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ZEROミッシングリンクⅣ【4】ZERO MISSING LINK 4  作者: タイニ
第二十八章 河漢の龍

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27/104

26 昔の金持ちが議長を怒らす。

※現在過去の物も全部修正、プロローグから一部エピソード追加をしております。


それでも誤字があること、10回ぐらい直しても誤字や「誰が喋ってるの?何の話?」みたいな文がたくさん出てきて申し訳ありません…。


『ZEROミッシングリンクⅠ』はこれ以上は変えない予定です。


そして、やはり

×シア→○ソア(アーツベイドの妻)

×フェクド→○フェクダ(チコの部下)

×サダルメルク/サダルメレク→○サダルメリク

この間違いがすごく多かったです。ごめんなさい。まだ全部直っていないです。




「へ?」

ユラス軍の近くにはいないが、聴こえてしまって間抜けな声を出すファクト。


ユラスの方は、何かため息をついている。

「倉庫?」


「コレクションの倉庫だ…。」

「コレクション?」

「多分河漢の電力とは別に自家発電で動かすものがあるが、今回は河漢からも吸い上げていた。明日東アジアに入ってもらえばいい。」


ユラス軍から離れた場所のアーツメンバーはファクトに聞く。

「ファクト、向こうはなんて言ってるんだ?」

「コレクションの倉庫だって。」

「は?」


「金持ちのコレクションだ!!」

向こうでサダルがブチ切れ気味だ。


「『金持ちのコレクションの倉庫!』だそうです。実況以上!」

ファクトの言葉に、アホな全員が盛り上がる。


「おおー!!!昔の金持ちがサダルメリクを怒らせた!」

「すげー!!!」

「でも、こんなところにこの規模の倉庫を勝手に建てるって…。違法だろ。」

「脱税狙いか?隠し財産?」

「中がどんだけ広いのかは知らんが、この扉の規模で30分ほど調査していたなら、狭くもないだろう。」


「これはサダル議長もムカつくな。東もユラスもこれだけ軍を動員してコレクションが出て来たとか。」

「ちょっと恥ずかしいよな。見付けられた方も動員された方も。こっちはおもしろいもん見れたけど。」

「何のコレクションだ?男としてヤバい物か?」

「この設備でそれはないだろ。変態じゃん。武器や乗物系とかじゃね?」

ファクトとしてはこれまで何度も襲撃にあったので、念には念を入れたユラスの気持ちが分かる。




では、これだけのものを築くことができた者たち。それはなんなのか。


警察も行政もザルな河漢で勢力を誇っていたもの。


半インテリ化して法律の中でも動くが、法を犯すこともする者たち。巨額なお金を動かせる。

それは近代化したやはりアジアンマフィアたちである。


…多分そうであろう。



現在の普通の企業や金持ちがこんな膨大なリスクを冒して、隠し財産をするとは思えない。

「でも、建設するのだって、申告もなしにこんな建設資材がここに運ばれたら普通気が付くと思うけどな。いくら河漢でも役所もそこまでバカじゃないだろう。物を運んで重機が出入りすれば区外からも分かるし。」

タラゼドが不思議がる。

「…どうだか…。河漢は役所もある意味マフィアよりひどいからな。」

「河漢には元々スクラップや廃材の収集所巨大があったから、中古を利用した?」

「この規模の?どっちにしても大工事が必要だろ。中古と利用したというか、中古業を利用したんだろうな。」

「この倉庫自体は始めからここにあったものをそのまま使ってるとか…。」

「本当に金持ちの昔のシェルター?」


そこで一旦話が区切られる。誰か分からない武装兵に声を掛けられた。

「アーツメンバー。今日は戻るぞ。」


横の方で座っていたサルガスがため息をついて立ちあがろうとする。


と、やはりジェイが叫んだ。

「サルガス!やっぱ腕輪、光ってる!」

「え?」

サルガスがバングルを見るがよく分からない。


「本当だ。光ってるな。」

1人の兵士がサルガスの方にやってくる。

「え?なに?」

そして報告すると、すぐにサダルが来た。

アーツメンバーは黙ってそれを見守るしかない。先まで地下にいたのに、次から次へと大御所に絡まれてかわいそうなサルガスである。根は普通人なのに。



サダルはサルガスの腕を取って聞いた。

「これは?」

「…付き合っている彼女に貰ったものです。祖父の形見と聞いていましたが…。」

「……。先は他の光も多くて全く分からなかった…。私にはあまり見えんな。外せるか?」

外して渡すと、サダルはじっと見たり透かしたりしながら何度か確認する。

「彼女は誰だ?」

「カーティン・ロディアです。」

「…カーティン?ヴェネレ人?フォーチュンズの『カーティン・ロン』か?」

「『ロン』?」


理解が速いが『ロン』ってなんだ。嫌な予感しかいない。


「あ、そっか!婚活おじさんはアジア系だから『(ロン)』か!」

ファクトが知恵の輪を解いたようにスッキリした顔をして言う。


「……」

「カーティンが彼女なのか?」

「…そうですけど…ロンかは…知らないです。」


腕輪を見てじっと見ながら考えたサダルが答えた。

「中に『ピジョン・ブラッド』の欠片が埋め込まれている。ルビーだな。」

「………。」

見た感じではただのシルバーのバングルにしか見えない。

「このルビー、欠片でなければ一般の天然のダイヤより貴重な物もある。」


「あの…それ!……先の『前村工機』の文字と同じ色に光ってました…。」

ジェイが勇気を出してぼそっと言った。

「……。」

サダルが地下の吹き抜けの方と、指輪を見返す。


「ちょっと来い。」

サルガスとジェイ、ついでにまたファクトも呼ばれ、先の吹き抜けから地下を覗く。

「そのバングルが結界を解いた鍵かもしれない。」

「は?!」

みんな驚く。

「霊性が込められていて、それ自体が鍵になったか、何かの条件が出揃って結界が解けたか…。でもそのバングルはおそらく必要条件だな。アセン、カーティン家の元は西アジアだったか?調べろ。」

「はい。」



という事は…タウやベイドの予想通り…


ロディアさん一家はやはり『()()()()』であろう。



「ははは…。」

笑っていいのかどうなのか。それでも笑ってしまうサルガスであった。




***




その頃、いそいそとベガスに戻って行く響。


ボックスカーで高速に乗って、既に東アジアに入っている。



そう、お兄様に居所がバレたのだ。


そばにいたので思わず別荘の固定電話に出てしまった。ボーとした生活をし過ぎて気が抜けていたのだ。家族が来る前に山根夫妻に挨拶をして、急いで車を走らせた。


もう、このままベガスの荷物を整理して、旅に出る予定である。蛍惑にいた時間に書き貯めた、現時代の漢方生態論文の手書き元原稿やメモをファイルに入れた。大きさも書いた媒体もバラバラなので一気に取り込めず、スキャンする暇がない。

研究室は高価な香木や漢方も置いてあり、湿温調整機も荷物も一先ず半年はそのままでいいと言われている。住まいの方も整理だけして必要なものを持っていくつもりだ。冷蔵庫で消費期限があるものも整理してある。ロディアにも挨拶をしないといけない。



アジアンラインは危ないので西中央アジアに行こうとは思うが、チコや学生たち、それにタラゼドが思い浮かぶ。リーブラはもう大丈夫だろう。みんなには挨拶ができない。ひとまず1、2カ月出るつもりだ。


はあ…。


いろいろ考えながらため息がちにそう思った頃、既にアンタレスに入り高速を降りる。

そこで人気のないベガス側に向かいながら………


ドン!と天井に音がするのを感じた。


「!?」


え?

何?上から?



横なら動物の可能性があるが、上?鳥?風もないけれど、飛んできたゴミ?軽くも重くも感じる衝撃。都会でも少し閑散とした街の路肩に車を停める。そして運転席から降りた時だった。


ガズ!っと、頭と手を掴まれる。

「っう!?」

「やっと見つけた。麒麟の女。」

「?!」


目の前にいたのは、何度も会っていながら初対面の男。

銀の様な黒の様な、ブロンズの髪。



チコの弟、シェダルだった。




***




「まだ反応しているよ。」

地下をのぞき込んでいるサダル、サルガス、ファクトに、ジェイは教える。


「ほら、腕輪も赤いし、それに、やっぱ皆さん…同じ青い光を出してる。」

「…青?」

それは聞いていなかったサダルがジェイを見る。アセンブルスにその光はない。

「皆さん3人…青い光を出してるよ…。モヤっとした。」


「『前村工機』は?」

「まだ赤い。」

先の文字は扉が動いて隠れてしまったが、まだ赤いらしい。



雨は降らなさそうだが、扉が開いてしまった『前村工機』をどうするか軍が話し合っているようだった。

正確には上面の扉は4重構造。おそらく、少し前の世代の旧式を元に改装改装されているシェルターだ。


電源を探して繋ぎ、とりあえず1つでも扉を閉めるか。電気を繋げてもいい物なのか。それとも朝まで警備だけして守るかと話をしていた。光を入れたり朝になれば、上空や衛星からはおそらくバッチリ見えるであろう。まだ、隠蔽すべきものなのかも話がつかない。


「…シリウスに頼るか?」

「…そもそもなんで、シリウスは…。分かっていたという事ですよね?」

アセンブルスたちも分からない。

SR社は知っていたのか。だとすると、SR社は危険だ。情報を収集する力を持ち過ぎている。それともそうでなく、シリウスが単独で見付けていたのか。



が、その時である。誰もが見える光で、地下の方が光った。霊性でなく実体の光である。


確認作業に入っている人員のライトではない。注意するように促すが…


一部に一気に明るさが走った。



『は?』

「どうした?!」


『2トン型ワラビーが…動いています!』


「はっ?!」



地下からの通信に軍の一同が驚きを示す。




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