鉄血女帝アナスタシア 第十七話
大日本帝国宇宙軍 第二巻 絶賛発売中!
イラストはもちろん湖川友謙先生です!
帯のコメントは湖川先生と紫電改三四三などを執筆されております須本壮一先生の御両名から頂きました。
ご購入頂けると嬉しいです!
なんだか間抜けな返事をしてしまったわ。淑女にあるまじき事ね。
「な、何で協力してくれないの!?あなたの目的は戦争犠牲者や餓死者を減らしてアルマゲドンに備えることなんでしょ?だったら大戦とロシア革命が無くなるだけでかなり犠牲者を減らせるわ」
いつもはクソほど合理的に考えるヤツなのに、なんで協力しないって言うの?おかしくない?
「サラエボ事件の情報は提供しましょう。あと、レーニンやスターリン、トロツキーらの情報も知り得る限り提供します。それで第一次大戦やロシア革命が防げれば幸いです。犠牲者が少ないにこしたことはありませんからね。でも、技術は出せません。今のロシアに技術を提供した場合、南下政策の野心が再燃しかねませんからね。それは世界にとって不幸なことです」
う、正論で攻められるとぐうの音も出ないわ。
「そ、それはそうかも知れないけど、それならお父様を説得して民主化するわ。実際私が皇帝だったときは日本国憲法を参考にした立憲君主制でうまくいってたんだから。それならいいでしょ?」
それでも蒼龍は難しい顔をしたまま黙ってる。何が問題なのよ!はっきり言って欲しいわ!
「ロシアが帝政か民主主義かを問題にしているんじゃ無いんです。俺はロシアの国民をこれっぽっちも信用してないんですよ。例え民主化したとしても、領土拡張の野心が無くなるとは思えません。それは俺の前世で経験済みなんです」
昔蒼龍の前世のことを聞いたとき、民主化したにもかかわらずロシアはウクライナから東部工業地域を戦争で奪い取って併合したって言ってたわね。ジョージアやアルメニアの民族紛争にも介入して領土的野心を隠そうともしなかったって。それにしても私の愛する国民を一切信用できないって非道すぎる。蒼龍のこと嫌いになっちゃうわよ!
「俺の知ってる歴史では、第二次世界大戦でベルリンが陥落した際にソ連兵は10万人から数十万人の女性をレイプしています。ドイツ全土では200万人の女性がレイプの犠牲になったという資料もあります。満州や樺太をソ連が占領した際も、多くの日本人女性が犠牲になりました。どの国の軍隊もある程度こういう残虐な犯罪をしますが、ロシア人だけ突出してるんですよ」
「え?嘘・・・・・」
前世で蒼龍の経験した歴史は聞いていたけど、そんな犯罪があったなんて知らないわ。ドイツで200万人の女性がレイプ被害にあったなんて・・・それに日本人女性も・・・・。前世でそんな事を言ってなかったのは、女性の私に気を遣ってくれていたと言うこと?私の愛するロシア国民がそんな鬼畜なことをするなんて・・・・。
「嘘ではありません。これは教育水準の低さにも起因します。だから、ロシアに俺の技術を渡すわけにはいかないのです」
「そんな奴ら、私が皇帝になったら全員公開処刑にしてやるわ!それに前世で私が皇帝になってからは領土的野心も無かったしちゃんと教育をしたし、民主主義国のリーダーとして一緒にやってきたじゃない!」
「いや、だからそれ、知らないんですよ」
あ、そうか。ついつい混乱しちゃうわ。
「それに公開処刑にするだけじゃ根本的な解決にはならないんですよ。問題の核心は教育水準の低さにあるんです。現時点でのロシアの文盲率は60%、農村に至っては70から80%の人が読み書き出来ません。この改善が急務です」
「う・・・・じゃあ、どうすれば協力してくれるの?協力してくれるんだったら何でもするわ!わ、私の体だって・・・」
「だ・か・らぁ、そんなモノいらないですから」
カチン!
「さっきもだけど私の純潔を“そんなモノ”って非道くない?乙女がここまで覚悟を決めてるのよ!?」
本当なら勝巳にあげる予定の純潔を、協力してくれるなら蒼龍に内緒であげても良いって言ってるのよ!乙女にとってどれだけ覚悟がいるかわかってるの!?
「えっと、公女殿下の話を信じると、中身は100歳だし純潔でもないし子供も3人産んでひ孫が何十人もいるんですよね?それって乙女なんですか?」
あー!絶対に女の子に言っちゃいけないこと言い放ったわ!マジでムカつく!確かに私には蒼龍との80年以上の友情の記憶があってアンタにはその記憶が無いのかも知れないけど非道すぎる!トモダチにする仕打ちじゃ無いわよ!こんなにもトモダチ想いの無いヤツだとは思わなかった!絶交してやろうかしら!
「とはいえ、俺としても一次大戦やロシア革命を防ぎながらロシアがまともな国になってくれる方がいいので、そのプランを考えてみましょう。一週間ほどお時間をください。それと、ロシアの現状をわかる限りで良いので教えていただけますか?」
「えっ?考えてくれるの?」
「はい、そう言いましたが、別の意味に受け取れましたか?」
なんかいちいちムカつく言い方よね。本当にあの蒼龍と同一人物なの?でもとりあえず前向きに考えてくれるらしい。ロシアの現状をまとめるから次の土曜日、授業が終わったあとの午後に蒼龍の家を訪問することにした。そこでルスランにも紹介しよう。きっと良い方向に話が行くわ。
※当時の学校は、土曜日に午前中だけ授業があった




