第14話 討伐隊結成
王都南門の前。
黒竜は倒れ、魔族は消えた。
だが誰も勝った気分にはなっていなかった。
カイルが静かに言う。
「ダンジョンへ行くしかない」
兵士たちは顔を見合わせる。
エリシア王女が尋ねる。
「カイル、状況を整理してください」
カイルは頷く。
「まず、さっきの魔物は本物ではない」
兵士の一人が言う。
「影縫……でしたか」
カイルは続ける。
「魔族が魔法で生み出した影の魔物だ」
俺は腕を組む。
「だからステータス転写が効いたわけですね」
カイルが俺を見る。
「どういうことだ」
俺は説明する。
「影の魔物にはレベルが無い。つまり魔力の強さの“格”が無いんです」
騎士団が黙って聞いている。
俺は地面の石を拾った。
「例えばこれ」
石を軽く投げる。
「普通の人間がドラゴンを殴っても、全然効かないですよね」
兵士が頷く。
「まあ……そりゃ」
俺は続ける。
「それと同じです。俺の魔法は、魔力が離れすぎている相手には通らない」
カイルの眉が動く。
「つまり」
俺は肩をすくめる。
「さっきの魔族は、俺より魔力がずっと上ってことです」
騎士団の空気が重くなる。
エリシア王女が静かに言う。
「それが……あなたの魔法の弱点」
俺は苦笑する。
「まあ、そうなります」
カイルは少し考えた。
「だが影の魔物には効いた」
俺は頷く。
「影には魔力の格が無かった。だから普通にコピーできた」
兵士が呟く。
「じゃあ魔族には……」
俺は答える。
「今の俺じゃ無理ですね」
沈黙。
だがカイルは剣を腰に戻した。
「それでも行く」
全員がカイルを見る。
カイルは言う。
「魔族はダンジョンにいる。放置すればまた同じことが起こる」
兵士の一人が言う。
「ですが、あれほどの相手なら騎士団でも……」
カイルは首を振る。
「だから少数精鋭だ」
そして周囲を見渡す。
「ダンジョンへ入るのは四人」
騎士団がざわつく。
「四人!?」
カイルは指を立てる。
「まず私」
次にエリシア王女を見る。
王女は頷いた。
「私も行きます」
兵士たちが慌てる。
「王女様!?」
王女ははっきり言う。
「魔族が関わっているなら王族の責任です」
カイルはため息をつくが、止めなかった。
そして視線が俺に向く。
「当然、お前もだ」
俺は顔をしかめる。
「いや俺さっき魔力使い切ったんですけど」
カイルは答える。
「それでも必要だ」
俺はため息をついた。
「まあ、そうなりますよね」
残り一人。
騎士団が静まり返る。
カイルは考える。
「もう一人は――」
その時。
門の上から声がした。
「その役目、私がやろう」
全員が振り向く。
城壁の上に立っていたのは――
長い耳の少女。
銀色の髪。
背中には弓。
兵士が驚く。
「エルフ……!?」
少女は軽く跳び、城壁から降りた。
静かに着地する。
そして言う。
「ダンジョン探索なら、私の方が役に立つ」
カイルが目を細める。
「お前は誰だ」
少女は微笑んだ。
「通りすがりの冒険者」
少し間を置いて続ける。
「名前はリュナ」
俺は呟く。
「いや絶対通りすがりじゃないですよね」
リュナは俺を見る。
そして小さく笑う。
「あなたがレオン?」
俺は頷く。
「まあ一応」
リュナは面白そうに言う。
「さっきの戦い、見てた」
カイルが聞く。
「どこからだ」
リュナはあっさり答える。
「最初から」
俺は頭をかく。
「いやそれ早く助けてほしかったですね」
リュナは笑う。
「あなたがいるなら必要ないと思った」
そしてダンジョンの入口を見る。
黒い穴のような入口。
その奥から冷たい空気が流れてくる。
リュナが言う。
「魔族が待ってる」
カイルは頷いた。
「行くぞ」
こうして
討伐隊
カイル
エリシア
リュナ
レオン
四人は
王都のダンジョンへ足を踏み入れた。
暗闇の奥へ。
魔族を追って…




