01 重たい朝
ジリリリ… ジリリリ… ジリン
枕元の時計を確認すると針は9時を指している。
「はぁ… もう朝か…」
重たい体を起こして少し俯く。私は眠るのが苦手だ。よく眠れると噂の商品を片っ端から試したが全然効果がない。ようやく眠れそうになるとアラームで起こされる。そんな毎日の連続だ。だんだんと朝が憂鬱になってくる。
「おはよう、どうしたの朝からそんな顔して。
怖い夢でもみたの?」
いまだに子供扱いしてくる母を遠目で見ながら席に着く。
「まぁ…ちょっと眠れなくて…」
「悩み事?あるなら相談しなさいよ。
ほら、あなたが好きなクロワッサンにしたから食べて元気出しなさい。」
「ありがとう… 」
「あ!そうだ今日遅くなるから適当にご飯買って食べなさい。今日ぐらいは贅沢していいんだからね。」
そう言うと母はバタバタと家を出て行った。机を見ると3千円が置かれている。これで何か買えと言うことなのだろう。
「今日はなに食べよう…」
そんなことを考えていると、テレビにニュースが流れて来た。普段は聞き流しているはずのニュースをこの日はなぜか見てしまった。
「速報です。今日未明、9歳の男の子の遺体を川に遺棄しようとした42歳会社員の男を現行犯逮捕しました。警視庁の調べによりますと男は、うるさいから風呂に沈めた、近所迷惑になると思ったなどと供述しており容疑を認めています。続いて…」
「可哀想…」
「やっぱり苦しいのかな…」
気がついたらボソッと呟いていた。
しばらくテレビを眺めていると横のカレンダーに目が移った。
「4月14日…
そうだ…今日は学校がある日だ。」
大学生になって、授業も何回か受けたが、私は新しく出会った人たちと馴染めずにいた。母はまだ始まったばかりだから気にしなくていいと言ってくれるが、もう何個かグループができている。もう出来上がっているグループの輪に入れるほどの勇気は私にはない。ただ声をかけるだけなのに…そんな自分に嫌気がさす。
「早く準備して行かなきゃ…
遅れたらまずい…」