58話
‘あぁ、まさかここまで一人で来るようなみょうちくりんで可哀想な奴がいるとは到底思えないが、一応、念のため、万が一に備えて……まぁ本当に保険のために言っておこう。
ようこそぼっち!そしてさようならぼっち!’
うるせぇーーーーーー!
ぼっちぼっちうるせぇ!
自分で言うならまだしも他人(というか他石版?)から言われると無償に腹が立つ。
というか散々な言われようだ。
みょうちくりんなんて初めて聞いたぞ。
どんな意味だ?
くっ、検索ができない!
でもなんか馬鹿にされてるような気がする。
その後に可哀想とか書いてあるし。
煽ってるな。
こいつ絶対煽ってる。
ふと、前に『はずれ』や『ないよー!』と書かれた紙を見つけたことを思い出した。
キサマカァ!キサマがあの紙を置いてたのかァ!
石版がどうやって動くのかとかそもそも石版が紙を置くってどういう事だよとかそんな疑問はまったく頭になく、思わず石版にドロップキックをくらわす。
グアッ。
なんて頑丈な石版なんだ。
びくともしない。
むしろこっちが痛い。
というか石版にあたっても仕方がない。
まぁすでに八つ当たりした後に思うことでもないんだけど。
なんだか石版って言葉がゲシュタルト崩壊しそうだ。
ゲシュタルト崩壊ってなんだか使ってみたくなるよね。
というかこの“さようなら”ってどういうことだ?まさか僕をここで消すつもりか?
そういう意味でのさようならなのか?
それとも地上に帰れるってことなのか?
ふむ……
少しずつ冷静さを取り戻したか、取り戻してないか、はたまた最初から冷静じゃないのか微妙なところだけれど、そのまま続きを読む。




