日常#02
「会いたいよ…」
女性が誰かの名前を発した。
しかし、聞き取る事が出来ない。
「もう時間」
「……」
少女が河野のほうを振り向く。
そして、微笑む。
昨日と同じ様に。
「…っ!」
何故だろう?
言葉を発することが出来ない。
少女の名前。
ただそれが聞きたい。
その為に、必死に口を動かす。
でも、言葉が出ない。
「名前が知りたいの?」
「……」
河野は、少女の問いかけに対し頷く。
昨日聞くことが出来なかった。
「昨日も教えたのに。」
「……」
昨日は聞き取れなかった。
そう言いたい。
でも…。
「今回は時間がないの。また今度」
「!!」
待ってくれ。
その言葉すらも発せない。
「ばいばい」
少女は昨日と同じように光に包まれて消えていく。
それと同時に、もう一人の女性も。
きっと夢から覚めるのだろう。
河野はそう思う。
「…朝」
昨日と変わらず、小鳥が囀る。
外は晴れている。
太陽の日差しが、窓から差し込んでいる。
だけど、気温は低い。
「……」
昨日と今日で、同じ夢。
それも、内容はしっかりと覚えている。
明白に、現実世界で起きた出来事のように。
「…学校か」
今日は学校。
休みは昨日で終わった。
「準備をしよう」
重たい体を起こし。
顔を洗う。
そのあとに朝食。
なんだ変わりのない毎日。
いつもしている事をする。
学校の準備も整い。
家を後にする。




