信じるものは何とやら
初投稿です。右も左もわかりませんがニヤけられるような話を書きたいです!
「なあ、書き込むだけで願い事が叶うブログってのがあるらしいぜ」
そんな突拍子もないことを友人から聞いたのは下校途中のときのことだった。
雨が続いていたが久しぶりに晴れの日だった。明日は休日だ。授業を終えて同じマンションに住む友人と駄弁りながら帰っていたときのことだ。いきなり書き込むだけで願い事が叶う云々言い出すものだから完全に虚を突かれた。
「そんな顔で見るなよ、都市伝説だよ都市伝説!」
こいつは昔っから都市伝説が大好物だったことを思い出した。
「しかし、また胡散臭い都市伝説だな」
「胡散臭くない都市伝説なんてないよ」
正論だ、しかし都市伝説ファンとしてそれでいいのか。
ほらこのサイトだ、と友人は自分のスマホでそのブログのトップページを開いた。この運営会社の名前は聞いたことも見たこともないものだったが、ぶっちゃけどこにでもあるようないで立ち…。
「なんというかー、ふつーだな」
「だろー、一見普通だ!しかしそこがいいのだ!」
ほんっと楽しそうだなこいつ。
「実は今から検証してみようと思う」
「どうやって?」
「俺の前にちょうどいい被験者がいるだろう!」
俺か、俺のことか。
「親友で検証するのか?!」
「親友だからお前で検証するんだよ!」
いい笑顔だ、殴りたいぐらいに。…まあ、どうせ何も起こらないだろうし寛大な俺は許可してやった。
「おっと、ネット上に俺の実名だすなよ?」
「公開範囲をフレンドのみに設定しているから大丈夫だぜ!」
検証用なのでフレンドはいないとのこと。そう検証用なので。
検証開始だ!っと素早い手つきでブログに打ち込む。その速さときたら異常だ。
「…よしっ」
どうやら打ち終わったようだ。
「ところで何て打ったんだ?」
「【親友が男勝りの貧乳を気にするニーソの似合う美少女になりますように】って」
マニアックすぎる!こいつそこはかとなく危ねぇ!いや、まあどうせ都市伝説なんて釣りなんだろうけども!そんで願い事が書き込むだけで叶えられたら人生苦労しないだろ!
「じゃ、検証開始!」
「ま、まったくアホらしい…」
あいつが投稿ボタンを押すと同時に俺の意識は吹き飛んだ。
スズメの鳴き声で俺は目が覚めた。寝ぼけた頭で考える。いつの間に朝に?そう思った瞬間、あたかも見計らったように枕元の携帯にメールの着信音が鳴った。それを取ろうと手を伸ばした瞬間に目に映った手はいつもとどこか違う、小さくて細い指をした手だった。しかし、初めて見るけど見慣れている、矛盾に満ちたこの気持ちはなんだろうか。メールの送り主はあいつからだった。
『10時に俺の部屋に来い』
なんちゅう無愛想なメールなんだと少しムッとしてしまった。しかし、ひょっとしてそう「人生苦労しない状況」になってしまったのだろうか…。