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私のわがままな自己主張2(プロット)  作者: とみQ
第3章 動き出した心模様
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美奈のお誕生会2

「めぐみちゃん来たわよ。」


「ごめん!皆!おまたせ!」


私は美奈ママに連れられてリビングへと入ってきた。

部屋の中は食べ物のいい匂いが漂い、鼻から体の中へと浸透していく。今頃になって私は空腹を実感した。そう言えばバタバタしっぱなしで昨日の夜からまともに食事していないんだった。

そこにはすでにいつものメンバーである、君島くん、美奈、工藤くんが来ていて、美奈ママの声で、全員がこちらを振り向いた。


「ったく!何寝坊してんだよ!昼だぞ!?」


工藤くんがオレンジジュースをちびちびやりながら睨んでくる。

気心の知れた友人とはいえ、ほやほやのカップルの間に入っていける程、図太くはないみたいだ。


「はいはい。私が来てなくて寂しかったんでちゅよね?」


私はいつもの如くからかうように赤ちゃん言葉で工藤くんに声をかけて、頭をなでなでする。


「なっ!?おまっ!いー加減にしろっ!」


すると工藤くんは顔を真っ赤にして私の手を振り払った。

相変わらず工藤くんをからかうのは面白い。


「おいおい、椎名。工藤をからかうのはその辺にして、先に乾杯でもしようではないか。」


とくんと胸が鳴って、その声に振り向くと美奈の隣に君島くんがいた。

まあわかってはいたけれど、なんか久しぶりに好きだった人の顔を見ると緊張するな。


「はいはい。失礼しました!」


私は何事もなかったかのようにその場をやり過ごしたけれど、思っていたよりも、意識してしまっている自分がいて正直驚いた。


何だろう。


君島くんの声っていつもすごく安心してしまう。


胸がドキドキ高鳴るって訳じゃないけど、ほっとして、立ち止まって一度周りを見回してしまうような。走り続けて疲れた自分に休息を取らせるような、そんな気持ちになってしまうんだ。

あー。ダメだダメだ!

最近の私は恋に飢えているのだろうか。

以前に比べると、ちょっとしたことで男の子に対して胸がざわつくことが増えた気がする。

アルバイトを始めたとはいえ、部活も辞めて、学校もお休みで、心に余裕ができた証拠なのだろうか。

それとも思春期真っ只中の、青春真っ盛りのウッハウハ頭になってしまったのだろうか。

・・・ウッハウハ頭って。我ながらおやじか。


そうこう考えているうちに皆のコップにジュースが注がれた。

私のコップにはアップルジュースが注がれている。

私はとにかく内心の思考を悟られないように笑顔でいることにした。


「じゃあ美奈、お誕生日おめでとう!カンパーイ!」


「「「「カンパーイ!」」」」


「皆!ありがとう!」


美奈は本当に嬉しそうに微笑んでいる。


高野美奈。私の親友。


出会ったのは今年、二年生で同じクラスになった時だけれど、人付き合いって、長いから深いって訳じゃないんだって思った。

控え目で、大人しくて、女の子らしい子なのかなって思っていたけれど、案外芯が強くて、真っ直ぐで、ここぞって時に大切なものを守れる勇気を持ってる。

何だか考えれば考える程、私と正反対かなって思わなくもないけど、お互い言いたいことも言い合える大切な存在だ。


私は美味しそうな匂いにつられたのだろう。

気がつくとテーブルの前に来ていた。

テーブルにはデリバリーのピザが三種類も置かれていた。チーズ系とシーフードと照り焼き系だ。それにポテトも少々。

というかこんなに5人で食べきれるのかとも思ったけど、まあ現役の高校生が4人もいるし、私1人でも一枚はいっちゃうもんね!


「いっただっきまーす!」


私は考えるのはやめにして、とにかく今は親友の誕生日を楽しもうと思った。

目の前の照り焼きのピザにかじりつき、目線を上げると、同じようにチーズピザにかじりつく工藤くんと目が合った。

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