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私のわがままな自己主張2(プロット)  作者: とみQ
第2章 母の想い、子の想い
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来訪者

「はーっ!やっと落ち着いてきたって感じ!」


芽以さんがテーブルのお皿を下げながらぼやいた。


お昼の2時も過ぎて、ようやくホールは落ち着いてきた。


まあこれから厨房は洗い物やら片付けやらが忙しいんだけどね。


バイキングは3時までは続くので、洗い物に取りかかろうかと厨房に引っ込もうとしたら、工藤くんが来た。


「よお、椎名!ちょっと早く終わったから来たわ。せっかくだから飯食おうと思ってよ!」


「あ、そ。私多分まだ一時間くらいあるから待ってて。」


「あ!淳也くん!マジ超久しぶりじゃん!来るなら連絡してくれりゃーいいっしょ!」


私が相変わらずの塩対応をしていると、工藤くんに気づいた芽以さんが声をかけてきた。


「あ、芽以さん、お久しぶりっすー。まあゆうてもけっこうメールしてんじゃないっすか。」


へー。


そーなんだ。


2人は普段けっこうメールしてるんだ。


初耳。


別にいいけど。


「違うし!会うのはまた違うじゃん!もー!サイアク!ちゃんと化粧しとくんだった!」


何だか芽以さんはいつも以上に早口だった。


「え?いや、別に全然大丈夫っすけど。」


「え?それってどういう意味?」


芽以さんは上目遣いで工藤くんのことを見てる。


「いや、俺なんか気にしなくたってさ?」


「あ!まー、そーだよねっ!?マジあーしってば何言ってんだって感じだよね!あはははははっ!」


なんて言いながら芽以さんのテンションは極めて高い。

ほんのり頬に赤みが差していたりして。


ふーん・・・。


そんなやり取りを尻目に私は厨房へと帰っていった。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


洗い物もそろそろ終わりかという頃、芽以さんが私の所にやって来た。


「ねーねーめぐみ!牛のお肉無くなりそうなんだけど、用意してくんない?」


「え?そうなんですか?わかりました、すぐ持っていきますね!」


工藤くんが食べまくっているのだろうか。


牛肉の塊をスライサーで切ってコンテナ2つ分用意すると、芽以さんがホールの入り口で待っていた。


「いーよいーよ!あーしが持ってくからっ!」


そう言って私からコンテナを受け取り、胸の前で大事そうに抱えて小走りで嬉しそうにホールへと向かって行ってしまった。


・・・ふーん。


「分りやすいでしょ?」


いつの間にか隣に志穂姉が立っていた。

ニヤニヤしながら。


「はあ・・・。まあ・・・。芽以さんてそうだったんですね。」


「まあねー。本人あー見えてけっこう奥手だから、まだまだ時間かかりそうだけどねー。」


何だかんだで工藤くんも隅に置けないなー。


まあ別にブサイクって訳でもないし、バスケ部のキャプテンで、元気が良くて、悪い奴じゃないし。


うん。


まあ。


彼のことを好きだって思う女の子が1人くらいいたって別に何もおかしくはない。


おかしくはないけど。


「はー。あんなんのどこがいーんですかねー。」


何だかそんな言葉が不意に口から出てしまった。


「え?淳也くんて、すごくかわいいと思うわよ?なんかいつも元気で一生懸命な感じで、危なっかしくて放っておけないっていうか?」


「はー。そういうもんですかねー?」


年上から見るとまた違った風に見えるんだろうか。


うるさくて何も考えてないからストップをかけてあげないと話がややこしくなりそう、と訳せる気もするけれど。


「うふ。めぐみちゃんは近くにいすぎて気づかないのかしら?」


「いや。私はそもそもそんな気ないですから!」


ほんとここに来てからそのネタでいじられっぱなしだ。


「じゃああの2人が付き合いだしてもいいの?」


「はいはい!もちろん祝福しますって!どうぞどうぞお幸せに!みたいな!?」


あのバカ工藤でもそんなことになったらお祝いくらいしてあげるわよ。


まあ今彼は絶賛失恋中だし、今の恋を忘れるには新しい恋を見つけるのが一番かもしれないな、とも思う。


「ふーん。そうなのねー!」


それだけ言い残して志穂姉は仕事に戻っていってしまった。


・・・えー。なんだかなー。


だから私はホントにそういうんじゃないんだってば。

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