0,ヤジロベエの終わりの詩
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君知るか終わりのヤジロベエ 人と人外相争って
君知るか終わりのヤジロベエ 世界を痛みで覆う時代
六つの剣と一つの盾と幼き子供の叫びが作る
千をも越える年月を 隔てて立てるヤジロベエ
一つの盾は聖王の末の息子が政争に敗れ前線の 前線の緩衝国家の王として
死する定めを背負いつつ 成らば一花咲かせんと意地を張り
死せる定めの幼子に 先往く術を与えつつ自ら王の名を捨てて
混沌の歌歌いつつ混沌の歌歌いつつ 自ら壁となれるもの
一つの王は叫びの子 生まれは知らぬ孤児で
生まれを知らぬ兄弟と 戦地をくぐり生き延びる
命奪われ蝕まれ 世界の非常に叫び上げ
我等狭間の子なるぞと 戦を厭う馬鹿は立つ
一つの剣を鍬振るう 大地の実りは数多ある
実りを前に踏みにじる 実りの前に焼き払う
彼は一人で黙々と 大地の実りを信じ往く
幾万振るう大地への 挑戦数多の実りとなろう
二つの剣は戦奴隷 落とす命の多きこと
彼は王へと挑み逝く この身一つで敵を討とう
討てた数だけ同胞を 自由の身へ解き放て
多くの多くの戦奴隷 我こそ最後の奴隷なる
三つの剣は商い人で 妻子戦費の足しとされ
国に尽くすも妻子まで 戦の大儀どこにある
一人世界に戦い挑む 妻子を戻す大戦
妻子戻してこの戦 挑む価値ある挑む価値ある
四つの剣は癒しの子 愚かな愚かな癒しの子
世界すべての傷を目に 癒せる術のありやなし
一つの傷を代償に 眼は光を失いて
長く世界をさまよえる 伴は重たき鉄の杖
五つは真 狭間の子 多くの血筋受け継いで
彼こそ幸いなればと願う 数多の血筋の願いの子
真の狭間にあるその子 大戦場を前にして
神をも殴り砕け散る 幸いあれと願いつつ
六つの剣は荒野の子 焔と大地の犠牲となって
一つが犠牲になって進め 一つが世界に奇跡を刻みいく
六つの剣は無数ある 一つの子供朽ちるとも
我が後にある無数の子 最後のときまで前を向け
狭間に連なる無数の子 狭間に連なる無数の子
意地張り前向け生きていけ 意地張り前向け生きていく
さぁ、生きていけ生きていけ 神すら殴り世界の敵で
命の限り生きていけ 幸いあるは生きてこそ
世界は敵で 世界は敵で
愛されなくとも 愛していこう
尻尾を立てろ 世界を前に
平和の価値を知るならば 一人のための世界を作れ
一人の為に世界を変える 愚かな愚かな男の子
母は娼婦で死に掛けで 彼は愚かな子なればこそ
世界を変えよと一人立つ 朽ちる子であれ価値はある
彼の叫びは愚かしく 世界に注ぐ慈雨となる
一つの少女のあり方を見て 一つの奴隷のあり方を見て
千年眠れる人は立つ 遠く昔の痛みを偲び
世界に理不尽あるならば 綺麗事のお題目
そして立てるは狭間の民で さぁ踏みにじろうか世界の理不尽
一人が立てば一人が歌う 理不尽嘆く奴隷の子
一人が歌えば一人が向かう 氷の大地の戦士達
一人が立てば一人が支える 性愛の神に仕える娘
一人が支えて一人が叫ぶ 長き理不尽叫ぶは農奴
叫びの子今は農奴 愛しき娘の理不尽に
神をも殴り呪い受け 死ねぬその身の大理不尽に
その分誰かを救えるならと その身を裂いて歩み往く
いつ彼にも安息を 愛しき娘に安らぎを
数多の歌の中一つ 愛しき子等への子守唄
数多の子等の中に一つ 先へと進む小さき子
数多の叫びの中に一つ 不器用すぎる娼婦の子
数多の願いを眺めつつ 幸い願う盾の末裔
願いを束ねし盾の末裔 六つの剣の末裔達と
狭間を超えて殴りこむ 大理不尽を殴り往け
狭間の民を捕らえたる 愚かに拳で教え込み
民に理不尽強いるなら 怒りの拳叩き込む
世界は恐怖に満ち満ちる 狭間の怒りが世界を覆う
怒れる狭間に恐怖を覚え 聖徒は勇者を召しださん
贄は奴隷でまかないて 数多の命散らされる
異界の者は召しだされ 彼も怒れる者となる
故郷離れて戻れなく 大理不尽な救い主
君や思えや愛しき者と 離れて世界の一大事
見知らぬ世界と 見知る誰かと
どちらを君は 大事にす
戻れぬ世界に思いを馳せて 今いる世界を足場にするは
旅立つ君は良しや悪しや ただ望郷の願いもて
世界滅ぼす化け物を 良しや悪しや言うならば
呼び出す君に伝えなば 勇者は今は用なきと
怒れる君は愛しきよ 戻れぬ世界に思い馳せ
戻らぬ誰かに怒り馳せ 幼き子等に慈悲を垂れ
世界の為に立たぬこと 一人の為に立ち向かう
ああ愚かしき異世界の 恐ろし君を解き放つ
枷なくして一人ある 幼子を見て慈しむ
数多の死霊救い求め 一つの贄は救い与うる
千年の苦痛涙して 千の者へと施して
自ら救いの道無くて それでも君は意地を張る
愚かも愛しき死霊の子等は その身朽ちるも意地を張り
一つのその身で千を見て 千の幸成し遂げる
千の幸見る異界の君は 一つの幸欲してか
神をも討つ身を研ぎ澄まし 子等の幸脅し取る
死霊の子等に救われる 一つの命重たきや
一つの命の母親は 朽ちたその身を耐えて尚
子の幸を願いつつ 彼に慈悲をば願い出る
彼は願いを聞き入れて 数多の美味を与えたる
数多の美味を得ても尚 残りし子供の残り火は
このままいけば数日で このままいけば数日で
朽ちるとなれば捨ておかず 朽ちるとなれば捨ておかず
弔い人の群れは行く なんでも生きておればこそ
嗚呼 生きる子の為ならば 呼ばれし馬鹿は一人立つ
生きれる子等に相応しき 場所はいずこにあろうかと
生きれる子等の場所求め 異界の馬鹿は意地を張る
嗚呼 悲しきは今の世相 子等を入れるに悪しき場所
怒れる異界の若者は 相応しからずモノならば
菓子を弾丸連打して 糞野郎への教えとし
清廉ある者見出して 子等の親へと希う
願われし者涙して 愚かな願い誓いとす
一人の子の為揺るがした 国は世界も揺るがせる
嗚呼 恐ろしき異世界の 嗚呼 寄る辺無き救い主
たった一人の子の為に 彼は正しく間違える
彼は正義を信じない ひとつ涙を拾うだけ
国の長たる者達は 彼の扱い持て余す
今や昔の争いで 呼ぶ出す武具の恐ろしさ
抜くも抜かぬも違いなく 滅びの歌を紡ぐのみ
聖徒は一つ間違える 彼等も正しく間違える
勇者召喚知るならば 狭間の彼等は憤る
歴史伝える古老あり 戦奴隷の悲しさを
繰り返させじと 繰り返させじと
狭間は正しく間違える 悲劇は昔で十分と
異属の長たる魔王は嘆く いまだ人の子繰り返す
我等が欲すは小さき平和 かかる火の粉は振り払う
勇者来るとも何者ぞ 我等が子等を守る為
魔王は正しく間違える 勇者に悲しみ抱きつつ
狭間に詰めし聖騎士は 戦の匂い厭うから
火消しをせんと知恵絞る 戦士は無役を誇るべき
生まれや国は違えども 幸い願うは違いなく
杯交わし語り合う 時にはこぶしもまじえつつ
狭間に詰めし古き竜 戦はその身に堪えると
聖徒の勇者の事調べ 優しく間違う事を知る
古き戦は我等にて 収めて子等はさきすすめ
一つ杯交わそうか 異界の酒の話しなぞ
荒野の民は風に聞く いまだ戦は収まらず
遠く聖徒で勇者が呼ばれ 戦の火種熾されん
長は怒りて戦士を交え 民草守る備えせよ
我等が世界の戦なら 何故に異界の民を呼ぶ
狭間の盾は酒席の徒 愛しの娘と弟子達と
囲まれ隠居を楽しむも 戦は彼を駆り立てる
働く事が負けならば 一度は知恵を振り絞る
まずは勇者の人となり 知って杯交わそうか
実に勇者は用は無き 今や平和のヤジロベエ
どちらに傾き倒れるも どちらも共に倒れいく
戦はせぬと告げられた 勇者は一つ笑み浮かべ
そうかと寂しくつぶやいた そうかと寂しくつぶやいた
狭間の国から文届く 呼ばれし勇者に招待状
一度は杯酌み交わし 我等と友にならんかと
やる事も無し勇者なら 酒宴の誘いも悪く無し
一つ世界を見物し 物見遊山と洒落込もう
聖徒離れて幾千里 歩むは険しき旅路にて
野盗猛獣跋扈する 一人で進めぬ道なれば
百の群れにて進もうぞ 千の群れにて進もうぞ
こぼれ落ちたるものあれば 優しく彼は拾い上げ
勇者は聖者の道進む 聖徒の都で死霊を慰撫し
幼き子等の事願う 幼き子等の事願う
旅路に泣ける娘あり 光の神の子と共に
千の言葉で悪を追い 嘆きの元を断ち切らん
勇者は聖者の道進む 旅の途中の死霊の子
水辺に囚われ道忘れ 如何に先へと進もうか
呆れも笑う彼ならば 子供の生地へ誘わん
嘆きの娘のこぶし受け やがて来るは別れの日
勇者は聖者の道進む 西の都の道の子は
飢えて朽ちたる寸前を 死霊の子等の導きで
救われ諭され正道の 暮らしの術を手に入れる
身も手も汚せし子供等は 王をも認める者となる
勇者は聖者の道進む 北の港の死霊の子
自ら進む弔い銭を 稼いで見せると豪語して
拾うは病に伏す女 孤児等を見守る母なれば
彼等の分も稼がんと 意地張る死霊の愚かしき
勇者は聖者の道進む 死霊も孤児も面倒見
北の部族が助力を得 それぞれ旅立つときが来る
最後の食事は豪華にて 最後の食事は塩辛い
それぞれ道は違えども 幸い願うに嘘はなき
勇者は聖者の道進む 神々それを見届けて
帰れぬ彼に幸いを 数多の祝福注ぎ込む
勇者はそれを皆分けて 教えの子等も認めたる
呼ばれし勇者はいつからか 菓子作る者と記される
勇者の菓子は美味である 死霊の腹を満ち満たす
勇者の菓子はほろ苦く 飢えたる過去を呼び起こす
聖女の菓子は劇物で 死霊の群れを追い払う
勇者の菓子は穿ち飛ぶ ふさがる壁は打ち砕く
勇者は菓子を作り出す 大きな欠片を弟妹に分けた宜しき兄姉に
勇者は菓子を作り出す 飢えて朽ちたる道の子に
勇者は菓子を作り出す 誰かを見守る神々に
勇者は菓子を作り出す 禍に泣く力無き杣人の為に
勇者の菓子は穿ち飛ぶ 己を守るその為に
勇者の菓子は穿ち飛ぶ 子供の涙を是とする馬鹿に
勇者の菓子は穿ち飛ぶ 他人の苦痛を是とする馬鹿に
勇者の菓子は穿ち飛ぶ 愚かに気付かぬ神々に
勇者の菓子は百もある どれを食べよか悩める貴族
勇者の菓子は百もある 食べたら太ると悩める乙女
聖女の菓子が一つある だれが食うのかこんな菓子
勇者の菓子が数多ある 皆で食べれば皆嬉し
勇者は食い意地張っている 数多の菓子で魅了する
勇者は食い意地張っている 旅路の食事は暖かく
勇者は食い意地張っている 食事を邪魔する奴に死を
勇者は食い意地張っている おかげで旅費が酷い事
旅路で船に乗った時 勇者は飯を作ったら
船から漂う良い香り 船乗思わず腹鳴らす
神も認める彼の教えは 綺麗な寝床と旨い飯
馬鹿でも納得する教え 簡単だけど良き教え
勇者の御座船良き香り 僚船海賊皆とりこ
金銀財宝摘んだとて それでは腹は膨れない
思わず飯を奪うなら 船をも穿つ菓子が飛ぶ
食事の邪魔をする奴に 遠慮の欠片はありはせぬ
船を穿たれ降参の旗立つ 船の汚さよ
客の姫様項垂れて 萎れた花を見るようで
船ごと海に沈めるか 海が嫌がる汚さよ
勇者は怒り高ぶって 海をも震わす大説教
港に着いた汚船見て まずは洗えと穿つ菓子
泣く泣く船乗船洗う 綺麗になった物見れば
自分の汚さ目に染みて 自分の匂いが鼻につく
これが勇者の教えだと 風呂屋に向かい身に染みる
汚船の教え後日談 港の子供清潔の大事を知って船洗い
金貨を貰って大はしゃぎ 仲間も共に大儲け
あらかた船を洗い終え 次の仕事につなげるも
後から出でる同業者 綺麗な船で仕事楽 綺麗な船で仕事楽
勇者の群れは増え続け 聖徒の騎士に死霊っ子賄う子供が同道し
荒野の民に極北戦士 恙無き旅整える
薊の子供に狭間の子等が 宿り木代わりに同道す
狭間の都に着くころは 百にも届く大世帯
狭間の王に謁見し 自分はいらぬと思いしり
さて怠けるか遊ぶかと 思えば出会う妾の子
お家騒動紐解けば 夫婦喧嘩で呆れたる
異母兄たる嫡子は悪相なれど 文武に優れる優しき子
悪相兄弟友として 勇者は狭間を楽しまん
騒動あれどもまた楽し 良き友良き飯良き寝床
狭間は当に良き国で 百の種族で賑わえり
世界が狭間であったなら 少しは異なる知ればこそ
酒飲む貴族と知り合えば 市場で広がる外交会議
呑み助ならば通じ合い これこそ世界のヤジロベエ
悪相兄者が一つ疑問出す 神の教えの何たるか
栄えよという教えには 一つだけしか駄目なのか
世界の世界のヤジロベエ 揺れに揺れたるヤジロベエ
その手があるかと言った者 一つがすべてと思う者
ここまで交わる世界なら 孤立で賄う事出来ず
その手があったと気づかされ 教えの子等は恥をかく
神々神々お前等も 人の事等言えもせず
あっと言ったは人族の 祖なる偉大な神なれど
蘇りつつある御身 その手があったと言ったなら
青筋立てて放たれる 怒れる勇者の穿つ菓子
何たる事かと悪相の 兄者は世界に問いかける
種族の垣根はなんだろう うまく手を取りあるならば
世界の世界のヤジロベエ 根っこを生やす事出来る
今まで流れた血の数と 涙の歌の無駄な事
悪相兄者は叫びを綴る 死したる戦士の願い事
悪相兄者は嘆きを綴る 戦に全てを奪われた
悪相兄者は挑みを綴る 手を取る勇気がないのかと
悪相兄者は喜び綴る 朋に綴れる友がいる
世界は揺れるヤジロベエ 悪相兄者は世界を前に
挑む檄文叩き付け 幸せ願う善い男
至誠を前に姿勢を糺し 施政の者も市井の者も
幸い願う叫びを挙げる ヤジロベエにも根が生えた
世界に一つ幸いの種が育つ余地がある なんだお呼びでないのかと
世界に一つ幸いの種が育つ余地がある なんだ出番はないのかと
世界に一つ幸いの種が育つ余地がある なんだ自分で出来るじゃないか
世界に一つ幸いの種が育つ余地がある ならば誰かを幸せに
勇者は旅を続けてる 今度は魔王の国までに
その次南の国に行こう 更には北の果てまでも
幸い紡ぐ声あらば それを喜び旅をする
姿形が違っても 幸い願うは皆同じ
祭の囃子を響かせて 世界を巡り話し合う
酒場の喧嘩で済めばこそ そんなものかと笑いあう
施政を前に姿勢を糺し 施政の者も市井の者も
幸い願う杯掲げ 乾杯の声賑やかで
狭間の都を出る頃は 百をも超える大移動
世界の王侯引き連れて 世界を楽しむ旅に出る
聖王魔王も皆友で おかげで国元大わらわ
仕事にならぬと愚痴る臣 世界が平和なればこそ
世界が平和なればこそ 勇者は菓子を作り出す
王侯貴族市井の者も 共につまめば笑みが出る
秤の上の悩める乙女 この時ばかりは棚に上げ
一つつまんで笑み浮かべ 一つつまんで憂い見せ
だけどもそこには死霊の子 影も姿もありはせぬ
世界を巡り命を得 再び幸いなればこそ
涙をのんで送り出す 百をも超える群れなれど
勇者が望むものはなく 喜びわかつ者はなく
取り敢えず書き溜め分を投稿いたします。なくなり次第エタ・・・・・・・もとい遅筆となりますがご了承くださいませ。