木之下 光#02
「それは確かに、俺が邪魔をするのはいけないな」
「理解したか?」
「夫婦だけの会話だ、仕方ないだろう」
「そろそろ、ツッコミしたほうがいいのかな?」
「出来るなら、そうしてくれ」
「だな」
この会話も朝の光景としては見慣れたものだ。
「っで、何かあるのか?」
「よくぞ聞いてくれた」
「あ、悪い」
「聞かないことにしとくね」
木之本の話はろくな事がない。
特に自信をもって話すときはたいてい面白くない。
これまでも何度か話を聞いたが、そのすべてが面白くもない話だった。
聞くだけ損。
時間の無駄だ。
「実はな」
「結局喋るのかよ」
「まぁ、わかっていたけどね」
木之本は、自分が面白いと思ったことを話す。
そういう性格の持ち主だ。
同じ価値観を共有したいのだろう。
二人は静かに耳を傾ける。
どうせ話はほとんど受け流す方向性だが。
「この前、不思議な少女とあったのだ」
「!?」
「少女? 光ってロリコン?」
俺は少女という言葉に反応してしまった。
ただ二人にはバレてはいないようだ。
夢の中で出てきた少女。
もしかしたら…。
そんな期待を寄せる。
「俺はロリコンではない。むしろ、興味を示した河野が怪しい。」
「隆之…まさか…。」
バレていたようだ。
河野は必死に弁解をしようとするが、逆に怪しさが際立つ。
「まぁ、そんなことはどうでもいい」




