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強行犯特別捜査班 2  作者: 村雨海香
6/7

イジメ捜査 6

怪我、喧嘩の描写があります。


 次の日、安積は結城と竹内に時間割を渡し、学校に向かった。

 一時間目は槙野と二宮の理科、二時間目は数学、三時間目は体育、四時間目は国語、昼休みを挟み五時間目は安積の社会科の世界史、六時間目はロングホームルームだった。

 竹内と中野はそれを見送ってから事件現場のビルに向かった。犯人は現場に姿を現すことがある。その傾向には二つあり、一つは、事件発生時その場に紛れている事、もう一つは警察官がいなくなってから現れる傾向だ。

 竹内永尾が事件現場のビルを見上げると、黄色いテープが揺れていた。まだ解決してない事があり、規制されている。ビルの階段を登っていると、頬に風を感じた。永尾は竹内をほって階段を駆け上がった。屋上につながるドアは少し開いていた。永尾がそのドアを勢いよく開けると、そこには一人の少年がいた。

「貴方、そこで何しているの。ここは立入禁止よ。」

 少年は驚き肩を揺らした。その瞬間屋上の柵に手を掛けた。

「くく、来るな。来たら俺はこっから飛び降りるぞ。」

「落ち着いて、私は警視庁ーー署の永尾です。貴方ここであった事件の何か知っているの。」

「知らない。イチカの事なんて。」

 竹内が階段を上がってきて、膝に手を付いていたが直ぐに会話に入った。

「もしかして君、野村君。イチカさんのこと何か知ってるの。」

「どうして俺の名前を。俺は何も知らない、俺は何にも・・・、」

 永尾は目が泳いだのを見過ごさなかった。一瞬にして野村を柵から引き離した。

「続きは署でゆっくり聞かせてもらうは。」


 少々手荒な真似だが、話しは聞けた

 野村智也ーー高校二年並木イチカと同じクラス。父は「野村心療内科」の院長、母親とは離婚し父子家庭だ。

「貴方とイチカさんの関係は。」

 野村は黙秘した。

「貴方まさかイチカさんを殺したんじゃ無いでしょうね。」

 また黙秘だ。今は取り調べではなく、ただ話しを聞いているだけだが、何にも答えないため取り調べのような事になってる。竹内は黙って横に座っているが、永尾の圧に小さくなっていた。竹内は席を外し、槙野のスマホに留守番電話を入れた。


 安積と槙野は、学校に付くとまず職員室に行き職員会議に参加した。その内容は槙野が朝のショートホームルームでクラス全員に話した。その流れで授業に流れ込んだ。

 槙野は授業を進めながら余談も挟んで楽しそうな授業をした。

「私ね昔イジメを受けていたの。少し前に起きた事件知ってるかな。あのビルから転落した女の子の事件。私の友達がね、その事件の担当に当たってて、いろいろ聞かれるのよね。たまたま私が、その亡くなった女の子と同じ学校に教育実習で来てるから。」

 黒木は淡々とその話をした。

「まさか、このクラスで起きたんんじゃなよね。なんて、みんな仲良さそうだし、そんなわけないよね。」

 槙野は笑って言ったが、その目の奥は笑っていなかった。この言葉が大きな事件の引き金になるとはこの時誰も予想しなかった。


 安積は職員室で社会科の勝山先生と授業の準備をしていた。何だか嫌な胸騒ぎがした。

「安積先生、大丈夫ですか。胸が痛むのですか。」

 安積は無意識のうちに胸を握っていた。心配ごとがあると胸を握る癖があるのだ。

「いえ、大丈夫です。うまく授業を進めれるか心配で。」

「そうですか、でも大丈夫です。安積先生ならきっと成功します。」

「えっ・・・・。」

「私のお兄さんが一度お世話になった事があるんです。そのとき安積さんが私の兄を助けたんです。」

 安積はなんとなくでしか思い出せなかったため、そうですかと、曖昧に答えた。

「あっ、それと安積先生二年四組は注意ですよ。」

「どういう事ですか。」

「四組はね、手段を選ばないのよ。自分に制御できなくて勝手な行動をとる、授業中喋ってばっかり、時には授業中にスマホ触っているのよ。だから、金曜日の四組は特に注意よ。」

「わかりました。ありがとうございます。」

「四組の担任の先生知ってる。」

「二宮真理先生ですよね。知っています。」

「貴方達の同業者って事も。」

「はい、警視庁捜査二課課長二宮ハルトですよね。私の部下が覚えていて調べました。」

「そうなのよ、しかもあの先生産休で休んでる先生の代わりに入った先生だから、クラスの空気を知らないのよ。並木さんが何で転校してきたのかを。」

 安積は正直驚いた。この話どこかで聞いた覚えがあったから。須田の話しだった。

「何で転校してきたのですか。」

「あの子ね前の学校でもイジメを受けていたみたいなの。学校に入った時には親の転勤が理由って言ったんだけど、私と話しているうちにそのことを教えてくれたの。」

 安積は少し頭が下がってしまった。イジメが原因で転校してきたのに、またイジメられる。こんなつらいことはない。

「だから安積さん、お願いします。彼女を助けて下さい。」

「大丈夫です。犯人の目処は付いているので、逮捕も時間の問題となっています。」

 そう言って授業の内容の段取りを始めた。


 授業が進み四時間目になった。槙野は生徒や先生の居ない中庭に安積と集合した。安積は少し遅れると聞いたため、先に中庭に来た。竹内からの留守番電話を二人で聞こうとしているのだ。四組の授業は国語だが、今日は先生が出張で居ないため自習となっている。槙野は先生に十分時間をもらい安積と会うことにしていた。今四組には誰も居ない。

 槙野が立っているのは四組の教室の真下だった。槙野がスマホを開いたそのときだった。硝子が割れる音がした。槙野が上を見上げると三階から硝子と小石の雨が降ってきた。全てがスローモーションに見え槙野は硝子と小石の雨を浴びた。

「キャー。」

 その悲鳴は近くに来ていた安積に聞こえた。安積は急いで槙野の元に向かった。そこには地面に倒れて血を流し、身体中赤くなった槙野が倒れていた

「ヒロ、しっかりして。ヒロ、ヒロ。」

 槙野はうっすらと目を開けて言った。

「ス・・・マホに、竹内さんの・・・留守番電・・・話があり・・・。」

 そこで終わってしまった。安積は急いで校長に連絡し、全員を体育館に集合するようお願いした。

「校長先生、大変です。何者かにヒロが襲われて、大怪我を負ったんです。救急車と警察の要請をお願いします。とりあえず私はヒロを正門まで運びます。」

 安積は気が動転していた。こんな時自分が先生ではなく、刑事として動けたらどれだけよかっただろうか。


 生徒は体育館に荷物を持って集合し、そこで解散となった。本来ある土曜日の午前中授業も無くなり、校舎立入禁止となり警察が立ち並んだ。


 安積は槙野の付き添いで病院に来ていた。槙野は直ぐに手術室に運ばれ、硝子を抜き結合を行った。小さな破片も一つ残らず取り除いた。小さな破片が時には命を落とす事がある。手術が終わるとICUに運ばれた。かなりの大怪我だったためまだ油断できない状態だった。硝子越しに槙野の様子を見ていると、班員が駆けつけた。

「ハンチョウ、ヒーちゃんはどうなんですか。」

 竹内が言った。しかし安積は槙野を見たまま何も答えず、そのうち離れて行ってしまった。

「・・・・私がもっと早く行っていれば、ヒロはこんなことにならなかった。許さない。学生だろうと許さない。」

 安積の怒りは溢れていた。力強く拳をつくり近くにあった壁を叩いた。結城はその様子を見て黙っていなかった。安積の胸ぐらを取り強く揺すった。

「何で貴方はいつも一人で抱え込むのですか。貴方は今、捜査方針を失っています。もうこの捜査から降りて下さい。貴方が居なくなっては困るんです。」

「私は辞職覚悟で生徒の逮捕に乗り切るは。鑑識も総動員させてあいつらを痛め付けてあげる。」

 結城は安積の頬を叩いた。

「今の貴方は安積係長ではありません。この捜査私たちに譲って下さい。」

 安積は堪えられなかった。今度は結城の胸ぐらを取り壁に打ち付けた。

「何度も言わすんじゃ無いわよ。良い、今からはイジメの捜査じゃない、槙野ヒロキ殺人未遂事件の捜査に変更するのよ。私はこれから反乱を起こすの、誰も止めないで。わかったならさっさと帰ってよ。」

 安積は結城を突き放し、廊下を走って行ってしまった。 


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