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それぞれの変化#02
「元気ないな」
「え? そ、そうかな?」
「……」
あからさまに誤魔化す。
下手な嘘。
何か隠し事をしている。
「なにか…」
「あ! ごめん!」
「え?」
会話を遮るように大きな声を出す。
会話を拒む。
これ以上は話せない、そんな思いを感じる。
「私学校でしないといけないことがあったんだ!」
「お、おい!」
「じゃ、じゃあね」
芳野はそう言って走り出す。
河野の止める言葉も聞かず。
ただ避けるように。
逃げるように。
その場から急いで、走り出す。
「どうしたんだよ」
芳野のあとを追うように、ゆっくりと歩く。
その足取りは少し重い。
「おはよう」
教室に入り挨拶をする。
しかし返事が返ってこない。
「?」
河野は首を傾げる。
適当に席に座る。
そして、先に学校に来ている木之本に話しかける。
「よお」
「ん? あぁ…」
木之本も様子がおかしい。
今朝の芳野と同じ感じだ。




