54話
一回休み、それは普通のすごろくであればプレイヤー同士の差を広げることのできる面白いギミックになっただろう。
しかし1人すごろくでは違う。
一回休みとか言われても自分しかいないから困る。
1人でコマを2つ動かしていたなら大丈夫。
では今の状況を確認しよう。
プレイヤーというかむしろコマは僕。
多分1人。
今いるマスは『一回休み』と書かれたマス。
はい詰んだー。
こういう時、一回ってなんだろう。
くっ、今までサイコロを1人で振りまくったツケがきたか。
という茶番は置いといて。
とりあえずサイコロを振ってみる。
無理だ。
振れさえしない。
なぜか手からサイコロが離れない。
もちろん進めもしない。
どうしよう。
悩みながら同じところをグルグル回る。
僕は考えごとをするときはグルグル回ってしまうらしい。
言われるまで気付かなかった。
無意識。
僕の癖その2だ。
その1は消しかすをはらってしまうこと。
前に痛い目にあったやつ。
そうしていると、目が回る。
あたり前田のクラッカー。
ふらふらとよろけて尻餅をつく。
するとサイコロは手から離れて転がった。
……え?
サイコロの目を見る。
3。
あほにはならない。
と、つい馬鹿げた事をかんがえてしまう。
驚きながらも立ち上がって、サイコロを掴み、ふらふらと進む。
1、2、3
進めた!
でもなんで?
もう、‘一回’っていうのが過ぎたのかな?
時間?
う〜ん分からない。
まぁとりあえず進めたからいいか。
そう一安心して下を向く。
そこにはまさかまさか
またもや『一回休む』の文字が。




