第21話 快光の兆し
瓦礫の上に立つ四人。
剣士の男が剣を軽く振った。
刃から光が散る。
「いやー、危なかったな」
魔族はゆっくり立ち上がる。
「人間……」
剣士は笑う。
「ご名答」
そして軽く礼をした。
「隣国ギルド《快光》、リーダーのゼイルだ」
背後の大剣の男が肩を鳴らす。
「自己紹介してる場合か?」
双剣の女が周囲の影の魔物を見る。
「数多い」
ローブの魔法使いがため息をつく。
「掃除からですね」
ゼイルは笑う。
「じゃ、始めるか」
次の瞬間。
姿が消えた。
ヒュン
風だけが残る。
影のゴブリンの首が飛んだ。
さらに二体。
三体。
四体。
一瞬で影が霧になる。
カイルが思わず言う。
「速い」
ゼイルは影のオーガの背後に現れた。
剣が閃く。
ザン!!
オーガの体が真っ二つになる。
大剣の男が前に出た。
「どけ」
剣を振り上げる。
ドォン!!
床ごと影の魔物が吹き飛ぶ。
リュナが小さく呟く。
「力強い」
双剣の女が影の中へ飛び込む。
刃が踊る。
影の魔物が次々消えていく。
ローブの魔法使いが杖を上げた。
「散れ」
魔法陣が広がる。
光の矢が雨のように降る。
影の魔物が一斉に消滅した。
数秒。
それだけだった。
さっきまで溢れていた影が
ほとんど消えていた。
俺は思わず言う。
「いや強すぎません?」
ゼイルが振り向く。
「そりゃ最強ギルドだからな」
魔族が静かに言う。
「人間にしては」
影が再び集まり始める。
だがさっきより遅い。
ゼイルが首を傾げる。
「お、ダメージ入ってるな」
カイルが言う。
「さっきまで戦っていた」
ゼイルは俺を見る。
「そこの奴か?」
俺は手を上げる。
「多分」
ゼイルが笑う。
「なるほど」
魔族が魔力を広げる。
空気が重くなる。
影が床を覆う。
ゼイルは剣を構えた。
「じゃあ続きやるか」
魔族は低く言う。
「面白い」
影が爆発する。
巨大な影の獣が現れた。
ゼイルが笑う。
「お、ボスっぽい」
大剣の男が前へ出る。
「俺がやる」
ゼイルが止める。
「いや待て」
そして俺を見る。
「そこの兄ちゃん」
俺は指をさされる。
「俺?」
ゼイルが言う。
「さっき魔法で崩したよな」
俺は頷く。
「まあ」
ゼイルが笑う。
「なら連携しよう」
俺は首を傾げる。
「どういう」
ゼイルが剣を肩に乗せる。
「お前が弱くする」
「俺が斬る」
シンプルだった。
カイルが小さく笑う。
「合理的だ」
魔族の影の獣が吠える。
ゼイルが前へ踏み出す。
「ほら」
「やるぞ」
俺は手を上げる。
魔力は少ない。
でもまだ一回。
一回なら使える。
俺は言う。
「ステータス転写」
影の獣が光る。
筋力
3
ゼイルが笑った。
「ナイス」
次の瞬間。
光のような斬撃が走った。
ザン!!
巨大な影の獣が
一撃で消えた。
魔族の目が細くなる。
ゼイルが剣を振る。
「いいねその魔法」
そして言う。
「これ、かなり面白いぞ」
ダンジョンの奥で
魔族の魔力がさらに膨れ上がった。




