疑問と疑念#03
「…休憩しようか?」
「それは助かる」
疑問に蓋をして、休憩のできる場所を探す。
近場の公園。
街中にひっそりと存在する公園。
言うならば、砂漠のオアシスみたいなものだ。
休憩を取る人は、少なからずこの公園を利用する。
適当に、公園の中のベンチに腰を下ろす。
「疲れた…」
大きなため息をつく。
「情けないよね。しっかり体鍛えてるの?」
「荷物持ちをしてみたら、分かるんじゃないか?」
「嫌」
芳野はそういうと、ゆっくりと立ち上がる。
そしてそのまま何処かへ、歩き始める。
「おい。何処に行くんだ?」
「あんたは待ってなさい」
「そりゃ、喜んで待つさ」
何処へ行くのか分からないが、小さくなっていく姿を見守る。
待っていていいということであれば、無駄な体力は使わない。
ゆったりと体を休めるに限る。
一切間違っていない行動である。
「それにしても、何なんだ?」
見た夢と先ほどのことをまだ、払いきれていなかった。
気のせいだと思っていても、つい夢の事とさっきの事を考えてしまう。
偶然にしては出来すぎてる。
「聞き間違え…」
一度はたどり着いた答えに再びたどり着く。
だがよくよく考えなおしてみれば街は店内放送や、音楽が流れていたりと雑音に溢れていた。
その中で聞き間違い。
ありえるのだろうか?
「桜が… 桜庭? 桜坂? 咲いたら… さいなら?」
聞き間違えそうな言葉を、口に発してみる。
桜庭、さいなら。
意味は分からないが、絶対に間違っていることだけはわかる。
「なに一人で言ってるの?」
「ん? あぁ、おかえり」
「ただいま」
気付けば芳野が戻ってきていた。
全く気付かなかった。
いや、気付こうとしていなかったのかもしれない。
何処か心の底で、そう考えている自分がいるのだろう。




