プロローグ
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ひどい雨の日だった
空はなぜか赤黒っぽい雲で覆われ、まるでバケツをひっくり返したかのような雨、大きな雷まで鳴っている。
台風が近づいているわけでもないのにこの天気。
風が強いわけでもなく、ひたすらに雨と雷。
珍しい。
梅雨でもないのに。
さっき、急に空が暗くなった。
ちょっと前まではあんなに晴れていたのに。
天気予報でも別に何も言ってなかったんだけど。
不思議と警報も出てないみたいだ。
実際にテレビではいつも通りのお昼のニュースがいつも通りやっている。
ただの通り雨かもしれない。
それでも、どこまでも広がる青空を全て覆ってしまうんじゃないかと思うほど、
まるで誰かが雲を呼んだんじゃないかと思うほど、
急に今までにないくらい大荒れの天気。
こんな日に外出する奴なんていないだろう。
ということで暇だった。
とにかく暇だった。
幸い、今のところ何の被害もない。
停電もしていない。
念の為に非常食なんかを確認しておこうと思った。
確認し終わってから、何をしようかと悩んでいると、
外に行けないから、兄がゲームを教えてくれると言った。
そういえば僕はまだゲームで遊んだことがなかった。
これまではあまりゲームに興味がなかったんだ。
僕は漫画とかテレビとかが主だった。
兄はもっぱらゲームだった。
僕の兄はゲームがめちゃくちゃうまいらしい。
どっかの大会で優勝したこともあるらしく、
副賞として貰ったメガネを今も愛用している。
なんでもゲームのオリジナルデザインのメガネらしい。
いいなぁ。
まぁ僕はメガネをかけてないんだけど。
でもオリジナルとかって響きがいいよね。
そんな兄を見て、僕もゲームをやってみたいと思ったから、
前にゲームを教えてもらう約束をしていたっけ。
まさかこんな時にとは思わなかったけど。
それでも僕は初めてするゲームが楽しみだった。
そんなある日のこと、僕は文字通り、ゲームの世界に来た。




