疑問と疑念#02
「ん~、少し休憩する?」
「…頼む」
質問に対しての正しい回答ではなかったが、暗に伝えたいことは理解した。。
休憩をしたら再開するのだろう。
いくら体力があったとしても、この状態じゃ長くは持たない。
近場の喫茶店で少し休憩をとったものの、時間が惜しいという理由ですぐに再開された。
先ほどと変わらず、次々と品物が追加されていく。
すでに腕は限界を迎え、歩くのですら精一杯だ。
両手に沢山荷物を持ち続けている所為か、腕に力が入らなくなってきている。
このままでは、荷物を落としかねない。
「ほら、頑張れ~」
「お前も少しぐらい持ったらどうだ?」
「女の子に重たい荷物を持たせないの」
「わがままいうなよ、だいたい…」
喋り終わる前に聞き覚えのある声が聞こえた。
「桜が咲いたらお別れ…」
咄嗟に声のしたほうを振り返る。
しかし、そこには誰もいない。
いや、人混みで見つけることが出来ない。
「どうしたの?」
「…いや」
過ぎ去る人を眺める。
確かにあの言葉は、夢で聞いた言葉と同じ。
何故?
「なんでもない」
「…変なの」
夢と関係があるのか。
それとも何かの言葉と聞き間違えたのか。
もし聞き間違えでないのであれば、どうして言葉を伝えてくるのか。
桜が咲いたらお別れ。
一体どういう意味があるというのか。
様々な思考を巡らせる。
「…偶然、だよな?」
一言小さく零す。
深く考える事はない。
偶然。
ただそれだけのこと。
たまたま同じ言葉を聞いただけ。
または、聞き間違え。




