1/1
プロローグ
最近の天界ではある話題で持ちきりだった。
「おい、聞いたか?なんでも我らが神は現世の人間の魂の濃さについて悔いておられる様だ。」
「ああ、俺も聞いたさ。まさかこんなにも早く枯渇するとはな。現世がこんなにも混沌とするわけだ。奴らの魂の濃度を見てみろよ。もう殆ど残滓くらいしか残ってないぜ。」
「これじゃあいくら生命の実から作られたといっても人間のカルマに対しての抵抗力がほぼ無いのと同じじゃないか。」
「そもそもが人間を生み出す過程に問題があったのだよ。いくら生命の実から神を模して作られたとはいえ子孫を残すたびに魂の濃さが半減するという仕組みは欠陥としか言えないだろう。全知全能の神といえど間違いは起こすというのも新しい発見であり興味をそそられるが・・・」
「人間がここまで増えるとは思っていなかったのだろう。知恵の実を食した人間などすぐに滅びると思われていたからな。」
この様な話が天界の至る所で行われている。
時代は21世紀誰もが夢見た世界とは程遠いが、世界の終わりはその足音を着実に大きくして近づいてきていた。