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線の上の冒険者ーSの日記ー  作者: aki.
第6章「機械だらけの宴」
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vs.ロボットたち ※ジン視点





「ケアテイカー!!」


 突然、その場に倒れ込んだケアテイカーに駆け寄り、声を掛ける。

 揺さぶっても、頬を叩いても、起きる気配はなかった。


[ケアテイカー。ケアテイカー。起きない。起きない]

「これは、どういう事だよ…!」


 苛立ちを抑えきれず、KBに向かって叫ぶ。

 その間にも、ロボットたちは絶え間なく増え続けていた。


[ご安心ください。…シオンは今、眠っているだけです]

「は?」


 眠っている――?


[黒い箱が身体に順応するために必要な過程です。大丈夫。すぐに目を覚まします]


 口元を緩ませて、KBは笑った。

 俺は眉をひそめ、腕の中でぐっすりと眠るケアテイカーを見つめる。


[ピー!!]

「ちょ!止まんないんだけど、KBちゃん!!」


 箱は消えたのに、ロボットの猛攻は止まらない。それどころか、さっきよりも勢いを増して突進してきていた。

 すると、一体のロボットが両手を掲げて叫ぶ。


[箱の気配なくなった!次の目標に設定!次の目標は、ジン・レスターの捕獲!捕獲!]

『捕獲ー!』

「………は?」


 ロボットたちが叫ぶ。

 今、何て言った?


[突撃ーーー!!]


 一体の命令を皮切りに、他のロボットたちが一斉に突進してくる。

 KBとファムが前に飛び出し、無作為に突っ込んでくるロボットたちを次々と蹴散らしていった。


[怯むなー。我らが主のご命令を遂行しろー!]

「ちょっと!どうなってんの、これ!?」

[あなたたちの主はBのはずです!彼女はそんな命令をしていません!]

[ジン・レスターの捕獲。捕獲ー!]

「っ、」


 ロボットたちの攻撃は止まらない。

 このまま応戦していても、消耗するだけだ。

 KBは険しい表情でロボットたちを睨み付ける。


[このままではいけません。退避いたしましょう]

「この状況で逃げるの?どうやって?」

[私が退路を作ります]


 そう言うと、KBは頭上に魔法陣を浮かべ、炎を放つ。

 無数の火球が弾丸のように発射され、ロボットたちを一気に吹き飛ばした。


[ファム、先頭をお願いします。私は殿を務めます]

「わかった!」

[ジンはシオンを!]

「くそっ…!」


 俺はシオンを背負い直し、歯を食いしばる。

 ロボットたちが倒れて道が開けた瞬間、俺たちはその場から駆け出し、部屋を飛び出した。

 だが、すぐにロボットたちは立ち上がり、追撃を始める。


[待てー!ジン・レスター捕獲ー!]

[ピー!ピー!ピー!]


 何がどうなってんだ。

 箱がなくなったから次は俺を狙う?わけがわからない。


「はぁ、…っ」


 背中に眠るケアテイカーの体温を感じながら、振り返る。

 ピー、ピーと機械音を鳴らして迫ってくる群れの姿に、得体の知れない恐怖が背筋を這い上がった。


 そして、そのまま俺たちは建物の外へ。

 だが、どこに逃げても安全な場所なんてない。

 眉をひそめ、俺は舌打ちをひとつ落とした。



+


 制御棟まで辿り着き、ようやく足を止める。

 振り返ると、ロボットたちは追ってきていなかった。

 深く息を吐き、ホッと胸を撫で下ろす。


「はぁ、はぁ…。ここまで走ってきたけど、このあとどうするの?」


 ファムがKBに尋ねる。


[とりあえず、シオンが目を覚ますまでは隠れていた方が賢明かと。この制御棟の先に、有事の際に解放される避難施設があります。そこへ行ってーー]

「? KBちゃん?」


 言葉の途中で、KBは口を閉ざす。

 その直後、頭上からガラスが割れる音が響いた。視線を上げると、二つの影が見える。

 ひとつは小さく、ひとつは大きい。


 その大きな影が魔法を使って着地し、俺たちの前に立ちはだかった。

 そして、頭上に浮かぶ小さな影を睨み付ける。


 落ちてきたのは――アルヴィスだった。


「アルヴィス!?」

[ピーーーー!!]


 同時に、小さな影も勢いよく落下し、地面に大きな穴を穿つ。


[ピー。ピー。恨む。恨む]


 それは、先ほどの群れと同じロボットだった。

 だが、その両目は真っ赤に輝き、両手を不気味に震わせている。


「っ、こいつ!」

[ピー…ッ!!]


 アルヴィスは銃を構え、睨み付ける。

 緊張が張り詰め、場が一気に凍り付いた。

 そのロボットは、他の個体とは明らかに異なる雰囲気を放っていた。


[ピー!ピー!呪い!呪い!強大な呪い!!]


 足元で転がっていたピービーが甲高い声を上げる。


「何だよ…あれ?」

[…あれは、CB?]

「知り合い?KBちゃん?」

[ええ。……まさか彼まで]

[ピー!ピー!ボクは恨む!みんな恨む!ボクたちを作った人間を恨む!壊されていった仲間を返せ!返せぇ!!]


 ロボットの絶叫が響き渡り、体から黒い靄が噴き出した。

 それは不吉な煙のように空気を侵し、じわじわと周囲に広がっていった。



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