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クッ殺さん江戸間8畳ワンルームに転がり込む

 軽竜騎兵隊の訓練を兼ね母の実家ハズカシーメ領の樹海でモンスターを間引いていたクッコロ・セ・ハズカシーメ・ウケール隊長、時代遅れの装備品と練度不足の兵に足を引っ張られ。



 『 ()()()()()()()()()()()()()()()



 慌てて起動した転移魔法で、東雲公園へ。


 「クッ殺」としか表現できないと言うか。

 あちこち防具を剥ぎ取られた格好で到着。

 こちらを睨み付けながら、大慌てで装着。


 オレこと小松仁に保護されたのだが……。



『普段着も持たず転がり込んだコスプレ娘』


 道中、無理矢理店員を説得し納得させた。

 無難な服を調達することに、成功。


 それにしてもクッコロさん、猛烈に反抗した。あまりにも時間をかけすぎたが、スマートフォンを確認すると『色々準備もあるだろう、今日は戻らなくて良い』とメッセージが届いていた。


 小さな町だ。クッ殺女騎士を連れ歩きショッピングと洒落込んでいたら、当然、噂になるだろう。風の噂が風速何mで、今日の風向きがどの方角なのかは知らないが、会社は徒歩圏内だから、社長の耳に届いてしまったのかもしれない。


 なんと申し開きをすれば良いのやら――。


 そうこうしているうちに自宅へ到着した。

 江戸間8畳ワンルームに正座で座ってる。

 女騎士の背景としては、違和感しかない。




「 下 着 ま で ! 感 激 し た ぞ ! 」



 てっきりオークに奪われたものなのかと。

 鎧を着たら見えないから……想像できる?


 そういえば『受け身が得意』と言ってた。

 そういう意味で?



「これなら冬も冷たくない」

「寒暖差よりも冷たさという感覚に驚いた」

「防御の面でも優秀そうだ」



 ただし頑として普段着に着替えないのだ。

 半壊したハーフプレートメイルを装着中。

 銀白色に金縁の金属鎧を脱ごうとしない。


 深紅の瞳、編み込んだプラチナブロンド。

 清楚で真面目な、お嬢様タイプ

 動くとレースやフリルが見える。


 オレにクリティカルヒットする!



「クッ殺スタイルで過ごすのか?服を選べ」

「騎兵隊長で訓練中なのだ、平服では困る」


「その後、転移魔法は?」

「やはり反応が無い、次元に道が開かない」



 まぁそれは置いといて。


 困った顔で、空中を()()()()触っている。

 肩のアーマーは左だけ、バランスが悪い。

 ズルッと引っ張り右乳が零れそうになる。


 御自宅で 下着売り場が 見え隠れ ……ん?


 図らずも五七五、そして目の毒。

 オレの理性は常在戦場となった。


 こうすると「以前はできたのだ!」こう本人は熱弁しているが、どうにも説明は要領を得ない、大気の組成が違う等々理由あってのことと思うが魔法を使える世界から来たらしい。


 それ相応の練習を積み重ねた末に獲得した技術だそうで「どうしてだ……」今も手応えの乏しさにガックリしている。



「そういうものだと思っていた、本当なのだ」

「気落ちするな。その姿勢、目の保養になる」



 裸眼に毒を注入したり保養したりしてくる。

 なっ! ……泣きだした。

 反応がよくわかんないな。



「ジンは、優しい男だな?」


「凌辱一歩手前の女騎士が目の前に出てきたら、()()()()と自宅に持ち帰った男、それがオレだ。やましいとか、やらしいとか、そういう類の奴だろう」


「その照れ屋なところだよ」

()()()()と表現してくれ」


「わざと笑わせようとして」

「して……ないからな?!」



 少し顔を上げたので左肩のアーマーがズレた。

 思わず目を逸らす、が見る、逸らして、見た。


 想像していたより撫で肩。

 なにしろ落ちるのだ。 ……ん?




「 即 刻 や め ろ ッ !! ……泣き顔で微笑むな。眩しすぎる」



 まったく、目を離した途端すぐにコレだ。

 これ「じゃ見るな」という話、重々承知。


 しかしこのクッコロ。

 可 愛 い こ と し か し な い っ 。

 見逃すまいと、目を皿のようにしている。




「こんな道具まで。ジンは魔導士なのか?」



 ()()()()()()に疲れるとこれだ。

 タブレット端末を触って大喜びしている。


 だ が 指 摘 す べ き 点 が 多 す ぎ た 。



「さっきから電源ON/OFFしてるだけだろ」

「違うのか?」


「戻ると言って()()()()。戻れないと落胆して電源ON/OFF。そろそろ先へ進め、わきわきにドキドキでオレは一向に構わないが、その動作16周繰り返している。こちらの世界の知識を蓄え、生活基盤を整えなくては、遠からず野垂れ死にする。戻れる保証なんてどこにもない、危機感を持て」


「加えて下着か。これではいけないのか?」

「 見 せ る な ッ !」


「しかし売り場で一緒に確認しただろう?」

「装着すると反応を促進させる触媒になる」


「なるほどな。魔法、マジックアイテムか」

「たぶん。魅了とか?」


「しかしだな?これは貴様が購入したものだ、取り上げられても文句は言えまい。今ここで所有権を主張し()()()()()と言われたなら命令に従うより他はないのだ。なにしろ無一文で帰属先も失った身の上、()()()()()()()()()()()と……」



() ()() () () は 披 露 す る な ! 」


「怒ったのか……?」

「オレにも我慢の限界があると言っている」



 上目遣いで怯える深紅の瞳。

 小刻みに震えている薄い肩。

 懇願するように握り締めた手に筋が浮く。


 右胸のアーマーがズルリと重力でズレた。

 白いレースが目に飛び込む。



 眩 し い ッ !



 ただの化繊のヨレヨレなのに魅了が凄い……


_____________________

▲ 我 慢 の 限 界 ? 今 コ コ で し た !



「 脱ぃ 、 ど れ ぇ …… ほっ、ほ 」

「ぬぃど? ぬぃどとは、なんだ?」




 ん …… が ッ !!




「い゛ ……言い方が悪かった怒ってない」

「今日の発送に間に合わせる、だったな?」

「そうだ」



 慌ててタブレットを起動した。


 そして。


 細い小首を傾げた。

 色の薄い金髪が余韻に揺れる。


 クッコロ・セ・ハズカシーメ・ウケール。

 どした?



「 た だ …… ここの単位がわからんのだ」

「 単 位 …… それを真っ先に言ってくれ」


「ずーっと日本語を話してたから、てっきり」

「人間なのだから、人間語は話せるだろう?」


「これ……異世界じゃ人間語なの?」

「随分丸くて、文字は違うようだが」


「文字が違う、それを一番先に言ってくれ。日本語を話しているのに文字は違う、そういうのアニメで見たことある。あれか……」

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