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私のわがままな自己主張2(プロット)  作者: とみQ
第5章 私らしさは尊いけれど
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明岩バスケットボール、新人戦

9月1日。


この明岩市には、公立の高校が6つある。

私の通う明西高校、明南高校、明北高校、城西高校、清水高校、明岩高校の合計6つだ。


本日、明岩市民体育館にて、1日かけてトーナメント戦を行い、今年一番強い明岩市の高校を決めるという、まあ、割とこじんまりした大会だ。


この大会は地域限定な大会のため、他の大会とルール上の違いもある。


本来バスケットボールの試合は1クウォーター10分を計4回行って、40分間の得点で勝敗を決めるけれど、1日で最大3試合こなさなければならないので、1試合20分で、前半後半で分かれるのみとなるのだそうだ。


私はバスケットボールのルールなどは全くわからないけれど、工藤くんに無理矢理誘われたので、病み上がりにも関わらず、市民体育館へと足を運んだ。

とは言いつつも別に嫌というわけでもないけれど。


優勝したらなんだと行っていたくらいなので、まさか初戦で敗退はないだろうと思い、2試合目に間に合うように来て、市民体育館の2階客席へと11時頃に到着した。


明西高校は、1試合目の相手、明岩高校には勝ったようで、2試合目に駒を進めていた。

毎年行われている大会なので、大体どこが強い弱いとかはあると思うのだけど、その辺の位置関係はさっぱりわからない。

ただ、城西高校と、明北高校がシード校のようで、この2校は少なくとも去年は強かったのではないだろうか。

2試合目の相手である明北高校との試合は、さすがにいい勝負だった。

スコアは前半終わって23ー18。

負けているのは明西高校。うちの高校だ。

勢い込んで誘っておいて、2回戦で負けるんじゃないわよと思いつつ、私は2階の席からハーフタイム、汗だくでドリンクを飲む工藤くんを遠巻きに見つめていた。


夏の終わりに、体育館の冷房は効いていないのか、それとも人の熱気で意味をなさないのか、よくはわからなかったけれど、とにかく密閉空間の中は涼しいとは言い難い。

室内で最近熱中症で倒れる人が増えたっていうようなニュースを耳にするけれど、こんなところで走り回って大丈夫なんだろうか。


そんなことを考えていると、休憩の終わりを告げる笛が鳴って、選手がコートの中へと戻ってくる。


工藤くんはその際客席を見回して、やがて私を見つけると、右手をグーにして、私の方へ拳を突き出すポーズを取った。

そして続けてニカッと笑う。


そ、そんなに嬉しそうにしないでよっ!


周りに座っている人が何人かこっちを見たので、私は恥ずかしくなって他人のフリをしてしまった。

彼女みたいに思われるからやめてほしい。

しかも負けてるクセに。


というか、いざ来てみると、私が知っている顔を全く見ていない。

私が気づいていないだけなのかもしれないけれど、客席自体3割程度しか埋まっていないので、少なくとも今は工藤くんの試合を見てはいないのだろう。

それか1試合目だけ見て帰ったとかだろうか?

そもそもなぜ私は1人で来てしまったのだろうか。

美奈でも誘っておけば工藤くんも喜んだかもしれないし、話し相手にもなってくれたのに。

でもどうせ誘うなら今だと芽以さんの方がいいか。


・・・というか何で芽以さんは来てないのよっ!


今日牛藤に入っているのだろうか。

私はしばらく牛藤を休んでいたのでその辺のシフト事情は把握していなかった。

工藤くんも一緒にご飯に行ったと言っていたのでその時に誘えばよかったのではないだろうか。


ほんと気が利かないんだから!


私なんかを誘ってる暇があったら他の女の子の気持ちを汲んでやるくらいの度量をみせてほしいものだ。

しかも私を元気づけようとしてるつもりみたいだけど、それもどういう経緯で彼の中でそんなことになったのかよくわからなかった。

可能性はいくつか考えられるけれど、結局彼と接するタイミングが最近極端に少なかったから。

情報が少なすぎるのだ。

まあ、そんな気持ちが嬉しくないと言えば嘘になるのだけれど。


1人でいる時間が増えるとどうしてもあーだこーだと考えてしまう。

考えても答えなんて出ないだろうに。

そうこうしているうちに、ようやく後半戦開始を告げる笛が鳴った。

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