霊っ子(元)が飛びついてくる。

「あははははっ!この姿を維持するのはつらいから元に戻って良いかい?」

「ずっとその姿でいたほうがいいじゃない。」

「そうよねぇ、年取って太ったりするのは仕方ないけど昔の貴方のほうが好ましいもの。」

奥さん達は強要してくる。そもそも勇者(笑)が若返っているのにツッコミは無いのだろうか?

付き合いが長い面々じゃ慣れすぎてしまっているのか・・・・・・・・・・・・


「これがあれとはさすがに娘さんが泣き叫びたくなるよな。」

「うんうん・・・・・・・・神官さんは有罪?」

「仕方ない面あるんじゃないかね?」

「女の子の夢壊したんだから・・・・・・・・・・・・」

外野は適当なことを言っている。


そんな中子供は正直に疑問をぶつけてくる。

「しんかんさーん、どうやって変身したの?」

「変身って・・・・・・・・・・そこまで・・・・・・」

「あんたの変わりようは変身といわずして何というんだい?」

「姐さん、君まで・・・・・・・・・・・・・・まぁ、ちょっとした冗談魔法で魔力が続く限り年齢を若返らせるのがあるんだがちょっとサービスして昔の姿を。」

「何が冗談魔道だよ!それ教えな!」


なんか周りの女性陣の目が殺気立っている。

「義息子に騎士私を助けて・・・・・・・・・・・・」

「素直に教えれば引き下がると思いますが・・・・・・・・」

「どう考えても理も実も負け戦なのに戦えるわけないでしょう。」

「教えるの教えないの?」

勇者と言えども怒れる女性からは逃げられない。

「使い手を選ぶし消費がとても激しいけどいいのか?」

と前置きして勇者(笑)は白旗を揚げるのである。


皆覚えることは成功した。覚えることだけは成功した。

ただし消費が激しく常にと言うわけには行かないようだ。一瞬の喜びとその後の失望と・・・・・・・・・・


「ねぇねぇ、神官さまどうしておばちゃんたち若いことになりたがっているの?」

「大きくなればわかるよ。」

街の幼女の質問に苦笑するしかない神官子と勇者(笑)である。


「そういえばおにーちゃん、どうしてそんなに太ったの?」

勇者(笑)の首に飛びついた姿勢のままで死霊っ子(元)が聞いてくる。

「それはな、かわいい奥さん二人ももらって幸せ太りしたのさ。姐さんの麦酒は美味しいし、女騎士の料理は初々しくて食べてしまう。あまりに美味しすぎてついつい食べ過ぎてしまったんだ。他にも子供達が作ってくれるものを味見したりしていたらついつい食べ過ぎてしまってねぇ・・・・・この腹に詰まっているのは皆の愛と美味なる思い出なのさ。」

「ちょっと自重しようとかしなかったの?」

「だって、仕方ないだろう。美味なるは正義と厨房神の教えにもあるだろ。」

「それ、厨房神殿の美食家たちの言い訳じゃない!」


死霊っ子(元)は勇者(笑)の首を揺さぶった。

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