1話
「ここはどこだろう?」
真っ先に出た言葉はそれだった。
たしかにさっきまで普通にゲームをしていたはずだ。
まぁ始めたばかりでよく分からなかったけど。
とにかくここがどこだか分からないけど、家ではないみたいだ。
だって目の前に森があるしね。
パニックになりそうだけど、
なんかもう、二、三周回って逆に落ち着いてしまったような感じがする。
というか兄はどこに行ったんだろう。
ここにはいないのかな。
周りを見ても誰もいない。
本当は兄もいた方が安心できるけど、深く考えても仕方ないのでとりあえず置いておくことにした。
「え〜と、これからどうしようかな」
そう誰かに言うように呟いた。
誰もいないのに。
ここにいても仕方ないので、周りを調べてみようと思ったその時、
いきなり何かの叫び声が響いた。
驚いて上を向くとそこにはドラゴンがいた。
ドラゴンかどうかは分からないけど、
大きな翼に長い尻尾、4本の足に硬そうな赤い鱗、黄色い目に鋭い牙、それに火をふいている。
前に本で見たドラゴンそっくりだ。
なぜかこっちに向かってくる。
ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ
逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ
恐怖で震える体をなんとか動かして目の前の森へ走る
走る走る走る走る走る走る走る
さっきドラゴンが火をふくのを見た。
あんなのをくらったら僕なんてひとたまりもないぞ。
焦りと恐怖で無我夢中で走っていた。