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小話  作者: 周 新
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女の子と男の人

とりあえず、読んでみよう。


 皆さんこんにちは。私の名前は春香といいます。今の季節の漢字が使われている、可憐で愛らしい私に相応しい名前ですよね。ちなみに名字は知らなくて結構です。だって私は目の前で洗濯物を畳んでいる夏彦さんと同じ「深瀬」という名字になるので! えへへ。

 この人の家で生活し始めて早二ヶ月。こんな美少女に手を出してこないのには驚きましたが、まだまだ先は長いので焦る必要は全然無かったのでした。これから家事掃除洗濯全てをこなしていけばいずれは……ふふっ。まぁ今は夏彦さんの姿をこの目に焼き付けておくので精一杯な私なので、これ以上の関係になるには時期尚早です。

 というわけで、現在、扉の隙間からリビングをこっそり覗いている訳なのですが、今日はまさに「春うらら」っていう天気だったので、夏彦さんは普段よりも多くの洗濯物を干していたんです。そして、今。その量の多さにうんざりしながら畳んでいるという……。自分で干したのに、ですよ? すっごく可愛くないですか!? 尊いですよね~!

 おっと、私が少し目を離している間に夏彦さんがカレンダーを見てますね。……最近よく見てるんですよね。大きく丸までして一体何の日なんでしょうか? まぁ私の11歳の誕生日なんですけどね! それにしても、こんなに気にしてもらえるなんて私幸せ! あと一週間が待ちきれないですね!

 そうこうしている間に、洗濯物もあと数着になりましたね。ここで私のグレイトな作戦が火を吹きます! まず、勢いよく扉を開いて名前を満面の笑みで呼ぶ!


「なーつひーこさーーーん!」


 ばっと顔を上げた夏彦さんが「どうしたんだい?」と何故か怯え交じりの瞳で見てきますが、そこは無視します。夏彦さんの元まで走っていくと、背中に回り込んで思いっきりダイブ! その衝撃に夏彦さんの口からうめき声が漏れたような気もしますが、そこも無視します。三十二歳六ヶ月十二日の大人な夏彦さんなら耐えれるはずですし!

 私に離れる意思がないと察した夏彦さんはそのまま洗濯物を畳み続けていますね。流石私の将来の夫です。え? 私が邪魔? やだな~、そんな訳ないですよ~。

 そして私はいつもの日課……背中に耳を押しあてながら、夏彦さんの心音を聞きます。うん、この心地良いリズム。私の一番安心する瞬間なのです。………はぁ、夏彦さん、今日も生きてる……。


「夏彦さん、大好きだよ」


 私は耳元で囁く。抱き付いてるから私の逸る心音も伝わっているんだろうな……。えへへ、夏彦さんの心音も早くなってるし、なんだか嬉しいですね。


「…………あ、ありがとう……」


 少しの沈黙の後、夏彦さんが私の頭を撫でてそう言ってくれました……。こ、これは……なんだか照れてしまいますね……。は、恥ずかしいので早く退散するに限ります!

 緩んだ口元が隠せているか分からないけど、とりあえず廊下に向けてダッシュ! あ、もちろん扉を閉める前に夏彦さんを見ることも忘れませんよ? 扉が閉まる直前、再びカレンダーを見て息を吐いている姿を垣間見て、私は自然と笑みを溢しました。まる。


疑問に思った方、不思議に思った方、気にかかった方、特に何も思わなかった方…。


細かい設定は次話を読んでくれると分かります!

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