08 部活の友達は大切
べ、別に寂しくなんて無いんだからねっ!は合言葉。
あっという間に時は過ぎ、一気に部活見学の時間になった。
少し名残惜しそうにこちらを見てくる風音まじかわゆす。でもね、私本来なら敵キャラよ?そんなに懐かれても。いや、嬉しいけどね。
ともかく、無事にクラス全体が打ち解け。イベントがぶっ壊れたような気がしなくも無いけど、まあ愛の力カッコ笑い、で乗り切ってくれるでしょう。
三日目にして中心人物に祭り上げられた気がしなくも無い。おのれ、有山さんめ。それは貴方のポジションだろう。
尾上と体育館に行くと、やってるわバスケ。
どうでも良いけどもこの学校は体育館は3つあり、その全てが町の多目的体育館よりも大きいレベルである。
部活はもちろん盛んだが、人数は少ない。それもそうだ、全体の四分の一しか居ない外部受験者が持っている才能はバラバラ。学年で十人同じ部活のものが居る程度でしかも基本的にクラスはバラける。
文化系の部活はお嬢様も参加するし女の子はそちら系の推薦が多い。
つまり、華季の運動系部活は少数精鋭。全体で三十人といえば多い気もするが、他の強豪は五十を軽く超えるところさえある。
それでいて全国一位をほぼキープしているのは凄いとしか言いようが無い―――。
「んじゃ、男子は北側だから」
そう言って尾上はいつの間にか居なくなっていた。
「…すごい…」
私は練習風景に見とれてきちんと返事をしていなかったかもしれない。
圧倒されていた。
「あれ?男子は北側だよっ!」
私を現実に引き戻したのは快活そうな少女。背は少し低めだが、恐らく彼女も推薦なのだろう。
…あ、この子見たことがある。
「ああ、ごめんね…紛らわしかったかな?私はこんな格好だけど女だよ」
「っ!?それは申し訳ない!って…貴方、秋森彩香じゃない!?」
彼女も私を見たことがあったらしく、少しきゃあ!と声を上げた。
…うん?それはアイドルにいうべき言葉では?
「うわぁ!ねえ、あたしの事覚えてるかなぁ?清水翠っていうんだけど!」
「知っているよ。麻宮のSFだよね、いつも凄いと思っていたんだ」
「まじですか!光栄だな!!秋森さんはいつも違うポジだったのに全部技術が半端無かったから尊敬してたんだ!」
それを人は器用貧乏という。
一瞬固まった私を置いて彼女はどんどん話し続ける。
「それに、ジュリーズ顔負けのイケメンじゃん?他の学校も皆話しかけたがってたのに、チーム内が大変そうだったから止めてたんだよね!」
「…チーム…か(そういや色々あったな)」
「あっ、ごめんね。嫌なこと思い出させちゃったよね。あたしKYだからそんなことよくあって」
「いや、気にしないで」
驚いた。他のチームにも分かるくらいあからさまだったのかな。
まして言い方は悪いけど、バスケ以外に興味ありません!っていう感じと思っていた彼女だったから。
「そ?んじゃ気にしない!」
…訂正、頭は少し残念そうだ。
「でも、あたしビックリしちゃった。女の子なのに男の子の格好してるなんて、校則違反じゃないの?」
「それがちょっとね。生徒手帳見てみなよ」
「あー、持ってないんだ。面倒で寮におきっぱ」
おい。と突っ込みたくなったが、ここはあえての王子スマイルで適当に解説。
つか一言で終わるんだけど。男子制服女子制服、って決まってないんだよ。
ええ!?と驚く彼女に帰ったら見てみるといいといって、練習を見るのに戻った。
「それにしても…やっぱりレベル高いねえ…」
「本当に。着いて行けるかな?」
二人してそんなネガティブになりながらも話していた。
そこへまた新しい女子が。
「あ、ねえ!もしかしてバスケ部希望?」
「ほえ?そうだけど」
話しかけてきたのは茶髪を後ろに括った子。雰囲気からして、担任に似ている。姉御系ってやつ。
清水さんが肯定すると、良かった!と明るく笑った。何でも、クラスにバスケ部の人が居なかったため不安だったらしい。
「あーそれ分かるー。殆どお嬢様で外部の人はいりません!って雰囲気だしねー」
「ほんっとソレ!お嬢様も可愛くて楽しみだったんだけど」
彼女達は中流階級出身らしい。
わいわいガヤガヤとビックリしたことで盛り上がっている。
「秋森さんは?」
「え?ああ、私のクラスは結構全員仲良い感じだな」
主に私のお陰でな。
「うそぉ、良いな!」
「秋森さんってカッコいいもんね、イケメン対応なんじゃない?」
「うーん…こんな格好しているけど、割と不本意な結果なんだ」
私の顔が良いから良い子アピールしてるんじゃ?ということですか。
それもあるけど、多分家柄の関係だね。
と思っていたら、ええー!?と言われた。不本意ってところに反応したのかな?
あと、どうでも良いけど体育館前で見学してるのに思いっきり雑談て…。目立ってる気がする。割とどうでも良くないな。
一応妹が、と言っておいたら妙に納得してくれた。なんなんだろう。
「ってか、超話し込んじゃったね!」
「たはー、迷惑だったな多分。謝って入部届け出しに行こう」
あ、彼女達も常識はあるみたいだ。
ということで、入部届けを出しに行くことに。
練習は現在休憩中のようで、絶好のタイミング。
一人だったら入るの躊躇してたかもしれないなぁ。早々に友達が出来てよかった。
…あれ?姉御タイプの女の子の名前、聞いて無いや。
三番→SF
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