第1話 異世界転生
コンビニ店員の僕は、毎日、仕事が終わると、飛行シュミレーションゲームをプレイして、世界中の空を飛んでいた。これが唯一の楽しみだったのだが、
ある日、勤め先のコンビニに車が突っ込んで来て、僕は、アッサリと死んでしまう。
しかし、どうやら僕は異世界に転生したようだ。
「大丈夫か!」
と、撃墜されたバードバトラーから救助される僕。
この世界は、広大な森の中に、ヨーロッパの古城のような城が点在していて、今は、連合軍と帝国軍の戦争の真っ最中であった。
僕は連合軍の軍人で、鳥型の戦闘航空機バードバトラーのパイロットの一人として、生まれ変わったようだ。しかも、長身でイケメンである。
救助隊は僕の生存に、目を丸くして驚き、
「奇跡的だな、あの高さから落ちて生きているとは」
救出後、スパロウ・タイプの小型輸送機に僕は乗せられ、大河の中州にある前線基地へと帰還した。
この前線基地は、レンガを積み上げて造った砦のような簡素な拠点である。ここも敵の攻撃で、かなりの被害を受けたようだ。
その前線基地で、金髪の美女が僕を出迎える。彼女は戦闘アナリストのケリーだ。
「お帰りなさい、生き残ったパイロットは、あなただけよ。敵の激しい攻撃を受け、生き残の兵士も、少ないわ」
「そうなんだ」
と、言うしか、この世界に転生したばかりの僕には、言葉はない。
「とりあえず、食事でもとってよ。せっかく生還したのだから」
と、ケリーはパンとスープの質素な食事を用意してくれた。
この前線基地の若き司令官・プライドは、その名の通り『誇り高き軍人』である。
だが経験不足のためか、ピンチになるとヒステリックになる癖があり、この時もリピリとした口調で部下に指示をだしていた。
この世界は不思議な世界で、銃やミサイルといった飛び道具はなく、バードバトラーと呼ばれる鳥型の戦闘航空機も、足の部分の爪で、敵機を攻撃するのだ。
やがて、日が暮れて夜が来た。僕はベルトに軍刀を吊り下げ、砦の警護をしていたのだが、ケリーが来て、
「あなたは寝ていて。砦の警護は、他の兵士がやるから」
「いや、でも」
「パイロットはね、体を休めるのも仕事のうちよ」
「しかし、バードバトラーは全機、撃墜されたのでは?」
「試作機のイーグルセイバーが残っているわ。もし、敵襲があれば、あなたは、その機体で出撃して」
ケリーの話によると、このイーグルセイバーというバードバトラーは、最新機種の試作機で、敵と交戦するさい、瞬時に人型に変形して、サーベルで敵を攻撃できるらしい。
そして、その夜は敵襲はなく、翌朝。司令官のプライドが皆を集めて、
「昨夜、師団本部の伝令が来て、この前線基地を放棄すると言ってきた。つまり、援軍は来ないということだ」
「オレたちは、見捨てられたということか」
古参の整備兵、マックリが言ったが、プライドは無視して、言葉を続ける。
「輸送船が一艘、残っている。それで河を下り、ニューヤクの都に行こうと思うのだが」
「だが輸送船じゃ、敵に見つかれば、木っ端微塵だ。自殺行為じゃねえか」
再度マックリが、怒鳴るように言い放た。