第5話 冒険者ギルド
ダンジョンから戻った俺たちは、王都の大通りを歩いていた。
人通りが多い。
屋台の匂いもすごい。
完全にファンタジーの王都って感じだ。
俺は辺りを見回しながら言った。
「いやーすごいですね王女様。屋台あるし鎧着た人歩いてるし、ゲームの町みたいですよ。ところで今どこ行くんです?」
エリシア王女は前を歩きながら答えた。
「冒険者ギルドです。あなたを登録します」
俺は思わず立ち止まる。
「え、俺もう働くんですか? さっきまで奴隷だったのに?」
王女は振り返って微笑んだ。
「ええ。働いてもらいます」
「容赦ない!」
しばらく歩くと、大きな建物が見えてきた。
入口には看板。
冒険者ギルド
中からは騒がしい声が聞こえる。
俺は扉を開けた。
ガヤガヤした空気が一気に流れ込んでくる。
酒を飲んでいる冒険者。
クエストの紙を見ている人。
受付カウンター。
俺は小声で言った。
「うわぁ……テンプレだ」
王女はそのまま受付へ向かう。
受付の女性が頭を下げた。
「エリシア王女。いかがされましたか?」
王女は俺を指さす。
「この人を冒険者登録してください」
受付の女性は俺を見た。
ボロボロの服。
元奴隷。
露骨に驚いている。
「この方を……ですか?」
王女は静かに頷いた。
受付の女性は書類を取り出す。
「ではステータス測定を行います」
俺は首をかしげた。
「ステータス測定?」
受付の女性が水晶を持ってきた。
「この水晶に手を置いてください」
言われた通りに手を置く。
水晶が光った。
そして文字が浮かぶ。
周りの冒険者が覗き込んだ。
次の瞬間。
爆笑が起きた。
「はははは!」
「なんだこのステータス!」
「弱すぎるだろ!」
水晶にはこう表示されていた。
筋力:3
敏捷:2
魔力:1
俺は頭をかいた。
「まあそうなりますよね」
一人の冒険者が言う。
「おいおいスライムにも負けるぞ」
別の冒険者も笑う。
「こんな奴が冒険者?」
ギルド中が笑い声に包まれる。
王女は少し眉をひそめた。
そのとき。
後ろから声がした。
カイルだった。
彼は腕を組みながら言った。
「笑うな。その男は巨大ゴブリンを倒している」
一瞬で静かになる。
冒険者の一人が言う。
「嘘だろ?」
カイルは真顔だった。
「嘘ではない」
みんなが俺を見る。
さっきとは違う目だ。
疑いの目。
俺は肩をすくめた。
そのとき、水晶がもう一度光った。
受付の女性が驚く。
「……スキルが表示されました」
水晶に文字が浮かぶ。
【ステータス転写】
ギルドがざわつく。
受付の女性が説明を読む。
「自分のステータスを相手にコピーする能力……?」
周りが静まり返る。
そして誰かが呟いた。
「それ……やばくないか?」
俺は苦笑した。
「まあ使い方次第ですかね」
王女は嬉しそうだった。
「言ったでしょう」
そして俺に向き直る。
「レオン。これであなたは正式な冒険者です」
俺は少し考える。
元奴隷。
ステータス最弱。
でも能力だけは変。
俺は笑った。
「よし」
「じゃあ王国最強目指しますか」
ギルドの空気が一気にざわついた。
誰かが言う。
「最弱が最強だって?」
別の冒険者が笑う。
俺は肩をすくめた。
だがそのとき。
ギルドの扉が――
ドン!
大きく開いた。
鎧の兵士が叫ぶ。
「緊急依頼だ!」
「王都の外にドラゴンが出た!!」
ギルドが一瞬で騒然となる。
俺は呟いた。
「……いや待って」
「俺今日冒険者になったばかりなんだけど」
こうして俺の
とんでもない冒険
が始まったのだった。




