第六話 思考実験
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自分自身の置かれている状況を、概ね理解することが出来た。もちろん、リリエルの言をすべて信じるならばだが。
どちらにせよ、今のこの状態で出来ることはないので、リリエルが持っている知識を聞きながら、俺が生まれた後、どういう風に活動するか、二人で思考実験を重ねていく。
「つまり、第一次第二次世界大戦を防いで、戦死者を減らせば勝ちってこと?」
「うーん、戦争が起きてもいいんだけど、そこで、民間人の犠牲者を少なくしてほしいの。兵士たちって、基本、戦って死ぬかも知れないって思ってるから、戦死したとしても、それほど強い悲しみや絶望を持たないのね。でも、一般の市井の人々は、理不尽に殺されたって思うの。そういう魂は負のエネルギーを持って、悪魔に吸収されちゃうわ。」
「なるほどな。じゃあ、勝利条件としては、戦争が起きても良いが、民間人の犠牲者を最小限にとどめること、そして、失政による餓死者も出来るだけ減らすってことでOK?」
「OK、OKよ。具体的な数字はわからないけど、出来れば5,000万人以下に抑えてほしいわ。」
「5,000万人も大概な数字だけどな。まあ、史実の2億人に比べれば4分の1か。でも、第一次大戦の勃発は1914年だから、俺が順調に生まれて育ったとしても、第一次世界大戦には間に合いそうにないね。」
「しかた無いわね。第一次世界大戦と、その後のロシア革命で2,000万人以上の一般人が死んでるわ。あんたも頑張れば、第一次世界大戦の後半くらいから、なにか影響力を出せるんじゃないの?頑張んなさいよ!」
「たとえば、日本で革命を起こして実権を握り、21世紀の技術で軍隊を強化して世界に宣戦布告。で、早期に世界を統一して戦争を無くすとか?」
「そういうのも有りね。でも、革命に失敗したらそれで終わりだし、最悪、泥沼の内戦なんて事になったら目も当てられないわ。十分に仲間を集めて慎重にする必要があるわね。20才くらいのあなたにそれが可能かしら?その能力はあると思うけど、人を動かすためのカリスマが、その年齢で備わってるかどうか怪しいわね。もっとカリスマのある人を担いで、その裏で実権を握るのはどう?」
「確かに。失敗したからリセットしてやり直しってわけにはいかないしな。ならば、確実にカリスマを持つことがわかっている人物に近づき、誘導する訳か。とすると、思い当たる人物は一人だけだな。」
「もし失敗したら、あの加速器をもう一回作って暴走させたら?また転生できるかもよ?」
「無責任なこと言うなよ。あれだって、一つ間違ってたら人類滅亡レベルだったんだぞ。」
「人類滅亡って・・・、そんな危険な事やってたの?あんたたち、正気?」
「万が一に備えて、何重もの自動停止プログラムが実装されてたんだけど、なぜか全部受け付けなかったんだよね。で、緊急停止ボタンを押したんだけど、それもダメ。理論的にはあり得ない事故だよ。他国の工作員による妨害工作だったのかもね。今考えると。」
「あんたたち、嫌われてたのね。」
「いや、そういうレベルの話じゃない。」
「まあいいわ。とにかく犠牲者を減らす方法、考えなさいよ!」
「第一次世界大戦の阻止は出来ないとしても、第二次世界大戦の阻止は出来るかもね。ドイツに対する一次大戦の戦後賠償を少なくするように働きかけたり、ヒトラーの暗殺とか。あと、ロシア革命を失敗させるとかね。レーニンの失脚や暗殺とかできれば、その後の世界もずいぶん良くなるかも。」
俺は策謀を巡らせる。
「暗殺もいいけど、それだけだと別の勢力が台頭して、やっぱり内戦とかになりそうね。あんた、相当な知識があるんだから、超兵器とか作って他の国をどんどん占領しちゃいなさいよ。」
「なんか、急に過激なこと言い出したな。超兵器を作っても、一個だけじゃ役に立たないんだよ。核兵器とか作って、恐怖で従わせるって事も出来るかも知れないけど、そのためには、実際核兵器を使って、どういう惨劇があるか見せないと効果が無いと思うし。日本人として、そんな事はしたくない。高性能な兵器を作っても、ある程度の部隊運用や、メンテナンスができる体制、それに、それを支える兵站も構築しなきゃいけないし。やることはたくさんあるんだよ。」
「まどろっこしいわね。あんた、男でしょ!やるときはやんなさいよ!気合い入れたらなんとかなるわよ!」
「いや、そんな精神論言われても・・・。」
今日も思考実験は続く。
第六話を読んで頂いてありがとうございます。
いろいろと試行錯誤をしながら書いていると、小説って本当に難しいなーって思います。
まだまだ勉強中ですが、皆さんの応援でより面白い作品にできればと思います。
完結に向けて頑張って執筆していきますので、「面白い!」「続きを読みたい!」と思って頂けたら、ブックマークや評価をして頂けるとうれしいです!
モチベーションががあがると、寝る間も惜しんで執筆してしまいます。
これからも、よろしくお願いします!