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桜の季節に君を想う  作者: シズマ
桜の季節に君を想う ~2月26日~
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疑問と疑念#03

 「…休憩しようか?」


「それは助かる」


 疑問に蓋をして、休憩のできる場所を探す。


 近場の公園。


 街中にひっそりと存在する公園。


 言うならば、砂漠のオアシスみたいなものだ。


 休憩を取る人は、少なからずこの公園を利用する。


 適当に、公園の中のベンチに腰を下ろす。


「疲れた…」


 大きなため息をつく。


「情けないよね。しっかり体鍛えてるの?」


「荷物持ちをしてみたら、分かるんじゃないか?」


「嫌」


 芳野はそういうと、ゆっくりと立ち上がる。


 そしてそのまま何処かへ、歩き始める。


「おい。何処に行くんだ?」


「あんたは待ってなさい」


「そりゃ、喜んで待つさ」


 何処へ行くのか分からないが、小さくなっていく姿を見守る。


 待っていていいということであれば、無駄な体力は使わない。


 ゆったりと体を休めるに限る。


 一切間違っていない行動である。


「それにしても、何なんだ?」


 見た夢と先ほどのことをまだ、払いきれていなかった。


 気のせいだと思っていても、つい夢の事とさっきの事を考えてしまう。


 偶然にしては出来すぎてる。


「聞き間違え…」


 一度はたどり着いた答えに再びたどり着く。


 だがよくよく考えなおしてみれば街は店内放送や、音楽が流れていたりと雑音に溢れていた。


 その中で聞き間違い。


 ありえるのだろうか?


「桜が… 桜庭? 桜坂? 咲いたら… さいなら?」


 聞き間違えそうな言葉を、口に発してみる。


 桜庭、さいなら。


 意味は分からないが、絶対に間違っていることだけはわかる。


「なに一人で言ってるの?」


「ん? あぁ、おかえり」


「ただいま」


 気付けば芳野が戻ってきていた。


 全く気付かなかった。


 いや、気付こうとしていなかったのかもしれない。


 何処か心の底で、そう考えている自分がいるのだろう。

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