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今を生きる

作者: sur

「あなたができること、あなたが夢を見て仕方がないものを始めなさい。あなたがこの世界に生まれた時のように」


それは、夢の中で僕に告げられた。僕は無辺の広大な海に浮かんでいる。そこにはただ、冷たいという感触が合って。それでも目線の先には僕を青く包み込む雄大な空が合って。手を伸ばせば雲をつかめそうな感じがした。実際にはかなりの距離があるのだけれど。


「あなたができること、夢を見られることをすぐに始めよ。」


僕に浸み込んでくる海水はその冷たさだけを残して、他には何もない。口に含んでみても味はしないし、色は太陽の光を受け透けている。ただ、何とかして僕はそこに浮かんでいる。深い底に沈んでいかないように。


母の顔が浮かんでくる。全てを知り尽くしたような穏やかな顔で言葉を放つ。


「あなたは出来る事を全てやってきたわ。

    今すべき事はひとつだけよ。

    疑うのを、やめなさい」


あぁ、そうか。僕は疑っていた。何もかもを。


人を。過去を。人生を。環境を。  自分を。


がむしゃらにやり通しても結果が見えない時、どうしようもない時。



ー人は疑うー



でも結局、疑って良かったことなんて一つもないんだよな。全部後悔ばかりだ。


自分が出来る事を全てやり通しても結果が見えない時、どうしても私達は焦って悩んで無茶な行動に出がちになる。

疑うのをやめる。そして自分を信じる。


夢なんてなければ、もっと楽に生きられるのに、と後悔もする。

 でも、それがなければ自分ではないような気がする


触れたら割れてしまいそうな風船を追いかけて、ずっとずっと手を伸ばし続けてる。純粋な子供のように


夢がないと自分ではないような気がする。いつまでもそう信じられたなら。それだけでは解決しないことも多々あるだろうけど。


一欠片ひとかけらさえも残さないで今を生きたい。



無辺の広大な大洋に浮かぶ僕は、最後に何処へとたどり着くのか。


飛行船が僕を探しに来て、助けてくれるのかもしれない。

あるいは、そのまま流されて何処かの浜辺に打ち上げられるのかもしれない。


もしかしたら、このまま沈んで深い深い海の底へと飲み込まれてしまうのかもしれない。


浮かんだまま冷たくなってしまう可能性だってある。



それでも、誰も、何も疑わずに。


今より自分を信じたいだけ。












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― 新着の感想 ―
[一言]  独特な言葉の使い方で、楽しんで読むことが出来ました。
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