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桜の季節に君を想う  作者: シズマ
桜の季節に君を想う ~3月5日~
25/29

見なかった夢

「今日か…」


 いつもと変わらない時間に目を覚ます。


 夢は見なかった。


 昨日と今日。


「ん? メールか?」


 不意に携帯電話に目をやる。


 携帯電話には何かの履歴が残っている。


 携帯電話ロックを解き確認をする。


「亜子から…。」


 携帯電話の画面にはメールのお知らせ。


 送り主は芳野。


「あいつはまだ、俺の事を覚えているんだな」


 存在がなくなる。


 それはつまり、記憶から消される。


 知っている人が知らない人になる。


「え~と」


 携帯電話の画面には『今日の夕方、学校の屋上に来て』の文字。


「夕方か」


 河野は夕方まで、存在が維持できるか分からない。


 もしかしたら、もうすぐ消えるかもしれない。


 返信をする。


 夕方まで、河野隆之として存在できるか。


 それでも約束をする。


「それじゃ、何処で時間を潰すかな?」


 朝食を済ます。


 テレビをつけて朝の特番を見る。


 特に面白くはなかった。


 そうして過ごしているうちに、昼を過ぎた。


 どうやら、存在もまだ維持できている。


 時々、体が透けているような感じがするけど、問題はないだろう。


 存在が消えるということは、死とは違うのだろう。


「何でこんなに落ち着いているのだろうか?」


 現実ではありえないことだ。


 それなのに、落ち着いている。


 前から分かっていたような。


 そんな感じ。


「不思議な感じだ」


 そんなことを考えながら、家を後にする。


 待ち合わせまではまだ時間がある。


 しばらく外で時間を潰す。


 街、公園、川。


 今まで行ったことのある場所を回る。


 それは創られた過去の記憶だとしても、懐かしいものがある。


 不思議なものだ。

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