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ZEROミッシングリンクⅣ【4】ZERO MISSING LINK 4  作者: タイニ
第三十二章 変わるベクトル

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92 クルバトノート2

ほぼ閑話です。



「という訳で、『美少年枠/ミルク』。」


クルバトの意見にブーイングな妄想CDチーム。


「え?こんなにキャラがいて、そこ、チコさんしかいないの?!」

「チコさんは皇后だろ?」

「いつまでもストールを被っているので、ヴァージョンアップはなかった。」

厳しいクルバトが、「美少年枠」とだけクルバトノートに付け加える。


「トゥルスは?」

「トゥルスは『美』というか、かわいらしいからな。」

「それ本人に言うなよ。どうして僕だけ背が伸びないんだろう??って、ムギみたいなこと言って悩んでいたから。あそこの家族、あの2人だけやたら細身で小柄に見えるからな。」

「こんど『身長のびの~び』を買ってあげよう。」

「俺ら忙しいし彼女もいないから、金ばっか貯まるもんな。時空には使わんと。」

大房にいる時は、金が貯まる生活ができるなど思ってもいなかった。


「ドリンクか?『今日ものび太くん』がいいぞ。レサトはあれを飲んで身長185を超えたらしい。」

「え?!俺も飲んでおけばよかったな。って…うちの母さんじゃ無理か……」

「どれも嘘くさいが、健康に悪いことはないだろう。ただの栄養だ。」

「安心しろ。背が低いメンバー、けっこう今彼女いる。ジェイも結婚したし。」


あれこれ話し合っている輪に誰かが叫んだ。


「ちょっと待ったーーーー!!!!」

「うるせーな。小声で言え。しゃべるな。」

「ツインテールがいないだろ!!ツインテール枠は必須だろ??」

「あほか。いらんわ。」

「変態だな。」

「つーか、どっちの枠も要らん。美女を入れろ。」


「…ムギちゃんはツインテールじゃないか?」

「あれはロー・ツインテールとかカントリーとか言うんだ。」

ジリが調べながら言う。

「ツインテールはビオちゃんにしてもらって、魔剣士にしよう。簡単なサイコスを使える上に剣術とかしてたぞ。」

「え?ザルニアスの子だろ?サイコスって?!まだ幼稚園じゃなかったか?」

「バレエもしている。」

「マジお嬢様だな。」

「ビオちゃんはカードとか当てるの100発100中らしい。しかも既にそろばん2級で暗算で賞も取った。」

「スゲー!!!超ハイスペック登場!!!」



「……。」

クルバトノートまとめ会というしょうもない集会を、近くのテーブルで寒い顔で眺めるキファ。


「あいつらまだあんなことしているのか?」

妄想チームから見た陽キャどもが呆れている。

「でもさ、俺ら何なのか気にならね??」

「名前は記名されてないらしいぞ。身内以外には分からないように設定も変えているらしい。」

「そりゃそのまま書いたらあかんだろ。機密もあるだろうし捕まるぞ。」

「ユラスに連行されたら人生終わりだ。」

「いやいや、俺らが知れる範囲なんて他も知ってんだろ。」



「キファは『変態。遊び人』だった。」

ファクトがいちいち教えてくれる。

「はーーーー?!!!」

「安心しろ、イオニアもウヌクもモアもその称号を貰っている。」

「俺は遊び人じゃない!!純愛系だ!」

ドンと、机を叩く。話を聞かない人が多いので、ドンと叩くのが流行っているのだ。


「ここに来る前まではそれなりだっただろ。」

「そんなことはない!!初恋の子の手も繋げなかった!!」

こいつのプライベートなど知らないが、絶対にそんなことはないと確信する大房民。そんな事実があったとしても、幼少期であろう。


ただでさえ響に会えなくなったのに、納得できないキファである。この1年半、ダンスとトレーニング以外で女性に触れてさえいないのに。



これまで筋トレや仕事としてしか妄想チームと関りがなかったローが、Cチームのタイに話しかけてくる。

「俺はなんだ。タイ。」

「え?俺は時々横で話を聞いているだけで、全然分かりません!!」

ローはシグマの友人でAチームである。


そこでファクトが答える。

「ローはないよ。安心して。」

「あああ゛???俺を無視するだと??俺がどんだけ役立ってんだ?河漢見てんだぞ。お前ら1年半以上経ってんのに鑑識力ゼロか??あ??」

遊ばれてさえいないのか。


「あっ、ここにある。『髪の毛オレンジ。道化。』」


「…それだけ?」

「それだけ。あんま会わないし。」

ジェイが言わなくていいことを言う。去年のだいぶ前に書いたローに関するメモがノートの端に残っていた。

「………」

何かを噛みしめるロー。今はオレンジでないし、納得できない。


「ちょっと待て。ライブラ大先生は?」

ライブラは第2弾のリーダーの1人で頭もよく非常に頼り合ある兄さんだ。誰からも信頼が厚い。

「『ガンナー。中佐。バランス型で頭もいい。』」

「おーーー!!」

拍手が起こる。

これにはみんな納得。あんなにできる人が、あの行き当たりばったり第1弾しかなかった頃によく来てくれたものである。



「ちょっと待て。」

そう言われて振り向くクルバト。

「響さんはなんだ。響さん!」

響の園芸仲間ティガが、直球、アタック、ストレートで来るので騒めく。最近誰も口にしなかった名だ。


「響さんは…。『薬師、香具師、魔導士、学者、地方令嬢。農民。』」

「鍼灸師、ツボ、秘孔師も加えといて。テープ巻けるし。」

付け加えておくティガ。これで医師になったら最強である。

「薬師って…。なんかファンタジーでよくある薬師って感じじゃないよね?響さんは。」

小説大好きラムダが思わず言ってしまう。女性ヒロインでよくある職種だが、ラムダ的にはなんだかそれとは合わない気がする。だが、陽キャはそんな微妙なニュアンスどうでもいいのだ。

「それから響さんは……」


パタン


とノートを閉じるクルバト。

「これ以上はお前らには教えん。」

「なんだ!貸せ!!」

「いやだ!妄想チームを裏切れない。」

この領域は陽キャどもには入らせないのだ。お前らはパーティーでもしていればいいと思う妄想チーム。こっちはゲームオフ会ですら行くに躊躇する、こことは異世界過ぎる世界にいたのだ。オフ会すら絶対にしたくない。なぜアーツに、しかもあの、当時ロン毛顎髭のサルガスに誘われたのかも謎だ。…という、一部メンバー。



「待って、タラゼドは?今あいついないだろ。」

「おい、クルバト。タラゼドはなんだ。」

タラゼドは、ファクトやラムダたち以外とは、仕事の都合で現在ほとんど接触がない。


「『技士という名の拳闘士、武道家、職人/男は憧れるが、女が好きな顔ではない。でも、意味なくモテる。ムカつく。』」

入れない決まりの私情が時々入っている。

「あ、そこ消しておけ。タラゼドはいい奴だと話し合ったじゃないか。」

修正されていないことに妄想チームが気が付いたところでローがさらに質問する。


「このマークはなんだ。タラゼドは目立たんわりにいろいろ付いてんな。」

「見た目で人を殺せそうな人。」

「こっちは?」

「陰キャにも優しい人。」

「こっちは?」

「なぜかモテる人。」

このモテるマークは大房民に限っては、目で人を殺せそうな人の10分の1もない。


「………。」

なぜか納得できない陽キャたち。

「俺ら大房でなら結構モテるんだけど。」


応えてくれないので話を先に進める。

「これ…レオ二スさんだろ?」

「アセンブルさんは?」

「軍将将補。参謀。副番長。」

「そのまま書くな!」

「いでっ!」

今入って来たシャウラにクルバトは頭を叩かれる。しょうがなく消しゴムで消して、周りに相談することにした。



ドン!


突然、目立たなかった1人が机ドンをする。

「…ていうか、君たちは僕らの領域に入ってこないでくれ!!」



今まで空気より存在感のない地球外物質かと思ってしまいそうなセオが叫ぶ。地球にいたのか。

しょうもないと言われながらも、自分たちで作ってきた世界を陽キャに侵入されて、いたたまれず人生最大の勇気を出したのだ。


「クルバト、お前は?書記?」

しかし無視されるのでファクトに慰められる。

「…ううぅ。」


「俺は…『語り手本文』。だけどナレーションはクラズさんに任せたい。あの声渋過ぎる。」

この位置は譲れないクルバト書記官である。

「世界紀行的に語りたい…。」



「…っ?」

その時、妄想チーム周りでクルバトノートに集中している以外のメンバーが、少し静まった。


「お、おい…」

「やばくないか……」

そして姿勢を正し立ち上がった。


「ほう、私はなんだ?」

「あ、どうも。議長は…」


っ?!と言って、超驚くクルバトたち。


「ひっ!」

「議長?!!!!!!」

「あ?!議長?!!!」

サダルメリクであった。


スパっとノートを取られるクルバト。


ノートを見入っていた妄想チームアンド一部陽キャが声も出ないほどビビっている。

「あ、あ、あ…」

「…っ。」


「これか?」

サダルが指しているのは魔導士、科学者、錬金術師、人形遣い、召喚士辺りだ。

「いえ、違います。そちらは心星ポラリス博士でございます。議長は能天気とか、そういうキャラじゃないですので…。」

『N』なる能天気マークがついているのだ。そんなわけがない。

「ほう、なら私は?」

「雲の上のお方ですので、滅相もございません…。」

「そうか?」


その後ろで小声で確認している妄想チーム。

『お前ら破壊神とか邪皇帝とか、魔王とか書かなかったよな?!』

『覇王のままだ!』

『なら、最悪バレても大丈夫だな!』


ちなみに『N』マークはポラリス、ファクト、シャムなどに付いていて、次席チコ、カウス、トゥルス、レサト、キファ、ウヌク、ラムダ、シグマ、ロー、響、リーブラなどである。



「特殊工作部隊…。これはカウスか?」

「なんでここだけ現実なんだ…。」

「カウスは工作部隊に入る必要もないだろ。既に目立っているし。正面突破型じゃないのか?」

時々しか見ない軍服の護衛か側近らしき人間たちも、見入っている。金の玉が縮むアーツメンバーたち。


「おい、この目のマークはなんだ?」

「時々目がヤバい人です…。」

「よく見てんな!」

よく分からないがウケているので一緒に笑っておくが、大房民、気が気でない。





「…サダル…突然来るの、やめてほしいんだが…。」


そこで、救世主。

アーツの番長チコが、サルガスやタウたちと入って来た。マイラや、カーフはじめとする学生、藤湾や南海の青年たちもいる。

「チコ、準備はできたか?」

「ああ。」

久々に会ったのに、そっけない夫婦だ。


「だいたいのメンバーはいるか?」

「先招集をかけたが、急だったから…。あとパイラルたちも来たら揃うかな?」



呼んだメンバーがだいたい揃うとサルガスから話が始まった。




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