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28. 異世界人達つどう

「神官さん俺、異世界に来たらいろいろやってみたいことがあるんだ。」

「例えば?」

「テンプレだけど魔力測定器でむちゃくちゃな数字を出してみたり。」

「わかるわかる、爆発とかさせてみたいよな。」

「やめてやれ、あれ金貨20枚するんだからしかも注文販売だから3年待ちとかで魔道具職人過労死するぞ。」

「そもそも俺ら、そんなに魔力あるんか?」

「うーむ…………」

「他にも奴隷をかわいがったり。」

「それだったら【西方平原国】の地主連中は奴隷をかわいがっているぞ、こっちの役人が『おら、こんなブラックな職場は嫌だ!【西方平原国】で奴隷になるだ!』なんて身売り志願したことがあったらしい…………」

「奴隷のほうが待遇いいなんてなんて世界だ。」

「労働基準法はどうした。」

「奴隷の扱いは持ち主の品性とか度量の現れになるから、下手な扱いはできないんだな。そもそも、消費財とはいえ無駄に使いつぶすのは経済効率上悪いだろ。【西方平原国】は極端だが、大体そんな感じだ。後は奴隷制を禁止している【狭間】とか【極北】なんていう国もあるし………【魔王領】なんかは種族問題が洒落にならないから奴隷を持たない傾向だったりしているし生活環が違いすぎて扱いづらいとか言う理由もあるが魚人が人族の奴隷持っても使えないし…………そもそも奴隷を扱うには【奴隷取り扱い許可証】が必要で筆記試験だの性格検査や資産調査なんかが必要になってくる………お前らにそんな金あるか?」

「こっちに来てまで資格社会だったとは…………しかも金か…………」

「そうだよ金なんだよ。」

「金といえば異世界知識を持ち込んでの商売とか内政チート!これやってみたい!そして金貨風呂にダイブだ!」

「うんうん、この世界異世界人てどれだけ放り込まれたかわかるか?千やそこらは入っているんだ。大半は【勇者】という戦奴隷だがそれだって戦闘能力だけじゃなく技術や知識を持ち込んでいる。例えばどんなことしてみる?」

「…………まよねーず。」

「それ普通に存在してる。味噌や醤油もお前等が食ったことあるからわかるよな。そもそも作れるか?」

「つくれませーん!」

「年単位で時間かかるじゃないか!せめて種麹があれば………」

「作れるんだ…………」

「死んだ婆ちゃんが毎年仕込んでいるの手伝ってた。最後のほうだと豆つぶすのとか俺の仕事になっていたし。でも、神官さんこの世界の味噌って粉末状なの?」

「ああ、あれは【極東】の雪の深い地方で凍結乾燥させて粉末状に加工した味噌だ。軽くなるし粉末状で扱いやすいから旅人たちの携帯調味料としたりしているんだが、外貨稼ぎのために意見を求められてな。試供品としてもらったんだ。食べ方の説明書きを用意したり、出店して味を広めるところから始めないといけないだろうがな………私達だけだと数売れないだろう。」

「うんうん、神官さんは色々しているのだけはわかった。フォーク農法とか汚物処理なんかも普通に出来ているし、なんていうか窓から汚物なんていうのがないだけ助かる。」

「中世の欧州じゃあるまいし………」

「近代の某半島というのも…………」

「追肥というのはないが薪炭林で浄化しているのは目から鱗だった。」

「伐採して焼畑した跡に撒くことで草木灰のアルカリによる殺菌効果とか、微生物分解を利用して林を育ててそこの落ち葉とかを肥料にまで利用するとか気が長いようで理にかなっている。今くらいの人口だから出来る手法ではあるけど。」

「俺様ツエーやりたい。」

「喧嘩すらろくにしたことがないのが何いっている。なぞの古武術とか覚えていないだろ。」

「通信空手で黒帯持ってマース。」

「じゃあ、巨人に知り合いいるからイッチョ実力をみて。」

「すみませんでしたー!」

「巨人っているんだ、人ばっかりで異種族がいないかと残念………」

「その気持ちは判る、今ちょうど【魔王領】の使節団がいるから紹介してあげよう。」

「「「あざーっす!」」」

「できれば猫耳のおねーさんを」

「エルフ、エルフ!」

「ロリ婆いれば」

「トカゲ娘さんを…………」

「狼男の逞しいのがいればおねがいします。」

「モフモフの犬耳っ子」

「お前ら欲望に走りすぎだぁ!第一紹介してもお前等がモノに」

「神官さん、そこで夢を壊すような発言するのはどうかと………」

「お前等が暴走し過ぎだ。」

「「「「「「さーせん!」」」」」」



「おにーちゃん………」

「師匠…………」

勇者(笑)こと菓子作る神官を頼ってきた異世界人共、同じテラ地球系異世界ヤマトニホン系文化圏同士で色々悪乗りした話題をしているところを見られていたらしい。

勿論、とある作家の連載の状況を聞くのもお約束。

〇〇仕事しろというのは合言葉になっているのは問題である。仕事しろとかこれの続き書けとか言うのは理解できる話である。なりすましラブコメ書くよりもダンス格闘物の続き打ち切りにしないで続き書けとか言う意見が出たりするのは業の深い話である。これは作者の声ではないぞ。


「あらあら神官様何を彼等と語られておられたのであります?」

「これはこれは聖女様がおいでになられたと知らずに失礼をば、同郷の者が私を頼ってきたので遠き故郷の現状とか色々交し合っていたものです。年甲斐になく懐郷に浸ってしまいましてな………」

「うそだ、単純にバカ話をしていたじゃないおにーちゃん。」

死霊っ子(元)そのくらい認めてやれよと思うのは私地の文のわがままでないはずだ。


「師匠がバカ話しながら物事を進めているのはあきらめていますけど、そう言えば彼等はどのような経緯でこの地に参られたのでありましょうか?」

「お弟子さん聞いてくれよ…………」


彼等の話を聞くととある異世界で平和に過ごしていた彼等はある日、神々の痴話喧嘩に巻き込まれて女神の一撃を受けてその世界から弾き飛ばされてしまったらしい、元の世界に戻ろうにも存在自体がなかったことにされてしまい戻るに戻れなくなった彼等は曖昧すぎて誰でも大丈夫なこの世界に送り込まれることになった…………幾何かの祝福とともに………

この世界に来て最初に来た町で親切な神職さんと村の人達がいなければ色々酷い目に合っていたとか………とりあえず、甘いところがある菓子作る神官は優しい神職さんと世話になった村の人に礼の手紙を書くとして…………境界神とかその眷属は何しているのだとあらぬ方向にジト目を向ける。


う、うむ………まさかあそこで逆転されるとは……(by境界神)

ハコにされるなんて……(by光明神)

…………うん、私よりひどい召喚理由だ…………残業代払えっていうか残業とか労働基準法なかった(by境界修復者)

お前ら、少しお話しようか…………(by節制神)


「うん、なんていうか…………お前らぁなにしくさっているんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

びゅんびゅんびゅんびゅん


行き着く暇もなく菓子作る神官から投げナイフが飛び出してくる、それは壁にも天井にも突き刺さることなくどこかに飛び去っていく。


たぶん、同時刻、神域に無数の投げナイフが飛び込んでくる事例発生。光明神と境界神の頭に刺さる被害があったという…………

同じく、某異世界の神域にて神々の尻にナイフが刺さる事例が発生。因みに何処からかの異世界の流れ弾によるものとして犯人は特定できなかったという。その後、その尻に向かって良く沁みる傷薬が投げつけられたというがこの件との関連は不明。


いやぁ、実に愉快愉快!嘗て我等が世界を放れし物が是ほどの傑物であるとは!神々とは力あるだけのもの油断すれば人の子にすら足元を掬われん。見事であるこの世界にて菓子作る神官を名乗る我等が子よ、我等が子を損ないし愚かな(もの)への鉄槌見事である。我が祝福を受け取るがよい。(by某ヤマト系異世界文化圏の神々の一柱)


勇者(笑)に祝福の光が降り注ぐそれから異世界人達にも


異郷にて生きていかねばならぬ子等よ、我等が無能を許すな……(by某ヤマト以下略)

「そこでネタをはさむなよ!」

「そのネタいろいろ斜め上過ぎるから。不本意に送ったみたいじゃないか。」

実際不本意である。我等が子よ。汝等にも我等が祝福とともに新しい世界を突き進んでくれ。そして、この世界にて菓子作る神官を名乗るわが子よ少しでもよい、この子らのことを先達として頼むこと願いたい。(by某ヤマト以下略)


異世界人達にも祝福を与えられる、旅立たざる得ない子等に何かしらを贈りたいという親心か………異世界人達は神々の悲しみに気がつかない。もらった力を喜んでいる大きな子供である、これに気がつくのは長い年月が過ぎた先かそれとも永久に来ないのか…………

異世界の神は去る、残された子に後ろ髪を引かれながら。


「いい神様だねぇ…………この世界の神様に爪の垢でも煎じて飲ませたいくらいだ。」

「神官さん、そんなここの神様ひどいの?」

「神官様っ!」

「おっと、ここには聖女様がいることだし話すべきではないな。」

「もしかして、個々の神様って色々やらかす系?日本神話とか北欧神話並みに?」

「あれは神話で人がいない時だからバカな話ですむけど現在進行形でやらかして人々の生活にも影響が……………どこかのバカな神が賄賂もらって異世界召喚を見逃しスルーしたから私がいるんだし、そのバカな神様も嫁さんと子供よぶために私を利用したんだ。」

「うわぁ!」

「そりゃひでぇ!」


おいっ!ちょっと待て!やらかしたことは否定しないがすごい俺が悪人に見えるだろう!(by境界修復者)

「おおっ!これがやらかした神様か。」

「しかもなんか釈明しに来るなんて口封じ?」

「ひどい神降ろしがあったもんだ…………」

「おにーちゃん、さすがに意地悪いうのはかわいそうだよ。あの世界にたら奥さんと子供がゲス男に食い物にされて不幸になるだけだったんでしょ。」

「あれ、境界修復者様って10年程前の聖女様の父上様じゃ……………」

「この世界って神と人の異類婚もありなんだ。」

それよりも、俺よりもひどい神々なんて掃いて捨てるほどあるだろうが!後輩達よ、白い目で見るのはやめてくれ。酷い風評被害でかわいい孫達まで被害が出るだろうが!(by境界修復者)

「後輩って?」

「そういえば、境界修復者様はもともとこの世界に呼ばれた勇者(いくさどれい)の一人だったとか…………その死後、自分を使いつぶした人族に対する復讐と二度と勇者という悲劇を繰り返させないために神格を得てその地位についたとされてます。」

「その割には神官さん呼ぶとか?」

「神様でも家族がかわいかったと…………人間臭いというか。」

元人間だし、ついかっとしてやってしまった。今は反省している。(by境界修復者)

「そこでネタを挟むか!」

それはそれとして、神々の代表として菓子作る神官よ依頼したい。この異世界人達の導き手となってもらえぬだろうか?身一つで何も知らずにこの世界で生きていくには辛かろう………辛さゆえに幸いより遠き道を選ぶ殊になればだれもが幸いになれない……………と、言うのは建前で異世界人というのは色々やらかすから自重という言葉を教えてやって欲しいと節制神様から…………(by境界修復者)

「節制神さまー!人選間違ってる人選間違っているよ!おにーちゃんに自重を教えさせるなんて暴れ馬の尻に傷薬の付いたとげ差し込んで鼻先に雌馬用意するみたいなものじゃない!」

「遅き約束、師匠は落ち着いた方ですよ。そんなやらかすなんて…………」

「遅き約束ちゃんの言っているやらかしたことも知っているし、今の神官様も知っているからどっちとも言えないわ。やらかすやらかさないは兎も角としてこの異世界人達の導き手としては必要な方だと思うわ。」

「聖女様…………おにーちゃん今も十分やらかしてない?玉章とか玉章とか玉章とか…………」

「ちょ!」

「それはそうね、各国の外交官達と正面から交渉していたり『聖女様の料理がまずい』という偏見を吹き飛ばしたり、最近じゃ【聖徒】の孤児院の孤児っ子達を指揮して色々しているじゃない。今日は【恋愛神殿】からの依頼で失恋した娘さん達の為の菓子作りでしょう、あの菓子の腕を覚えさせているだけであの子達食べていけるわよ。そういえば神殿長も光の神官様も議長も身体を使ってでも取り込め。なんて言っていたわ。身体で取り込めって何をすればいいのかしら?」

「この場合、玉章少年の正面から手を握って『お願い、神殿に来て。』とお願いするんじゃないのかな?」

「ここで言われたとおりにやってはいと頷くと思うんですか?」

「可愛い子にお願いされて頷かないなんて……………もしかして不能?」

「いや、男色?」

「ねぇ、そこでおしり押さえて後ずさるのはないでしょう!シャレにならない!」

「ううっ、私じゃだめなのかしら………」


「うん、弟子育成でやらかしているんか………神官さんって………」

「結構読み書き教えて即戦力として送り出しているからおにーちゃん………孤児院の子達って引っ張りだこだよ。」

「いやいやいやいや…………やらかしているのは玉章であって私じゃない!それにこの世界の人材の要求レベルが低いから読み書きだけでも十分賄えているというか基本だけしか教えてないぞ。」

「読み書きそろばんできれば人材って…………」

「日本と一緒にするな。おいおい教えていくけど、この世界は元いた世界と全然違うんだぞ。」

「……………神官さん、異世界らしいものを見てみたいです。エルフとか竜とか………」

「そっちは紹介だけはする予定はあるが…………あまり期待するなよ。」


菓子作る神官よ依頼を受けてもらえて感謝する。異世界人達よ、彼の教えを善く聞いてこの世界でよく生きよ。(by境界修復者)



なんか雑談脱線して混沌としている状況である。とはいえ、纏める所は纏まっているのだ問題ないといえよう。


「ぱぱー!ごはんだよー!今日はカレーだよ!」

「「「「「おおっ!」」」」」

「カレーだって!」「食えないものばかりだと思ってた。」「こういう世界だと香辛料の値段は高い設定………」「でも良いじゃない!カレーが食えれば。」「バカ言え、カレーは飲み物だろ。」「おまっ!どこのイエローだよ。」

孤児っ子の一人が食事ができた旨を伝えると異世界人達は色めき立つ。カレーで喜ぶのは善くあることである。


俺もご相伴にあずかって宜しいか?(by境界修復者)

「みんなの分あるから大丈夫だよー。早くしよう、食べられちゃうよ。」

「あら、私もよろしいのかしら?」

「聖女様をのけ者なんてできるわけないじゃないですか。」

「はやくはやくー」







「悲しいお知らせです。カレーにライスがついていない件について…………」

「あのなぁ、お前ら米がここにあるわけないだろう。水田見たか?米は輸入品で貴重品なんだ。取り寄せてもいいが半年待ちだぞ………しかも金貨必要だ。」

「なんてこったい!」

「神は死んだ…………」

ここにいる俺はなんなんだ?お前等の嘆きはよくわかるが………カレーライスに福神漬けと納豆……(by境界修復者)

「カレーライスはわかるが納豆はないだろ神様。入れるならば生卵!」

「生卵なんていれたらぬるくなっちまうだろ!男ならばカツ一択!」

「ここはチーズだろJK」


「ねぇ、玉章、何で異世界人さん達は落ち込んでいるの?」

「カレーという料理に先日用意した米の飯がついているものだと思っていたらしく……………これはこれで美味しいんですけどね。って聖女様、カレーが飛び跳ねてシミになっていますよ!」

「きゃ!これ卸したてなのに………」

「なんでカレー食べるときに白い服着てるかな………」



「なんで米にこだわるんだろう?麺麭で食べてもおいしいのに………今度、麺で食べてみたいな。」

「麺?それぜいたく品じゃない、おねーちゃん、ぜいたくはだめだよ。」

「大丈夫、自分で作れば安いから!」

「こんどつくってー」

「つくりかたおしえてー」

「明日にでも作ってみようか。」

「「うん!」」


死霊っ子(元)に異世界人達の食に対するこだわりは理解できなかったようだ………そして本人は気が付いていないけど彼女も色々やらかしているのだった。



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