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私のわがままな自己主張2(プロット)  作者: とみQ
第6章 恋をしたという気持ち
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2人でご飯はデートじゃない2

「で?どこ行くの?」


電話でご飯を奢ってくれると言っていたし、ここは工藤くんにお任せすることにした。


「あー。牛藤の近くにあるバイキングの店。食べ放題でけっこううまいし、色々食えるからな。」


「あー。あのバイオウって店ね!あーいう店、女の子だけじゃあんまり行かないから、一度言ってみたかったんだ!」


可愛らしさとか女の子らしさとは無縁だから、男子学生や家族向けのお店なのだ。私の場合家族と言ってもお母さんと2人になるからどちらも当てはまらない。


「え?バイオウ?あれってバイキングって読むんだろ?」


「は?それだとそのまんまじゃない。」


看板は漢字で『倍王』と書かれているからバイキングと掛けてバイオウだと思っていたのに、工藤くんはそんなことを言う。


「いや、別にそのままでいいだろ。バイオウとかダサくねーか?深読みしすぎだっての。」


「悪かったわね。素直じゃなくて。それでバイオウだったらどうするのよ?」


「どうもこうもバイキングだって、だってこの前店員が言ってたもんよ。」


「この前行ったとこなんだ?」


私は反射的に聞き返してしまったけれど、この前誰かと行ったとなれば、大体察しがついてしまった。

それと同時に私の胸に何とも言えないもやっとした気持ちが去来する。


「え!?あ、あー。まあ、近所なんだから行くだろーがよ。」


工藤くんの態度を見ればわかってしまう。芽以さんだ。

でも別にそんなに焦らなくてもいいことなんだけど。

それにわざわざ隠さなくっても。

更に胸のもやもやが広がっていく。


「あっそ。」


私は話を切り上げて、目の前に見えてきたバイオウ、もといバイキングへと歩を早めるのだった。


別に、どっちだっていい。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


「いらっしゃいませ。バイキングへようこそ。2名様ですね?どうぞ。」


工藤くんが私の方をニヤニヤした目で見ている。

なんか腹立つ。

私は涼しい顔で無視をすることにした。

「ご新規様2名様ご案内でーす!」と言う店員についていって、案内されたテーブル席に座る。

後ろで「おいっ!ちょっ・・・。」という声が聞こえたけれど、それも聞こえないフリをした。


「へー。けっこう料理多いんだね。」


私はここへ来るまでの間に並んでいる料理を少し確認できたのだけれど、その種類の多さに驚いていた。

和洋中でそれぞれ料理が10種類ずつくらいあって、更に野菜や果物、ドリンクバー、デザートも和洋中合わせて10種類くらいある。ご飯は白米と五穀米、パンは5種類ほど。

とてもじゃないけど初回で全制覇は出来そうにない。


「うしっ!じゃあ取りにいこーぜ!今日も全制覇だっ!」


「バカなのっ!?」


私の心の声を聞いていたかのように工藤くんが全制覇宣言をする。

工藤くんは試合の後ということもあってか食べまくる気満々といった風だ。

高校生の食欲は本当に信じられない。

私も高校生ではあるけれど。

工藤くんは私の声はスルーして、づかづかと料理が並ぶ場所へと行ってしまった。さっきのスルーのお返しだろうか。


「ちょっ、ちょっと!待ちなさいよ!」


私は工藤くんについていこうとしたけれど、先日牛藤であった出来事を思い出して、工藤くんが戻るのを待っていることにした。

荷物番だ。

全く、レディーファーストもへったくれもないんだから。


「おい。何やってんだ?早く取りにいこーぜ。」


しばらくして、2つのお皿にチャーハンと麻婆豆腐、回鍋肉、唐揚げを山盛りに乗せた工藤くんが帰って来た。


「いや、荷物ほったらかしはどうかと思って。」


「あ?椎名ってそんなこと気にするようなやつだっけ?」


私の何を知ってるのかとも思ったけれど、あながち間違ってはいない。

そもそもそんなの気にする性格ではない。

だけど流石にこのタイミングでは気にしてしまう。


私の心境を知ってか知らずか、工藤くんは椅子に座って唐揚げを頬張る。


「ま、いーや。じゃあ取りに行ってこいよ。オススメは中華だからな。ここ、前は中華の店だったんだ。数年前に改装して今の形になったんだよ。」


「ふーん。そうなんだ。サンキュー。」


そうしてようやく、私は席を立って食事を取りに行ったのだった。





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