それぞれの変化#03
「亜子は何処だ?」
「亜子? …あぁ、芳野か」
「そうだよ」
「芳野ならまだ来てないぞ」
「来てない?」
おかしい。
河野より先に向かったはずだ。
学校で用があると言っていた。
なのに来ていない。
「そうか」
「あぁ」
「ありがとさん」
「礼には及ばん」
河野は木之本から離れる。
席に戻り椅子に手を掛けた時、河野は抱いた疑問を口に出していた。
それは木之本へ向けた疑問。
「なぁ?」
「ん? 俺か?」
「そうだよ」
「どうした?」
「今日のお前なんか変だぞ」
それだけを伝え椅子に腰を掛ける。
授業が始まるまで、ボーっとする。
今日は静かだ。
いつものように、芳野が話しかけてこないから。
皆の話す声が聞こえる。
「あの人って誰?」
「さぁ?」
何の話をしているのだろか?
詳しい内容は聞こえないため分からない。
でも関係のないこと。
しばらくすると授業が始まる。
しかし、芳野は学校に顔を出していない。
「あいつなにしてんだ」
授業が始まり、だいたい20分経っただろうか?
その時、教室のドアが開き芳野が入ってきた。
「遅れました」
その一言だけ発して席に座る。
河野の視界に入らないように、一番後ろの席へ。
まるですぐに逃げることが出来るように。
あえて一番後ろへ。
「変だよな…」
授業を全て済まし。
今日は学校が終わった。
河野は芳野のところへ向かう。




