表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私のわがままな自己主張2(プロット)  作者: とみQ
第1章 椎名、バイト始めました!
5/58

初出勤1

8月12日


いよいよ初出勤。


私は気合いをいれて事務所に入った。


「おはようございます!」


一応昨日言われた通り、出勤の15分前に来たんだけど、おそらくほとんど皆揃っていた。


「ちーす!」

「おはよう。」

「おおっ。来たな。」


口々に皆挨拶してくれる。

陽子さんが私の所に来た。


「おはよう!めぐみちゃん!今日も元気がいいね!」


「はい!陽子さん、新ためてこれからよろしくお願いします!」


「ああ。期待してるよ。とりあえず今日は淳也と一緒に仕事してもらうから、色々聞いとくれ。あ、あと先にこれに着替えてくれるかい?おい!バカ息子がっ!ボケッとしてんじゃないよ!昨日明日は一緒に仕事を教えるよう言っといたろ!?早くこっちへ来なっ!」


陽子さんは相変わらずパワフルだ。私は仕事着を受け取ると、同時に工藤くんが慌ててこっちへやって来る。


「ちょっ!わーってるよ!」


「よっ!ぼっちゃん!仕事中にイチャイチャしないでくださいよ!俺らのテンション下がりますから!」


昨日もいたけれど、妙に合点系の人だ。


「だから健!やめてくれって!やりづれーっての!」


「そーですよ?私たち、本当に!ただの友達なんで。」


私はにっこりと完全否定した。こういうのは最初が肝心だもの。


「お・・・なんか・・・まあいーや。あ、こいつは吉田健ってんだ。厨房とフロアどっちもやってる。」


工藤くんはちょっとテンションを下げながらも紹介してくれた。


「あ、すいやせん。お嬢。申し遅れました!あっしぁ吉田健と申しますぁ!けんとお呼びくだせぇ!」


「は・・・はあ。けんさん。」


お嬢って。堅木の人じゃあるまいし?


「ぐふあぁっ!!・・・い、・・・いい。けんさん・・・新鮮ですぁ。ごちそうさんでごぜぇやす!」


・・・あんまり女の子慣れしてないんだろうか。

すごいキャラだけど、いい人そうだ。

いや、いい人そうだけど、すごいキャラかな?


「おい。椎名あともう一人先に紹介しとくわ。」


「あ、うん。」


そう言ってホールまでついていくと、綺麗な女の人がいた。


「十花さん。」


「あ。淳也くん。おはよう。せっかくのお休みなのにかり出されて大変ね。あ、こちらは昨日の彼女さんね?」


ウェーブのかかった長い髪。長い睫毛に端整な顔だち。上品さを漂わせるたたずまいや仕草は私とは真逆に位置している。プロポーション的なことはエプロンでよくわからないけれど、女性らしさを絵に書いたような人だ。


「お、おはようございます!あの、工藤くんの友達の!椎名めぐみです!今日からよろしくお願いします!」


なんだか一気に緊張してしまったけれど、私は友達をしっかりと協調して、工藤くんの横からずいっと前に出て挨拶をした。なぜ皆して彼女呼ばわりするのだろう。

あんまり否定しすぎるのもかえってアピールしているみたいだし。

かといってそんなポジションに収まるのも微妙だし。

まいっちゃうな。


「めぐみちゃん?可愛らしいお名前ね?私は五百蔵十花よ。五百の蔵に十の花と書いていよろいとおかです。よろしくね。」


私の思考を中断して、十花さんは女神のような微笑みと共に手を差し出してきた。


大人だなあー。きれー!こんな人いるんだー!!

一瞬緊張してしまったけれど、この人の人柄だろうか。次の瞬間には物凄く好きになってしまった。男だったら押し倒したい!


「十花さん!好き!というか、名前も素敵!」


私は思わず初対面なのに抱きついてしまった。


くふっ!やっぱり柔らかい!そしていい匂い!って私はおやじかっ!


「あらあら。やんちゃさんなのね。」


こんなことをしても優しく頭をよしよしされた。


くはっ!・・・女神すぎるっ!


・・・。


この辺にしておこう。私って欲求不満なのかな。


「あ、じゃあ十花さん、また。行くわよ!工藤くん!」


十花さんに手を振って、何だか頬が赤い工藤くんを連れて厨房へ戻ることにした。





「と、まあ今日のホールのメンバーはこんな感じだ。後は厨房だが。」


「川島さん。」


工藤くんに川島さんと呼ばれた男の人は、手を止めることなく野菜の仕込みをしているようだった。ちなみにチーフであるお父さんは肉の仕込みをしている。


「あの。今日から入った椎名めぐみです!よろしくお願いします!」


「・・・。」


川島さんは、チラッと私を一瞥しただけで、それ以上は何事もなかったかのように作業を続けていた。あらー。


「川島さんは寡黙な人だから。気にすんな。」


こっそりと工藤くんが耳打ちしてくるけれど、何だか大変そうだと思ってしまった。まあ楽な仕事なんてないとは思うけど。



このお店は1フロアで4人掛けのテーブル席が10と、宴会にも使えるお座敷で30名様までいける大部屋の、最大70名様程のキャパシティらしい。

それを平日なら厨房とホールそれぞれ2人、土日なら3人ずつで回すとか。今はお盆休みなので、最低3人ずつ、出来れば4人ずつの体制で行ければという話だった。


今日のメンバーは厨房がチーフと川島さん、私と工藤くん。

ホールが陽子さんと十花さん、そして健さんだ。

あと途中からなんと茜ちゃんも手伝いに来るらしい!


さて、これからいよいよ開店準備をして、一時間後の11時にはお店がオープンする。

私と工藤くんは、今日は皿洗いとランチバイキングの受け持ちをする。要はお肉やお野菜、フルーツやデザート、ご飯等をバイキング形式でお客さんに取ってもらい、ひたすら替えを用意して交換しながら洗い物がたまったら洗って片付けをしていく役割らしい。


「うし。じゃあ一通り紹介も済んだし、仕事に移るとすっか!あ、先ずは着替えからだな!」


「オッケー!それでは先輩。ご指導ご鞭撻の程よろしくお願いします。」


「おっ!なんか乗ってきたぜ!」


工藤くんは、私に先輩呼ばわりされて気分がよくなったらしい。

急に動きが機敏になった。


お願いだから、しっかり教えてね?


とにかくこっからが本番。気合い入れていきますか!


私も自分自身を鼓舞しながら工藤くんについていくのだった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ